神秘的な岩山×巨大彫刻×野生動物との出会い! 大草原と荒野が広がるアメリカ中西部へ ~サウスダコタ&ワイオミングへの旅 Part 1~

公開日 : 2023年06月14日
最終更新 :

サウスダコタといえば大統領の顔が岩肌に並んだ巨大彫刻が有名ですが、アメリカ中西部の魅力はそれだけではありません。地球上とは思えない光景が広がるバッドランズ、古くからネイティブアメリカンに“黒い山”と呼ばれ、聖地として崇められてきたブラックヒルズ、さらにワイオミングまで足を延ばせば、大平原にこつ然と姿を現すデビルズタワーなどの見どころがあります。
大自然が生み出した驚異の絶景とそこで暮らす野生動物、そして圧巻のスケールで迫って来る人間の創造物――。
今回は見るだけでなく、実際に体験してこそ味わえる、そんなアメリカ中西部の楽しみ方をいくつかご紹介します。

この世のものとは思えない風景が広がるバッドランズ国立公園

マイケル・ベイ監督の映画『アルマゲドン』などでも惑星のシーンとして登場
マイケル・ベイ監督の映画『アルマゲドン』などでも惑星のシーンとして登場

サウスダコタ州南西部、プレーリーと呼ばれる大平原に広がるバッドランズ。赤、白、黄、グレー、黒と色とりどりの地層が重なり合う荒々しい岩山や崖、峡谷が連なり、まるで別世界へ迷い込んでしまったかのようなダイナミックな光景を生み出しています。

川の浸食により、何千万年もの歳月をかけて形成されたこの地は化石の宝庫でもあり、7500万年前に住んでいたワニのような生き物など、古代生物の化石がいくつも見つかっています。

ビジターセンターで展示品が見られるほか、実際に歩いていて目にすることも。園内にはいくつものトレイルがあり、地層や化石を間近で観察することができます。

バッドランズの魅力はその圧巻な光景だけではありません。

草が生い茂る平原地帯にはバッファロー(アメリカバイソン)やプレーリードッグ、ビッグホーンシープなど数え切れないほどの野生動物が生息。園内に設けられたドライブロードを車で走れば、道路脇や草原でその姿を目にすることも珍しくありません。

■バッドランズ国立公園
・URL:https://www.travelsouthdakota.com/explore-with-us/great-8/badlands

驚愕のサイズ!マウント・ラシュモア国立記念碑&クレイジー・ホース記念碑

左から順に、初代大統領ジョージ・ワシントン、第3代大統領トーマス・ジェファーソン、第26第大統領セオドア・ルーズベルト、第16代大統領エイブラハム・リンカーン
左から順に、初代大統領ジョージ・ワシントン、第3代大統領トーマス・ジェファーソン、第26第大統領セオドア・ルーズベルト、第16代大統領エイブラハム・リンカーン

ブラックヒルズにそびえる白い花崗岩に、アメリカを代表する歴代4人の大統領の巨大な顔が刻まれたマウント・ラシュモア国立記念碑。政府から委託を受けた彫刻家ガットスン・ボーグラムの指揮で1927年からおよそ14年間をかけて掘られたもので、巨大彫像の高さは18mにも及びます。

周囲には1㎞程度のトレイルが設けられており、それぞれの彫刻を至近距離からさまざまな角度で眺めることが可能。ビジターセンターに併設された博物館に展示された資料や上映ビデオも必見です。

完成すれば、世界最大の彫刻となるクレイジー・ホース
完成すれば、世界最大の彫刻となるクレイジー・ホース

同じブラックヒルズ内、マウント・ラシュモアから西へ約15kmの場所に立っているのがクレイジー・ホース記念碑。白人入植者の侵略から領土を守るために戦ったラコタ・スー族の戦士をイメージした巨大彫刻で、1970年代から掘り進められ、実は現在も制作中。

完成すると長い髪の毛をたなびかせたクレイジー・ホースが馬に乗って前方を指差す、高さ170m、長さ195mもの世界最大の彫刻になるのだそうです。

ウェルカムセンター内の博物館でその歴史や過程など見学できるほか、ツアーに参加して彫刻現場や彫刻の真下でその巨大な姿を目にすることもできます。巨大な彫刻を背景に繰り広げられるレーザーショーなどのイベントも開催されているので、ぜひ確認してみてください。

■マウント・ラシュモア国立記念碑
・URL:https://www.travelsouthdakota.com/explore-with-us/great-8/mount-rushmore

■クレイジー・ホース記念碑
・URL:https://www.travelsouthdakota.com/explore-with-us/great-8/crazy-horse

数々の野生動物が生息するカスター州立公園

園内を車で走れば、バッファローと呼ばれ親しまれているアメリカバイソンに遭遇!
園内を車で走れば、バッファローと呼ばれ親しまれているアメリカバイソンに遭遇!

