躍動感あふれる大地×静寂が広がる美しい森と湖イエローストーン&グランド・ティトンへ ~サウスダコタ&ワイオミングへの旅 Part 2~

公開日 : 2023年06月23日
最終更新 :

アメリカで最も人口が少なく、手付かずの自然が多く残されているワイオミング州。なかでもイエローストーン国立公園とグランド・ティトン国立公園は、隣接していながら「動」と「静」の相異なる絶景が堪能できるエリアとして、多くの観光客たちを魅了しています。

地球の鼓動を間近で感じられるイエローストーン国立公園

公園内には約5000頭もバッファロー(アメリカバイソン)が生息。ときには吹き上がる間欠泉近くで群れを目にすることも ©Wyoming Office of Tourism
公園内には約5000頭もバッファロー(アメリカバイソン)が生息。ときには吹き上がる間欠泉近くで群れを目にすることも ©Wyoming Office of Tourism

七色に輝く泉やふつふつと煮えたぎる泥泉、唸り声を上げて吹き出す熱水など、この世のものとは思えない光景が広がるイエローストーン国立公園。1800年代に未開地を調査していた調査隊が発見し、その驚愕の光景を報告するも、当初はだれも信じようとはしなかったともいわれているほどです。

後にその存在が明らかになり、国を挙げて自然を保護する法案が成立。1872年に世界初となる国立公園が誕生しました。1978年には、第1号の世界遺産第のひとつとして選出されています。

約9000平方㎞もの広大な園内には、6600万年前の火山活動によって形成された温泉や間欠泉、噴気孔、泥泉といった熱水現状が1万以上点在。園内の約90%は手付かずのままで、今も人間の想像を超えた生態系が脈々と育まれています。

天気が良ければ虹とのコラボも楽しめるオールド・フェイスフル ©Wyoming Office of Tourism
天気が良ければ虹とのコラボも楽しめるオールド・フェイスフル ©Wyoming Office of Tourism

イエローストーンを訪れたらぜひ見たいが、虹色に輝く巨大な温泉「グランド・プリズマティック・スプリング」(一番上の写真)。源泉のある中心はコバルト・ブルーで外側に向かうにつれてエメラルド、グリーン、白、黄色、オレンジ、茶色と変化していきます。これは温度によってさまざまなバクテリアが生存しているため。周囲にはトレイルが設置されていて、さまざまな角度からその神秘な光景を眺めることができます。

イエローストーンには世界の約3分の2ともいわれる間欠泉が点在していますが、特に観光客に人気なのが「オールド・フェイスフル」。フェイスフル(=忠実な)という名のとおり、約80分間隔で高さ40mにも及ぶ熱水を噴き上げます。

これらはいずれも、ガイザー・ベイスンと呼ばれる、間欠泉や噴気孔が集中しているエリアにあり、イエローストーンを訪れたらまずは最初に立ち寄りたい場所です。

温泉に含まれる石灰分が結晶化して形成されたマンモス・ホット・スプリングス。石灰棚のほかにも石柱や鍾乳石などが見られる © National Park Service/Jim Peaco
温泉に含まれる石灰分が結晶化して形成されたマンモス・ホット・スプリングス。石灰棚のほかにも石柱や鍾乳石などが見られる © National Park Service/Jim Peaco

ほかにも、石灰棚が連ねるマンモス・ホットスプリングス、峡谷を切り裂くかのようにイエローストーン・リバーが流れるグランド・キャニオン・オブ・ザ・イエローストーンなどの絶景が点在。ラマー・バレーと呼ばれる園内北東部の大草原ではバッファロー(アメリカバイソン)の群れをはじめ、エルク、オオカミ、コヨーテなどの野生動物の姿を見ることができます。

■イエローストーン国立公園
・URL:https://www.nps.gov/yell/index.htm

ロッキー山脈南部に広がるグランド・ティトン国立公園

澄み切った湖にその雄大な姿を映し出すティトン山脈。公園内には絵になる風景が満載!©Wyoming Office of Tourism
澄み切った湖にその雄大な姿を映し出すティトン山脈。公園内には絵になる風景が満載!©Wyoming Office of Tourism

アメリカで最も美しい国立公園のひとつといわれるグランド・ティトン国立公園。その最大の魅力は、空に向かって誇り高くそびえ立つ山々とそのふもとに点在する澄み切った湖、そしてその周辺に広がる草原のコントラストにあります。

グランド・ティトン(標高約4200m)を最高峰とするティトン山脈の荒々しい岩山が南北に連なり、その姿が鏡のように湖に映し出された光景は圧巻。イエローストーン国立公園のすぐ南に隣接していながら、躍動感あふれるイエローストーンとは対照的に、もの音ひとつしないかに思われる静寂の世界が広がっています。

水辺の高原地帯に生息するムース。世界最大のシカで、2mを超える角を持つオスも
水辺の高原地帯に生息するムース。世界最大のシカで、2mを超える角を持つオスも

公園の広さは約1300平方キロメートルと比較的コンパクトながらも、周囲の草原や森には数多くの動物たちが生息。ムース(ヘラジカ)やバッファロー、エルク、グリズリー(アメリカヒグマ)、クロクマなどのほか、運がよければオオカミ、コヨーテなどの姿を目にすることも。水辺ではさまざまな水鳥に加え、ビーバーなどにも出会えます。

