なるほど!ザ・石垣
和歌山市よりこんばんは。
しばらく和歌山城ネタが続きそうな気配がしている麻巳子です。
和歌山城の石垣は、時代によって違いがあり面白いですよ。
お城を築く場合、石垣の積み方には、
・野面積み(のづらづみ)
・打込み接ぎ(うちこみはぎ)
・切込み接ぎ(きりこみはぎ)
の種類があるそうで、和歌山城ではそのすべての積み方を見ることができるのです。
<桑山時代>
天正13年(1585)
羽柴秀吉(豊臣秀吉)は弟の秀長(ひでなが)に命じて、藤堂高虎(とうどうたかとら)を普請奉行(ふしんぶぎょう)に任じて和歌山城を築城させました。
(※ 秀長の本拠が大和郡山城なので、桑山重晴が城代となっています。)
その時に地元産の緑泥片岩(りょくでいへんがん:通称・青石)を石垣に使用しています。
緑泥片岩は、近世城郭では和歌山城と徳島城にしか使われていないという珍しい石で、緑色の美しい石です。
その石材丁場(せきざいちょうば)は、岡口門の東南に接する地でした。
現在、岡公園となっている場所にある天妃山(てんぴざん)には、この時の採石によって急峻(きゅうしゅん)な岩場となったそうです。
その岩肌の随所に楔(くさび)を打ち込むための
矢穴(やあな)が残っています。
「御作事所跡(おさくじしょあと)」の標柱が建っていますが、柵で周辺が囲まれているので今はそばで見ることができなくなっていました。
緑泥片岩は、縦にもろいので、割石(わりいし)を横にして積む、
野面積みで、城内で最も古い石垣です。
自然石や荒加工の割石を積んだものなので、荒々しく素朴な石垣です。
何ヶ所かに野面積みの石垣を見ることができるのですが、通称・山吹渓(やまぶきだに)の石垣がある道が美しいなと思います。
こちらは左右から石を積み、中ほどで交わる「しのぎ角」といわれる技法のようです。
数か所に見られ、これは二の丸近くで撮影したものです。
石垣の角石(すみいし)には、井桁(いげた)風に石を組む「算木積み(さんぎづみ)」の技法も見られます。
長方体の長辺と短辺を交互に重ね合わせることで、強度を増しているのだとか。
天守閣の乾櫓(いぬいやぐら)の北側の石垣は、
経典を納める「宝篋印塔(ほうきょういんとう)」の台座を転用した隅石、転用石(てんようせき)があります。
<浅野時代>
慶長5年(1600)
浅野幸長(よしなが)が城主になると、大規模な城郭の拡張と改修をしています。
石垣の補強の石は、和歌山市加太(かだ)沖の友ヶ島(ともがしま)や虎島(とらじま)から多く切り出されました。
石種は和泉砂岩(いずみさがん)で、積みやすいように槌(つち)で加工され、
「打込み接ぎ」の技法で積まれました。
大きな石の間に小石を詰めた積み方です。
<徳川時代>
元和5年(1619)
徳川頼宣(よりのぶ)が入国し、和歌山城をさらに増築、拡張しました。
徳川のころも当初は和泉砂岩を用いた「打込み接ぎ」ですが、後に精密に加工して積んだ「切込み接ぎ」の石垣となり、
熊野の花崗斑岩(かこうはんがん)も用いられるようになりました。
石全体を加工した隙間のない石積みです。
こちらは松の丸櫓台ですが、長方形の同じような大きさの石が積まれていて、石垣の目地(めじ)が整然と並んでいます。
これを離れてみると箱が並んだように見えるので「箱積み(はこづみ)」と呼ばれるそうです。
このそばには、
打込み接ぎと切込み接ぎが見られ、補強された部分が分かります。
一中門跡の石垣には、角を五角形や六角形に加工して積んだ「亀甲積み(きっこうづみ)」のような技法が見られるのですが、
やや変則的なので、「亀甲崩し(きっこうくずし)」などと呼ばれているようです。
このように、桑山時代、浅野時代、徳川時代の石積みが見られ、和歌山城の変遷(へんせん)を知ることができます。
知っていると石垣を見る楽しみ方も違ってきますよ!
<おまけ>
天守閣へ登る表坂と虎の像がある間の石垣に防空壕跡があるのですが、
石垣が崩れたようなこの場所かしら?
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