ジュネーヴ

Genève

「ジュネーヴはスイスではない」と極言されるほどのコスモポリタン都市、ジュネーヴ。
いちばんの理由は、ここに多くの国際機関が集中しているからだ。第1次世界大戦終了後に設立された国際連盟の本部がおかれてから、「世界都市」としてのジュネーヴの歴史は始まった。第2次世界大戦後は国際連合欧州本部や国際労働機関、赤十字国際委員会など、20近い重要な国際機関の本部や事務局がおかれている。世界中から集まるそれら国際機関に勤めるスタッフとその家族、労働力不足を補うためのおもに地中海沿岸諸国からの出稼ぎ労働者、そしてこの地を訪れる旅行者も、もちろん国際都市の“国際度”を高めている。
もうひとつ、歴史的原因として挙げられるのは、ここがカルヴァンの宗教改革以来、旧体制に反逆する人たちの避難場所的存在だった、という事実である。保守的な国王が支配する専制国家に囲まれたこの地にあって、革新的思想に対して非常に寛大であったジュネーヴ人のなかから、ジャン・ジャック・ルソーが生まれた。そのジュネーヴの人々のなかにヴォルテールが、バイロンが、そしてレーニンが、やすらぎの場所を求めて入ってきた。コスモポリタン都市は、500年の歴史のなかで育まれてきたといえる。
19世紀後半から、スイスでのバケーションは、当時の超大国イギリスの貴族たちのファッションとなった。従者を従え、ひと財産になるほどの大荷物を持って、貴族たちはまずジュネーヴにやってきた。観光立国としてのスイスの幕開けである。
すでにヨーロッパで有名になっていた時計を扱う商店や、宝石・貴金属商が栄え、ジュネーヴの商業都市としての地位が築かれていったのもこの頃である。
ジュネーヴは、周囲をぐるりとフランスに囲まれ、スイスから突き出ている。くびれの所は幅が4kmしかない。だからいろいろな所で、土地をフランスと共有している。ジュネーヴ国際空港も、敷地の半分はフランス領。国境を毎日歩いて渡り、市電でジュネーヴに働きに来るフランス人労働者も多い。5万もの人々が、あちこちの国境を通って毎日ジュネーヴに通勤している。
「ジュネーヴはスイスではない」という他州のスイス人たちの言葉は、コスモポリタン都市という意味のほかに、フランス文化の影響を受けたジュネーヴに対する一種の皮肉ともいえる。

空港から市内へ
ジュネーヴ国際空港Aéroport International de Genèveは鉄道駅とつながっているので、ジュネーヴ市街はもちろん、スイス各地へそのまま向かうことができる。
1階の到着フロアから“Gare CFF”の表示に従って連絡通路を200mほど進むと国鉄駅のメインホールがあり、エスカレーターで地下へ下りるとそこがもうプラットホーム。ジュネーヴ(コルナヴァン)駅までは所要7分。十数分おきに出ている。スイス各地への直通列車が出ているが、ジュネーヴ駅までならどの列車に乗ってもいい。
タクシーは市内までCHF35〜50、所要約20分。市バスなら5・10番で所要約30分。それぞれ1時間に4〜7本(5:00〜24:00台)。

市内交通
市内を歩くのに一番便利で安いのは、市バスと市電(トラム)を使うこと。ほとんどのバスはコルナヴァン駅を中心に走っている。駅正面に停まるバスは、6・8・9・25番などが旧市街へ行く。バスの1日券CHF8(9:00〜)、24時間券CHF10もあり、駅の観光案内所の隣の窓口で買える。路線図も一緒にもらっておこう。スイストラベルパスも有効。
1回分のチケットは乗車前に停留所にある自動券売機で買っておくこと。3ストップ以内はCHF2、1時間券はCHF3。

ジュネーヴの歩き方

ジュネーヴの中央駅(通称コルナヴァン駅)は南口が正面。観光案内所は駅の正面玄関から延びるモン・ブラン通りとイル島にある。
ジュネーヴの町は、旧城壁(今では残っていない)内の中世以来の旧市街、旧市街と駅までの間の商店街、湖畔の公園と邸宅地域、国際機関の集まるONU地区とに分けられる。
まず駅前からバス5番(Thônex-Vallard行き)に乗って橋を渡り、ベレール広場Pl. Bel-Airを経由してヌーヴ広場Pl. Neuveへ。ここは旧市街La Citéの端に当たり、目の前がバスティオン公園Promenade des Bastions。ここにカルヴァンの宗教改革記念碑Monument de la Réformationがある。記念碑の後方の小高い丘の上に広がる旧市街に上っていこう。
旧市街のあちこちに、小さな美術館やギャラリーなどがある。サン・ピエール大聖堂Cathédrale St. Pierre近くの14世紀の建物はタヴェル館Maison Tavel。ローマ時代の遺跡や発掘品、絵画などの展示から、この町がどのように発展してきたかを知ることができる。また、この付近には国際宗教改革博物館Musée International de la Réformeや、ルソーの生家を博物館にしたルソーと文学の家Maison Rousseau et Littérature、カルヴァンの住んでいた家などがある。
旧市街の迷路のような階段をサン・ピエール大寺院脇から湖側に下りると、商店がにぎやかに並ぶローヌ通りRue du Rhôneに出る。Place Longemalleを抜けると、花時計のあるイギリス公園Jardin Anglaisに出る。そこから、高さ140mの大噴水Jet d'Eauが、1360馬力で吹き上げられるのを左に見ながら、ラグランジュ公園Parc La Grangeと、その隣のオーヴィヴ公園Parc des Eaux-Vivesまで歩こう。
帰りは公園前から2番のバスでローヌ通りに戻る。ここまで来れば、ルソーの像のあるルソー島に寄っても駅まで10分。橋を渡って、メインストリートのモン・ブラン通りRue du Mont-Blancを行けば、駅は突き当たり。
ジュネーヴのコスモポリタニズムの集結地であるONU地区へは、駅から5・8番かF・V・Zのバスで。バスを降りた所に脚の折れた巨大な椅子のオブジェが立っている。そこから左に歩いていくと、広々とした緑が広がるなかにアリアナ美術館、国際連合ヨーロッパ本部のパレ・デ・ナシオンがある。

ジュネーヴへのアクセス

パリParis Gare de Lyon駅からTGV(フランス新幹線)で3時間15分。イタリアのミラノ中央駅からは直行便のECで4時間強。スイス各地からはチューリヒから2時間43分~2時間46分。ベルンから1時間44分~2時間弱。

写真

基本情報

ジュネーヴ
使用言語
フランス語
標高
383m
郵便番号
CH-1200(地区によって下2ケタが変わる)
エリアコード
022(市内通話の場合でも初めにエリアコードをプッシュする)
Genève Tourisme
住所
Quai du Mont-Blanc 2
電話番号
(022)9097000
開館時間
9:15〜17:45(木曜10:00〜、日曜、祝日10:00〜16:00)
閉館日
1/1、12/25
最終更新 :

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