ニューヨークで秘密の時間を過ごせる、大人向けのバー「ザ・キャンベル」

公開日 : 2024年03月29日
最終更新 :

ニューヨークは大人の街。他人のプライバシーには干渉せず、有名人を見かけても知らぬふりをする寛容性があります。大人になると、誰しも秘密を持つもの。他人には言わない、ちょっとドキドキする、小さな楽しみ。秘密を持つことによって、人生の引きだしも増えていくものです。

ニューヨークで小さな秘密を持ちたいと思いませんか? 照明を落とした大人っぽいバーで、自分だけの時間を過ごす。グランド・セントラル・ターミナルにある「ザ・キャンベル」は、大人の秘密が似合うバーなのです。

グランド・セントラル・ターミナルにあるバー「ザ・キャンベル」とは

世界最大の美しいターミナル駅、ニューヨークのグランド・セントラル・ターミナル内
(C)Hideyuki Tatebayashi 世界最大の美しいターミナル駅、ニューヨークのグランド・セントラル・ターミナル内

グランド・セントラル・ターミナル内にある「ザ・キャンベル・アパートメント・バー」(以下「ザ・キャンベル」と表記)は、隠れ家のような雰囲気を持ち、人気テレビドラマのロケ地にもなったバー。

元々は1920年代に鉄道会社重役で資産家のジョン・W・キャンベル氏が、グランド・セントラル・ターミナルの一部を借り、プライベート・オフィスとして使用していたもので、贅を尽くした手描きの天井、石の暖炉、キャンベル氏のスチール金庫、有鉛ガラス窓は、13世紀のフィレンツェ風のデザイン。当時30万ドル(現在の420万ドル相当)のイタリア製家具とペルシャ絨毯を輸入、パイプオルガンとピアノを設置し、最大60人のゲストをプライベート・リサイタルに招待したそうです。

キャンベル氏の逝去後、時を経てオフィスはゴージャスなバーとして生まれ変わりました。

オフィス、刑務所、バー、ドラマのロケ地……ドラマチックな100年の歴史

1923年当時のキャンベル氏の贅沢なプライベート・オフィス(店に置いてある、無料の絵葉書より)
1923年当時のキャンベル氏の贅沢なプライベート・オフィス(店に置いてある、無料の絵葉書より)

ザ・キャンベルは資産家のプライベート・オフィスとして誕生、持ち主を失った後、ドラマチックな変遷を遂げました。

  • 1920年代:鉄道会社重役で資産家のジョン・W・キャンベル氏が、グランド・セントラル・ターミナルの一部を借り、個人オフィスとして使用
  • 1957年:キャンベル氏逝去後、鉄道警察の銃の保管庫や刑務所として使用
  • 1999年:ニューヨーク市内のホテルや飲食施設の所有・経営を行うホスピタリティ・ホールディングスが250万ドル(約3億7000万円)かけて改装、ドレスコードのある隠れ家風のバーとしてオープン
  • 2007年:人気ドラマ『ゴシップガール』のファーストシーズンエピソード1に登場。『ゴシップガール』ファンの憧れのロケ地になる
  • 2016年:所有者であるメトロポリタン・トランスポーテーション・オーソリティ(MTA ニューヨーク市内の地下鉄・バス、郊外電車を運営する北米最大の公共交通事業者)がリース契約を見直し、最高入札者に開放することを決定
  • 2016年7月:入札に負けたホスピタリティ・ホールディングスが賃貸契約を終了、閉店
  • 2017年5月:最高のリース額を提示した、ニューヨーク市内で数軒のバーやレストランを経営するガーバー・グループに経営権が移り、再オープン
ザ・キャンベルの入り口
(C)Hideyuki Tatebayashi ザ・キャンベルの入り口

ザ・キャンベルの中はどんな雰囲気?

ザ・キャンベルの入口から階段を上がると、受付がある
(C)Hideyuki Tatebayashi ザ・キャンベルの入口から階段を上がると、受付がある

資産家のゴージャスなオフィスを改装してオープンした1999年当時は、ドレスコードが厳格で、スピークイージー(もぐり酒場)をイメージした知る人ぞ知る秘密めいたバーでした。一見客には入りづらい、敷居の高さがあったのです。

現在は当時と比べると敷居が低くなり、ドレスコードは緩和され、ディナー時のみビジネスカジュアル以上となりました。ただし、野球帽やビーチサンダルでの入店は不可です。おしゃれなバーへ行くときは、利用客も雰囲気づくりに一役買う意識を持って出かけましょう。毎日21:00までは保護者の同伴があれば、21歳未満でも入場可能(飲酒は不可)で、家族連れの旅行客にとっても利用しやすく変わっています。

入口は見つけにくいといわれていますが、以下を見るとわかりやすいと思います。

ザ・キャンベルの店内。照明は落としてあり、かなり暗い。ディナー前なので、カジュアルな服装のサクッと立ち飲みの利用客が多い
(C)Hideyuki Tatebayashi ザ・キャンベルの店内。照明は落としてあり、かなり暗い。ディナー前なので、カジュアルな服装のサクッと立ち飲みの利用客が多い

