英「ボンベイ・サファイア」蒸溜所見学ツアー

公開日 : 2022年09月29日
最終更新 :

日本でも爽やかな青いボトルで知られている「ボンベイ・サファイア(BOMBAY SAPPHIRE®)」は、ボンベイ・スピリッツ社が製造しているイギリスの蒸溜酒、ジンのブランド名です。

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イングランド南岸にあるハンプシャー州「ボンベイ・サファイア蒸溜所(Bombay Sapphire Distillery)」の蒸溜所見学ツアーに参加してきました。

まずは1杯!

ツアー開始までに時間があったので、受付を済ませたあとは係の人がジン・ショップまで案内してくれました。頃合いを見計らってビジターセンターまで戻ると、ほかの参加者たちも集まり、総勢13人でツアーの「Discovery Experience」が始まりました。

水先案内人は、受付をしてくれたティムさん。こういった見学ツアーというものは、ビールにウイスキーと、いずれも試飲は最後のお楽しみであることが多いですが、本ツアーにおいては「まずは1杯」だったので驚きました。

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新作を含めた3種類のジン・ボトルの前には、それぞれオレンジ、レモン、ライムのスライスが置かれ、イギリス発祥の清涼飲料、トニック・ウォーターと混ぜてジントニックのでき上がりです!

普段は料理でも敬遠する八角を入れてみると、予想以上の爽やかさが口に広がり、新たな世界を発見できました。

元製紙工場の蒸溜所

特製ジントニックを飲み干したあとは、いよいよツアーへ出発です。ボンベイ・サファイア蒸溜所の建物はどれもレンガ造りで、敷地内には小川が流れるなど、一見してあまり蒸溜所には見えません。

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これは1963年に閉鎖した製紙工場、ラヴァーストーク・ミルの跡地を改築して利用しているからです。工場ではイングランド銀行の紙幣が作られていたこともあり、エリザベス現女王を含め4人の王室関係者が訪問し、建物はイギリス指定建造物2級(特別に重要な建造物)と、由緒ある企業でした。

その後いくたびかの所有者不在期間を経て、危うく更地に再開発されそうだったところを、ボンベイ・スピリッツ社が2010年に買い取り、2014年にはビジターセンターとして一般公開する運びになりました。

インド銀行向けにルピーを刷っていた建物、「インディア・ハウス」では、前蒸溜所で1800年代に使われていた従来型のスチル(蒸溜器)をもとに、より進化させ大型化した「ヘンリー」と「ビクトリア」の主力スチル2機が稼働しています。

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次に、同蒸溜所の看板ともいえる象徴的な温室「グラスハウス」に向かいます。大小ふたつに分けられており、小さい方が亜熱帯の、大きい方が地中海地方の気候を再現しています。温室内では、それぞれボンベイ・サファイアの香りづけに使われるボタニカル(香草・薬草類)が栽培されています。

なお、ツアー参加者からよく質問されるようですが、温室内で栽培されている植物はあくまでも観賞用で、ボンベイ・サファイアの製造には使われないとのことです。

「ボタニカル・ドライルーム」と蒸溜器見学

「ボタニカル乾燥室(ドライルーム)」では、ボタニカルを手ですくったりスリコギで挽いて香りを確認するなど、自由に材料を手にとることができます。

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オーリスは乾燥に3年もの月日を要し、石のように硬くなったものは粉にするなど、ボタニカルの加工法にはそれぞれやり方がありそうです。また、ボンベイ・サファイアのグレーン・スピリッツは、秋に種を撒いて冬を越し、春や初夏に収穫する冬小麦が原料だとティムさんが教えてくれました。

続いて蒸溜室(スチルハウス)には、ボンベイ・スピリッツ社の創業地、ウォリントンの蒸溜所から移転させた、創業者デイキン氏とその家族の名前にちなんだ「トーマス」と「メアリー」、2機のスチルが鎮座しています。

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ボンベイ・サファイアの主力蒸留器は、インディア・ハウスにある1万2000ℓの容量を持つ大型機ふたつですが、3000ℓを擁すトーマスとメアリー2機も含めたこれら4機は、世界でもほかにない、蒸気抽出法のために特注されたカーター・ヘッド型スチルです。

ツアーでは、実際に使われている銅製バスケットを見ることができ、蒸留に使われる水のこと、瓶詰め(ボトリング)のことなどが説明されました。

限定品も並ぶショップ

ツアー解散後はおみやげが買えるショップに移動です。今回試飲していないほかのラインアップやおしゃれなTシャツ、エプロンやジントニックを作るためのマドラーやシェイカーといった器具などが販売されています。

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ラヴァーストーク・ミルでしか見られない4機のスチルとグラスハウスを見に、ボンベイ・サファイア蒸溜所の体験ツアーに参加してみてはいかがでしょう。

◼️ボンベイ・サファイア蒸溜所(Bombay Sapphire Distillery)・住所: Laverstoke Mill, London Road, Laverstoke, Whitchurch, Hampshire RG28 7NR・最寄り駅: 電車OvertonまたはWhitchurch駅よりタクシー(BasingstokeまたはAndoverよりバスも有り)・URL: https://www.bombaysapphire.com/distillery/

筆者

イギリス特派員

パーリーメイ

2017年よりロンドン南部で家族と暮らしています。郊外ならではのコスパのよいレストラン、貴族の邸宅、城めぐり、海沿い情報などが得意です。

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