草原に佇む丸太造りのトランスフィギュレーション礼拝堂
草原に佇む丸太造りのトランスフィギュレーション礼拝堂

グランド・ティトンの美しい光景は、不朽の名作『シェーン』や『ブロークバック・マウンテン』など、アメリカ西部を舞台とした映画にも登場しました。園内には、開拓時代を彷彿とさせる古い建物や教会、船乗り場なども残っています。

園内にはジャクソン・レイクをはじめ、大小数々の湖が点在。周囲にはいくつものトレイルがあり、山並みとのコントラストや動植物を観察しながら散策することができます。また、湖ではカヤックやボートクルーズ、釣りなどのアクティビティを楽しむことも。南北を蛇行して流れるスネークリバーでのラフティングも人気があります。

■グランド・ティトン国立公園
・URL:https://www.nps.gov/grte/index.htm

ジャクソンを拠点にふたつの公園を網羅

夏は高原リゾート、冬はスキーリゾートとして人気の町ジャクソン
夏は高原リゾート、冬はスキーリゾートとして人気の町ジャクソン

ふたつの公園の拠点となるのは、グランド・ティトン国立公園のふもとに位置する小さな町ジャクソン。日本から直行便のあるロスアンゼルス、サンフランシスコ、デンバーなどで国内線に乗り継ぎ、1時間30分~2時間30分です。

公園内に公共交通機関はないので、空港か街なかで車をレンタルすることになりますが、運転が不安な人はジャクソンを拠点としたバスツアーなどに参加することも可能です。ただし、観光シーズンの夏期以外はほとんど催行されていないので事前に確認を。また、11月初旬から4月下旬頃までは雪のためビジターセンターが閉鎖したり、道路が通行止めになることもあるので注意が必要です。

■ジャクソンホール・トラベル&ツーリズム・ボード
・URL:https://www.visitjacksonhole.com/

ティトン・パーク・ロードをドライブするだけでも壮大な景色が楽しめる
ティトン・パーク・ロードをドライブするだけでも壮大な景色が楽しめる

ジャクソンからイエローストーンの南端にあるゲートへは車で1時間~1時間30分ほど。国道191号線の代わりに、グランド・ティトン国立公園内を抜けるティトン・パーク・ロードを利用しても、それほど時間に変わりはありません。ジャクソンからグランド・ティトン国立公園の南側のゲートまで車で約20分、園内の景色を楽しみながら北上し、北側のゲートを抜ければ、そこから約10分でイエローストーン国立公園の南ゲートへとたどり着きます。

南西部に位置するガイザー・ベイスンへは30kmほどの距離なので、オールド・フェイスフルやグランド・プリズマティック・スプリングなどの有名な間欠泉や噴水のみを見るのであれば、1日でも十分ですが、各見どころに立ち寄りながら園内をひと回りしたいのであれば、少なくとも3日は必要。南北を1周するグランド・ループは229㎞で、さらに足を延ばして野生動物が多く見られる北東のラマー・バレーも訪れたいところです。

キャンプから豪華ロッジまで、滞在スタイルはさまざま

ジャクソンの街なかにある1941年創業のウォート・ホテル。館内は開拓時代の面影を残すインテリアで彩られている
ジャクソンの街なかにある1941年創業のウォート・ホテル。館内は開拓時代の面影を残すインテリアで彩られている

小さな町ながらもジャクソンには、リーズナブルなモーテルから高級リゾートホテルまで、さまざまなタイプの宿泊施設が点在。レストランやブリュワリーなども多く、夏期は避暑地、冬期はスキーを楽しむ人々でにぎわっています。

ジャクソンに滞在しながらふたつの国立公園を巡ることも可能ですが、大自然を満喫したいのであれば公園内での滞在と組み合わせるのがおすすめ。特にイエローストーン国立公園内は広大なので、見どころを網羅したいと思ったら、滞在拠点を移動しながら2~3泊かけて巡ったほうが効率的です。

イエローストーン国立公園内、間欠泉の目の前に立つオールド・フェイスフル・ロッジ
イエローストーン国立公園内、間欠泉の目の前に立つオールド・フェイスフル・ロッジ

イエローストーン国立公園内にはキャンプサイトのほか、歴史あるロッジから美しい木組みのキャビン、近代的なホテルまで9つの宿泊施設が点在。大自然の中で、思い思いの滞在を楽しむことができます。サファリツアーやトレッキングなどのアクティビティも充実しているので、参加してみるのもおもしろいかもしれません。

グランド・ティトン国立公園内にもレイクフロントの絶景が望めるロッジ、宿泊しながら乗馬などのアクティビティが気軽に楽しめるランチ(牧場)など、ユニークな施設がたくさんあります。自転車をレンタルしてサイクリングを楽しんだり、ボートで釣りに繰り出したりと、大自然を舞台に、さまざまな過ごし方が体験できます。

■ サウスダコタ州の観光情報
・URL:https://www.travelsouthdakota.com/
■ ワイオミング州の観光情報
・URL:https://travelwyoming.com/

■写真提供:サウスダコタ州政府観光局、ワイオミング州政府観光局、©iStock(一番上の画像)
※当記事は、2023年6月23日現在のものです

TEXT:竹内あや 

■神秘的な岩山×巨大彫刻×野生動物との出会い! 大草原と荒野が広がるアメリカ中西部へ ~サウスダコタ&ワイオミングへの旅 Part 1~はこちら

〈お願い〉
渡航についての最新情報は下記などを参考に必ず各自でご確認ください。
◎外務省海外安全ホームページ
・URL:https://www.anzen.mofa.go.jp/index.html
◎厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について
・URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

筆者

地球の歩き方観光マーケティング事業部

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