『ゴシップガール』のあの問題のシーンはここで撮影された

セリーナとブレアの仲違いの原因になったのは
(C)at press セリーナとブレアの仲違いの原因になったのは…(C)2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

2007〜2012年に放映された『ゴシップガール』は、ニューヨークのアッパー・イースト・サイド(高所得者が住むエリア)に暮らす高校生たちの刺激的なリアルライフを描いた人気TVドラマ。世界200ヵ国で放送され、日本でも2009年に放送が開始されました。『ゴシップガール』のロケ地になったことで、ニューヨークに憧れを抱き、訪れる旅行者も増加したほどです。

ドラマのファーストシーズンエピソード1で、ザ・キャンベルがロケ地として登場しました。このバーで、セレブ高校生セリーナ(ブレイク・ライブリー)は他人には言えない秘密を持ったのです(実際にはアメリカでは飲酒は21歳以上から認められており、高校生は飲酒できません)。

なぜセリーナはニューヨーク・マンハッタンから離れたのか、親友のブレア(レイトン・ミースター)と仲違いしたのか……。それはザ・キャンベルで撮影されたシーンが起因となっています。ゴシップガールファンの方はもうお分かりですね。

ザ・キャンベルで提供されているメニュー

サクッと立ち飲みするファンも多い、カウンターバー席。『ゴシップガール』の問題のシーンはこの場所で撮影された
(C)Hideyuki Tatebayashi サクッと立ち飲みするファンも多い、カウンターバー席。『ゴシップガール』の問題のシーンはこの場所で撮影された

ザ・キャンベルで食事する場合の目安に、日本語訳でメニューを載せますね。ドリンク・食事すべてに、税・サービス料が別途かかります。

価格設定はお高めなので、ちょっとだけ雰囲気を味わいたいという方は、カウンターでサクッとビールを立ち飲みするのもいいでしょう。缶入りビールが提供され、12ドルです。

予算を気にせず、ゆっくり過ごしたい方はテーブル席がいいでしょう。人気のバーなので、夜間は予約がおすすめ。平日昼間なら、予約なしでも席を見つけられる可能性が高いかもしれません。

人気の中2階席(メザニーン)はこぢんまりとしており、バーの全景が見下ろせます。秘密の打ち明け話をするのにぴったりな空間です。

ドリンク

  • キャンベル・ダーティー・マティーニ 22ドル
  • ヴェスパー 22ドル
  • モスコミュール 21ドル
  • エスプレッソ・マティーニ 22ドル
  • GG(ゴシップガール)マンハッタン 22ドル
  • グランドセントラル・スピリッツ 22ドル
  • ティータイム(ウォッカ、モンテネグロ、紅茶、きゅうり) 22ドル 
  • ライチー・マティーニ 22ドル
  • ビール(ブルックリンラガー、コロナなどの缶入り)12ドル

※ほか、ワインやノンアルコールドリンクもあり(すべて税・サービス料別)

フード

  • オリーブ 9ドル
  • ナッツ 9ドル
  • プレッツェル 12ドル
  • フムス 16ドル
  • ミニロブスターロール 28ドル
  • ほうれん草とアーティチョークのディップ 14ドル
  • チーズとサラミなどの盛り合わせ 30ドル
  • チョコレート・チップ・クッキー 10ドル

※すべて税・サービス料別

テーブル席は、ドレスアップした利用客が多い。暖炉の中には、当時のキャンベル氏の金庫が保存されている
(C)Hideyuki Tatebayashi テーブル席は、ドレスアップした利用客が多い。暖炉の中には、当時のキャンベル氏の金庫が保存されている

ザ・キャンベルがある、グランド・セントラル・ターミナルはニューヨークに限らず、アメリカのなかでも最も美しい駅のひとつです。駅の歴史と見どころについては下記の記事をご覧ください。

ニューヨークの秘密めいたバーで飲むのは、大人の楽しみ。大好きな人と、華麗な歴史を持つバーに足を踏み入れてみませんか。ニューヨークの行きつけの店を、とっておきの切り札に持っているのもいいものです。

大人のニューヨークを楽しみに、ぜひいらしてくださいね。ニューヨークでお待ちしています!

TEXT:ニューヨーク特派員 青山 沙羅
PHOTO:Hideyuki Tatebayashi
*Do not use images without permission.
監修:地球の歩き方

※店内スタッフの了承を得て、写真撮影しています。
※掲載情報は2024年2月時点の情報です。価格や商品構成などは変更になる場合がありますので、事前に必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。
※2024年3月現在、1ドル:約147円です。

筆者

アメリカ・ニューヨーク特派員

青山 沙羅

はじめて訪れた瞬間から、NYに一目惚れ。プロ・フォトグラファーの夫とNY在住。

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