カスター州立公園は、ブラックヒルズ南部、287㎢にもおよぶ広大な野生動物保護区で、敷地内には1300頭ものバッファローが生息しています。

公園内に設けられた全長29kmの景勝道路「ワイルドライフ・ループ・ロード」をドライブすれば、あちらこちらで道路を横断するバッファローの群れに遭遇。ほかにもエルクやプレーリードッグ、ビッグホーンシープ、コヨーテ、七面鳥などの動物を目にすることができます。

敷地内にはいくつものトレイルが設けられていて、ハイキングや乗馬、サイクリングを楽しむことも。湖では釣りやボートなども楽しめます。

毎年9月の最終金曜日に開かれるバッファロー・ラウンドアップでは、バッファローの大群が地響きとともに駆り集められる迫力いっぱいの光景を見ることもできます。園内にはいくつものキャンプサイトのほか、ロッジ、キャビンなどの快適な宿泊施設があるので、大自然を満喫したいのであれば園内に1泊するのがおすすめです。

また、より間近で野生動物に出会えるジープサファリツアーやチャックワゴンと呼ばれる幌馬車でカウボーイ料理を楽しむツアーなども人気です。

■カスター州立公園
・URL:https://www.travelsouthdakota.com/explore-with-us/great-8/custer-state-park

無数に輝く星の下に真っ黒なシルエットとなって浮かび上がる様子は、実に幻想的 ©Jim Walter
無数に輝く星の下に真っ黒なシルエットとなって浮かび上がる様子は、実に幻想的 ©Jim Walter

ワイオミング州北東部、大草原の中にそびえる高さ360mのデビルズタワー。1977年に公開されたスティーブン・スピルバーグ監督の映画『未知との遭遇』で宇宙人が乗ったUFOが選んだ着陸場所として登場したことで、一躍有名になりました。

約5000万年も昔に地下のマグマが冷やされて固まり、長年の水と風の浸食によって地上に現れた巨大な岩で、その歴史を物語るように岩の表面には柱状節理と呼ばれる多角形の縦筋が刻み込まれています。

岩を一周する約2㎞のトレイルがあり、散策を楽しみながら近くでその不思議な形状を観察することができます。

また、デビルズタワーは星空が美しいことでも知られています。ラコタ族の人々は昔からこの夜空を眺め、さまざまな物語を伝承してきました。

そのなかでも北半球で明るく輝くのが“マト・ティピラ(熊のロッジ)”と呼ばれる星座。少し傾きながら上り、最後はデビルズタワーに重なるように垂直の長方形となって沈んでいきます。

デビルズタワーが昔から、熊信仰の対象として“マト・ティピラ”と呼ばれていたのも、偶然ではないのかもしれません。

■デビルズタワー国定記念物
・URL:http://travelwyoming.com/places-to-go/destinations/national-parks-monuments/devils-tower-national-monument/

旅の拠点となるラピッドシティ

それぞれをイメージした歴代42人の大統領の等身大像が立っているラピッドシティのダウンタウン
それぞれをイメージした歴代42人の大統領の等身大像が立っているラピッドシティのダウンタウン

バッドランズとブラックヒルズへの拠点となるのは、“大統領の町”とも呼ばれるラピッドシティ。日本からは直行便があるミネアポリスやデンバーなどで国内線に乗り換え、1時間30分から2時間ほどで到着します。

シーニックハイウェイと呼ばれる景観の美しい道路が多く、レンタカーで巡るのがいちばんですが、車を運転するのが不安な方はラピッドシティ発着のツアーなどに参加することもできます。

ラピッドシティからバッドランズへは車で1時間ほど。マウント・ラシュモア、クレイジー・ホース記念碑、カスター州立公園があるブラックヒルズまでは30分ほどで、それぞれの間は30~40分ほどで移動できます。

ラピッドシティの北西、ワイオミング州にあるデビルズタワーへは車で1時間50分ほど。3日間あればすべて網羅できますが、できればカスター州立公園などのロッジやキャビンに1泊し、自然を満喫するのがおすすめです。

■ラピッドシティ
・URL:https://www.travelsouthdakota.com/city/rapid-city

プラスアルファで楽しみたい世界唯一の建築と絶景

多目的ホールとして展示会やコンサートなどにも利用されているコーンパレス
多目的ホールとして展示会やコンサートなどにも利用されているコーンパレス

日程に余裕があれば、サウスダコタ州東部にある州最大の都市スー・フォールズをスタート地点としてみてもおもしろいかもしれません。

ラピッドシティへと続く道路沿いにある小さな町ミッチェルにはコーンパレスというユニークな建物があり、多くの観光客たちを惹き付けています。

“トウモロコシの城”という名前のとおり、外壁および内壁を覆っているのはトウモロコシ。大きな壁画がいくつも掲げられていて、それらもすべてトウモロコシの粒で描かれています。

■コーンパレス
・URL:https://cornpalace.com/

ミッチェルの夏の風物詩でもある見渡す限り一面に広がるヒマワリ畑
ミッチェルの夏の風物詩でもある見渡す限り一面に広がるヒマワリ畑

ミッチェルからさらに西へ進んだところにあるのが、サウスダコタ州の州都ピア。夏になるとピアから半径100㎞圏内を走る道路沿いのあちらこちらに広大なヒマワリ畑が出現し、圧巻の景色を作り出しています。

開花時期は場所によっても異なりますが、7月下旬から8月下旬頃。この時期に訪れるのであれば、ぜひ立ち寄ってみたいスポットです。

■サウスダコタ州の観光情報
・URL:https://www.travelsouthdakota.com/
■ワイオミング州の観光情報
・URL:https://travelwyoming.com/

■写真提供:サウスダコタ州政府観光局、ワイオミング州政府観光局
※当記事は、2023年6月14日現在のものです。

TEXT:竹内あや 

〈お願い〉
渡航についての最新情報は下記などを参考に必ず各自でご確認ください。
◎外務省海外安全ホームページ
・URL:https://www.anzen.mofa.go.jp/index.html
◎厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について
・URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

筆者

地球の歩き方観光マーケティング事業部

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