本当に半額で感激!「英政府による飲食店割引キャンペーン」

公開日 : 2020年08月22日
最終更新 :

以前より、新型コロナウイルスの流行で打撃を受けているホテル・外食産業や観光業を支援するため、イギリス政府が飲食特別キャンペーン(支援計画)を2020年8月に実施する、というニュースは小耳に挟んでいました。

「そんなにすごい政策が!?」と気にはなりつつも、週末に適用されないこともあって、これまで利用しないままでした。8月いっぱいの限定なので、そろそろ使ってみないと「損損!」と思い、平日の夜に試してみました。

キャンペーン内容

この「Eat out to help out(助けるために外食しよう)」計画では、8月中(3〜31日)月曜日から水曜日に外食すると、飲食代(除くアルコール飲料)の最大50%の割引が受けられます。ひとり当たりの割引額は最大£10。

使用回数、利用者数に制限はなく、このキャンペーンに参加表明をしたイギリス全土のレストランやカフェ、パブにバー、学食や社員食堂、フードホールといったサービス産業の施設で適用されます。クーポンの提示や事前申告といった手続きは必要なく、最低利用金額も設定されていません。ただただ、会計時に割引分が自動的に差し引かれるという、利用者にとってたいへん便利な仕組みです。

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スーナク財務相は、この計画はCOVID-19によって営業に打撃を受けた「レストランやカフェ、パブに顧客を戻し」、「こうした場所で働く180万人」を守るものだと説明しました。(参照: Gov.UK 'Eat Out to Help Out launches today - with government paying half on restaurant bills')

実際に使ってみよう!

計画内容を熟読したあと、さっそくウェブサイト内「Find now」ボタンを押して、対象レストランを探しました。現在の位置情報を使って検索すると、半径5マイル(1mile=約1.6km)以内で周辺の参加飲食店が表示されます。

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出てきた飲食店をクリックしようとしても店情報とリンクされていないのがたまに傷ですが、大手地場カフェやピザのチェーン店など、有名どころからローカルの小規模自営業店まで、選択肢は豊富にあります。割引を最大限に利用するため、貧乏根性を発揮して少しお高めな店を狙いながら、最終的に「The Bridge Restaurant & Bar」という店に予約を入れました。

元駅舎を改装した地中海レストラン「The Bridge」

「古いもの」に価値を見い出し、伝統と格式を重んじるイギリスでは、使われなくなった元クリケット場を改築してカフェ(関連記事)にするなど、もともとあったものを畑違いの形でよみがえらせることが上手です。

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今回利用した「The Bridge」も好例で、こちらの建物はもともと駅公舎内の発券売り場を改装してレストランにしたものです。また、レストラン名になりロゴマークからもわかるように、このレストランは橋の上に建てられ、すぐ真下を線路が走っているのもユニークです。店内の壁には、昔の駅舎や線路のモノクロ写真が多数飾られていました。

新型コロナウイルス対策は必須要項

めずらしく「スマートカジュアル」というドレスコードまであり、いったいどんな格調高いレストランかと少し緊張しながら向かいましたが、「カジュアル」というだけあり、店内も客層もそこまで厳格な雰囲気ではなくホッとしました。

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今回の飲食店支援キャンペーンでは、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐための対策も、義務づけられています。「The Bridge」でも入店して正面に消毒用ジェルが置かれ、床には一方通行を表すテープが、壁には社会的距離(ソーシャル・ディスタンス)をとるステッカーがあちこちに貼られていました。利用客が去ったあとは即座に消毒液で座席などを拭いており、支払いはカード払いを推奨していました。

新旧が融合したトルコ料理

食事はフェタチーズのギリシャ風サラダといった地中海料理と、モダンな創作料理のほかにシシカバブなどのクラシックなトルコ料理も得意です。

ベジタリアンメニューにも、Guvecという見知らぬ名前のポット料理があり、「伝統的なトルコのキャセロール(蒸し鍋焼き料理)」(£14.95)とあったので、それとアボカドとイチゴのサラダ(£5.5)といういかにも写真映えしそうなサラダを前菜として頼みました。

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その味の確かさに、この夜はすっかり「トルコの伝統」がテーマになってしまい、デザートにはもちろん、Baklava(£5.95)というくるみとハチミツシロップの「伝統的な」パイ包みをチョイス。焼き菓子そのものもさながら、添えられたチョコレートアイスも、中になにやら不思議なザクザクとした食感のいいものが混ぜられており、とてもおいしかったです。

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特筆すべきは一緒に頼んだアイリッシュ・コーヒー。通常、コーヒーの上にのるクリームはカフェラテやカプチーノのように、同じくぬるめなことが多い気がしますが、こちらではクリーム自体もホイップされたものでなく、泡立てもゆるくサラサラめのクリームが冷たいままかけられており、下の温かなコーヒーとの対比が絶妙でした。

緊張の瞬間、会計はいかに⁉︎

いずれも「ドレスコードあり」の名に恥じない、格調高きレベルでした。さて、気になるお会計も噂通り(規定通り)本当に、しっかり最高割引限度額×人数分がちゃんと引かれていました!

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このキャンペーンは残念ながら今月末で終了してしまいますが、政府はこのほかに7月15日からの6ヵ月間、これらの業界の「サービス・商品にかかる付加価値税(VAT)を20%から5%に引き下げる」という施策もすでに展開しています。

イギリスでは3月から始まったロックダウン(都市封鎖)で飲食店が休業を余儀なくされていましたが、7月4日に3ヵ月以上ぶりに営業が再開された、という背景があります。VATの引き下げ継続は、このキャンペーンの目的である「利用することによって支援しよう」といった趣旨に対しても行動しやすいので、ありがたいです。

この日の「The Bridge」でも客足は伸びたようで、回転率も早いので次から次へと来店客があり、店内は終始にぎわっていました。マネジャーさんも「キャンペーンのおかげで満員御礼だよ。水曜日なんて普通はそんなに人が入らない曜日だからね」といっていました。今回の新型コロナウイルス発生に関して、飲食店経営の難題は「テナント家賃の支払いにある」と聞きます。一時しのぎ、焼け石に水の場合もあるかもしれませんが、お店もお客も双方ハッピーになれるこのイギリス政府の計画に、もうしばらく参加できたらと思います。

◼️The Bridge Restaurant & Bar・住所: The Bridge, Station Buildings, Cross Road, Tadworth, Surrey KT20 5SP・アクセス: 電車Tadworth駅直結・営業時間: 月〜木 17:00〜23:00、金〜土 12:00〜23:00、日・祝 12:00〜21:00・URL: https://thebridgegrill.com/

筆者

イギリス特派員

パーリーメイ

2017年よりロンドン南部で家族と暮らしています。郊外ならではのコスパのよいレストラン、貴族の邸宅、城めぐり、海沿い情報などが得意です。

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