
チンチン電車で周るリスボンの名所めぐり
ポルトガルといえば、日本から距離的には遠くともフランシスコ・ザビエル、鉄砲、南蛮貿易……と、小学校の歴史授業などで初めて触れる西洋の国として、なじみ深いのではないでしょうか。
「なんとなく日本っぽい」と教えてくれたイギリス在住の知人は、ひとりやふたりではありません。首都のリスボン(Lisbon)はサウダージ/サウダードゥ(saudade)という、郷愁を意味するポルトガル語がピッタリのレトロかわいい町でした。
観光客には見逃せないトラム28番
レトロな景観を作り出しているアイテムのひとつは、リスボン市内を縦横無尽に走る路面電車、トラムです。チンチン電車という言葉がピッタリのこの懐かしさを感じるトラムは、路線によってはかつての移動手段としての役割から、近頃ではあまりにも人気過ぎて大混雑、すっかり観光客用のアトラクションと化しているようです。
特に28番は主要な観光名所を通り、フォトジェニックな写真を撮れるとあって夏場のハイシーズン中などは、肝心の景色が見れないなど乗り降りもたいへんな様子。

幸い訪れたのは2023年2月と冬だったせいか、始めに少し立っていた程度で、すぐに座れるほどゆったり乗車できました。R. Conceiçãoという停留所から地下鉄構内で買った1日周遊券(電車、地下鉄、トラム、バスが乗り放題で€7.1)を利用しましたが、ほかにも乗り場はありますし、割高ですが運転手から直接購入する現金払いもあります。
穴場写真映えスポット「グリーン・ストリート」
トラムから眺めるリスボンの建物は、きれいに塗装やタイル張りされたカラフルなものが多く、ピンク・ストリートなど色の名前がついている通りもありますが、R.S. Bentoで下車したところには「グリーン・ストリート(The Green Street)」なるものがありました。
てっきりどこもかしこも緑色尽くしの建物が並んでいる通りかと思いきや、現地在住者のブログによるとポルトガル語でRua Verdeというこちらは、密集した住宅街のバルコニーから垂れ下がる観葉植物や花、地域住民によって通りに置かれたプランター植物などに由来した名前なんだとか(参照:Szostek, Anna. “Lisbon Green Street Rua da Silva” 2017-2021, The Lisboner.)。

細い路地には、おしゃれでカラフルなアパートから吊るされたミスマッチな洗濯物や、よい匂いを漂わせる個性的なレストラン、居酒屋の提灯までもが飾りつけのモールや旗とともになじんでおり、不思議な景観を作り上げています。
グーグルマップに記載されているほどの写真映えスポットですが、日本語での情報はウェブ上でも見当たらず、人も少ないので穴場の観光名所といえそうです。
凱旋門から埠頭まで続く開放的な宮殿広場周辺、バイシャ地区
最後はリスボン王道の観光地、「コメルシオ広場(Praça do Comércio/Commerce Plaza)」などがあるバイシャ地区の紹介です。もちろん、一帯にはPç. Comércioなど、各所にトラムの停留所があります。
歩行者天国になっているメインストリートのアウグスタ通りには、かの有名なエッグタルト、パステル・デ・ナタや、ポルトガルの定番料理である干しダラのコロッケ、バカリャウ(pastel de bacalhau)の専門店などの飲食店があります。

楽団が奏でる音に合わせて、民族衣装で観光客と踊るダンサーや土産店も多く、とにかくにぎやかなのでテラスのレストランやカフェに入って、行き交う人々を眺めるだけでも十分楽しめます。
“勝利の門”ことルア・アウグスタ・アーチ(Arco da Rua Augusta)を抜けると、目の前にはかつてリベイラ宮殿があったコメルシオ(貿易の意)広場が現れます。
- ◼️
- コメルシオ広場(Praça do Comércio/Commerce Plaza)
- ・住所
- 1100-148, Lisboa
- ・アクセス
- 地下鉄Terreiro do Paco駅すぐ
大きいはずのホゼ1世の銅像が小さく見えるほどだだっ広い敷地は、アーチから繋がったパステルイエローの美しい回廊に囲まれています。相当な人数で撮っている団体写真もこのとおり、たいした数ではないように見えるほど大きく開放感があります。

海と見紛うほどのこれまた広大な河川、テージョ川に向かって進むとなにやら順番待ちをしている観光客が。一見するとただの柱にしか見えないのですが、対になったこちらはリスボンへ上陸する際の玄関口であり、宮殿前という場所柄、イギリスのエリザベス女王2世を1957年に迎えるなど、外交上においても重要な埠頭でした。

行列は、この歴史的に価値のある2本の円柱の間に立って、写真を撮るためのものでした。けれども私が気になったのは、花より団子でそばにリアカーで出していた屋台。こ、これは……

見覚えのある、焼き栗なのでは!? それにしてはずいぶんと大きいうえに、なんだか得体の知れない粉糖のような白い粉が表面に吹いています。調べてみると、これはやはり車体の看板に書かれているとおりcastanha=栗で、ポルトガルではなじみ深いおやつなんだとか。まさかこんなところで懐かしの代物に出逢うとは思ってもみず、遠目から執拗に眺めてしまいました。準備中だったので買えなかったのが残念ですが、いつか食べてみたいです!
ポルトガル版チンチン電車を利用すれば、そんなに歩き疲れたという気もしないまま、チョコチョコと多方面を周れるので、リスボンの市内観光にはおすすめです。

筆者
イギリス特派員
パーリーメイ
2017年よりロンドン南部で家族と暮らしています。郊外ならではのコスパのよいレストラン、貴族の邸宅、城めぐり、海沿い情報などが得意です。
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