オイスターバーで牡蠣の歴史を考察(アメリカ西海岸)

公開日 : 2024年03月29日
最終更新 :

先日ひょんなことから「ミッションストリート・オイスターバー」のチョッピーノはおいしいと聞きました。おかげさまでおいしくいただけた話しと、その時に頼んだオイスターの”不思議に思っていたこと”が解決して、日系人の歴史や食文化にも少し踏み込んだ話しです。

たくさん耳寄り情報が記載されてます
たくさん耳寄り情報が記載されてます

ミッション地区は歩いているとここはメキシコ?と思うほどスペイン語が飛び交っています。そのメインがミッション通りです。異国情緒が溢れすぎてびっくりする事もありますが、バート16th駅から徒歩5分ほど、黒板みたいな外観のお店が「ミッションストリート・オイスターバー(Mission Street Oyster Bar)」です。周囲がカラフルなので逆に黒が際立って目立つ外観です。

スタッフはとてもフレンドリーで、初めて食べにきたのですが、あたかも昔からの顧客の対応みたいに気軽に声かけもらいました。予約は取りにくいとの聞いていたのですがで、予約なしでしたが早めに行ったおかげで運よくすぐに席に案内されました。

おすすめのチョッピーノ二人分ありますのでシェアしてどーぞ
おすすめのチョッピーノ二人分ありますのでシェアしてどーぞ

チョッピーノが目的だったので、その事を告げてタイミングを見て持ってきてもらう事にしました。

シーフードの基本の白ワインが、ソーベニオン・ブラン
シーフードの基本の白ワインが、ソーベニオン・ブラン

”お魚・シーフード=白ワイン”は王道です。ロゼワインも和食を含めシーフードに合うので、最近は和食、シーフードレストランで何種類か用意しているようになっています。ロゼ好きには嬉しいかぎりですが、今回は王道のソーベニオン・ブラン(Sauvignon Blanc)”シーフード料理には間違いないチョイスにしました。チョッピーノの酸味と爽やかさがさすが基本ペアリングです。

チョッピーノは、サンフランシスコ・ノースビーチ(イタリア人街)が発祥と言われており、サンフランシスコに来たら一度は食べてほしい名物料理です。ガーリックブレッドが添えてあるのがポイントです。最後はガーリックブレッドをスープに浸して食べちゃってください。

サンタローザのワイナリー↓
【Matanza Creek Winery】
住所:6097 Bennett Valley Rd, Santa Rosa, CA 95404
TEL:707-521-7019
URL:https://www.matanzascreek.com

オイスターの不思議:なぜミヤギにクマモトなのか?

HHオイスター$2.50/個
HHオイスター$2.50/個

チョッピーノの前に頼んだのがオイスターです。
ミヤギ(Miyagi/左)とクマモト(Kumamoto/右)を6個ずつ頼みました。

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それにしても何故、カキに日本の名前がついているのでしょうか?大雑把にまとめてみました。

 アメリカで最もポピュラーなのが、マガキ(Crassostrea Gigas)です。これ実は、20世紀初め日本からワシントン州へ輸出され養殖が始まっています。そして1920年代から太平洋戦争が始まる41年まで、アメリカのマガキ養殖業で日本人が大きな役割を果たしていて、今ミヤギ、クマモトを堪能できるのは先人たちのおかげなのです。

 そもそも東海岸゙には原産種のアメリカガキ(Crassostrea Virginicas)が自生していて、生食、シチューなどで食卓にのぼっていたようです。19世紀には、西部開拓、大陸横断鉄道の完成や缶詰産業の発展で、カキを食べる習慣はアメリカ中に広がりました。ヨーロッパからの入植者がカキ食の習慣があったことも,市場拡大に関係しています。ところが19世紀初めまでに、乱獲で東海岸側のカキは激減してしまいます。カキを食べたい!と、西海岸の自生種オリンピアガキ(Ostrea Lurida) を養殖を試みました。しかし敏感な品種だったため成功には至りませんでした。

 そして、アメリカの水産局の担当者が、東京のとある先生に日本産マガキをアメリカで養殖できないかと相談したのが始まりと言われ、肉付きが良く成長が早く環境に適応しやすい日本のマガキが注目されました。マガキの生育温度に近いワシントン州沿岸ならできるかもと輸入が始まります。しかし、3〜4センチ大のオリンピアやアメリカガキに慣れていたアメリカ人には、大きなマガキのグロテスクさには抵抗がありました。日本人カキ業者さんの試行錯誤が始まります。成長しすぎないように、早めに収穫出荷したり、販促活動に力を入れました。

 大戦中は輸入停止になりましたが、47年から輸入が再開され、宮城県の生産者が種カキ生産を担いました。70年代には米国内でも技術が発達し、種ガキの輸入に頼らなくてよくなりました。一方で終戦まもない46年、熊本県から試験的に輸入されたシカメガキ(Cassostrea Sikamea)が、小さくて肉付きが良く、見た目も良いと盛んに養殖されるようになりました。それが、「クマモト・オイ スター(Kumamoto Oyster)」です。

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太平洋沿岸で育てると、養分がありすぎて大きくなってしまうから、品種改良したと聞いたことがありますが、確かに品種改良したようですが、その前に日系人とカキの養殖の歴史の奥深さがあり、食文化や日系史の研究課題として研究されている学者さんもいらっしゃいます。なぜカキに日本名がついているのかしっかり分かっておらず、フードコーディネーターとしてお恥ずかしい限りです。

先人の方達の不断の努力が今私たちの口福になっているんですね。
今度から感謝して食べなきゃと思いました。

【Mission Street Oyster Bar】
住所:2282 Mission St, San Francisco, CA 94110
Tel: 415-621-6987
オープン:木〜月:12:00〜21:00(金土〜22:00)
休日:火曜日・水曜日
URL:https://missionstreetoysterbarsf.com

筆者

アメリカ・カリフォルニア州特派員

美丸(Mimaru)

サンフランシスコ在住ビアジャーナリスト。全米のクラフトビール探求の日々、訪問したブルワリー、タップルーム情報は随時投稿。

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