リトアニアってどんな国?いち押しの都市と魅力、行き方を紹介

公開日 : 2023年04月24日
最終更新 :

ヨーロッパ・バルト三国のうちのひとつ、リトアニア。第2次世界大戦中、リトアニア領事官にて杉原千畝が命のビザを発行したことは有名ですが、どういう国なのか、何が有名なのかと聞かれると答えに窮する方もいるかもしれません。現在、国土面積は北海道の80%ほどですが、15世紀頃にはヨーロッパ最大の領土をもつ国でもあったという一面も。ほかにも、世界遺産に登録されている首都ヴィリニュスの旧市街やパワースポットの十字架の丘など、見逃せない魅力もたくさん。今回は、リトアニアとはどういう国なのか、おすすめ観光スポット、リトアニアへの行き方をまとめて紹介します。

リトアニアってどんな国?

リトアニアは、ヨーロッパの北東部に位置する共和制国家。バルト海の東岸に南北に並ぶエストニア、ラトビアと合わせてバルト三国とよばれています。

日本からは乗り継ぎで約16時間前後。時差は6時間あり、リトアニアが12:00のとき日本は18:00です。

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首都はヴィリニュス(ビリニュス)で、人口は約281万人(2018年時点)。言語はリトアニア語で、多くの国民がキリスト教ローマカトリックを信仰しています。国旗は黄色、緑、赤色の3色で構成されていて、それぞれ太陽、森、独立のために流した血を表しています。

「森と湖の国」でもあり、首都ヴィリニュスを含め多くの都市が深い緑に囲まれていて、国内には約3000もの湖があるなど自然豊かな国でもあります。

いち押しの都市4選

リトアニアの各都市にそれぞれの魅力がありますが、今回は特に訪れたい都市を4つ紹介します。

1. ヴィリニュス

ヴィリニュス旧市街の町並み
©iStock ヴィリニュス旧市街の町並み

はじめに紹介するのは首都ヴィリニュス。市内にはたくさんの教会があり、どの教会でもひざまずき一心に祈る人々が見受けられます。そのような人々の様子や建物、町並みもあいまって穏やかな雰囲気が感じられる町です。

ヴィリニュスの旧市街は1994年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。広さは約3.6㎢で、ヨーロッパで最も広い旧市街のひとつです。旧市街のメインストリートは夜明けの門通り、ディジョイ通り、ピリエス通りと続く、南北を縦断する大きな通り。ここには民芸品を売っている出店やショップ、カフェ、リトアニア料理レストランが並び、歩いているだけで楽しい時間が過ごせます。

観光スポットも数多くあり、特にヴィリニュスの中心にあるシンボルである大聖堂(アルキカテドゥラ)や、代々のリトアニア大公が住んだ王宮、ヴィリニュス市内が一望でき、歴史も学べるゲディミナス城は必見。

ほかにも、旧市街から熱気球に乗って1000mの高さから旧市街を見渡すアクティビティもあります。世界遺産で気球に乗れるのはここだけ! 高いところが平気な方はぜひ挑戦してみましょう。

2. カウナス

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ふたつめの都市は、ヴィリニュスからバス・電車で約1時間の第2の都市、カウナス。1929年から22年間ヴィリニュスに代わり首都として機能していました。15世紀半ばにハンザ同盟の代表部が設けられ、商業活動の中心地として繁栄した経緯があり、現在でも中世の面影が色濃く残っています。

この町の旧市街にある白鳥と呼ばれる美しい旧市庁舎はもちろん、リトアニアが誇る芸術家、チョルリョーニスの作品をメインに展示する国立チョルリョーニョス美術館や、町を見下ろす高台に建つキリスト復活協会のモダニズム建築など、見どころがたくさんあります。

また、カウナスは杉原千畝が活躍した町。かつての日本領事館は杉原記念館として残されており、彼の生涯をまとめたビデオや実際に発行されたビザを見ることができます。杉原が領事館強制退去後に滞在し、ビザを発行し続けたメトロポリス・ホテルは現在も営業を続けており、当時の様子を垣間見ることができます。

3. シャウレイ

無数の十字架が圧巻の十字架の丘
©iStock 無数の十字架が圧巻の十字架の丘

北部リトアニアの経済、文化の中心地であるシャウレイ。町の名は、ヴィキンタス率いるサモギティア人が帯剣騎士団を破った1236年の「サウレの戦い」に由来しています。最も人通りが多いのはティルジェス通りとヴィリニアウス通り。観光案内所やレストラン、ショップ、博物館が並んでいます。

そして、シャウレイで訪れたいのは無形文化遺産に登録されている十字架の丘。見渡す限り、大小無数の十字架が立ち並ぶさまは圧巻といえます。十字架の丘は抑圧された民族、宗教の象徴という側面を持っており、リトアニア人に限らず、世界中から多くの人々が十字架を残していきます。自分で十字架を建てることもできるので、興味がある方は丘の入口の広場で売られている十字架を購入しましょう。

4. クライペダ

ドイツ様式の建物
©iStock ドイツ様式の建物

最後に紹介するのはリトアニア第3の都市クライペダ。国の海運を一手に引き受ける港町となっています。日本人にはあまり知られていない町ですが、町の起源は13世紀と古く、世界中から多くの観光客が訪れています。

町のメインストリートはダニェ川で二分されており、北側がマント通り、南側がティルトゥ通りと呼ばれています。北側は新市街、南側は旧市街で、それぞれに時計博物館、劇場広場などさまざまな観光スポットがあります。
また、ダニェ川沿いはきれいに整備された遊歩道となっており、ゆっくりと散策するだけでも楽しく過ごせます。

市街以外の見どころとしては世界遺産に登録されているクルシュ砂州(スミルティネ)があります。市内の船着き場から船で約5分の対岸にあるので、アクセスも容易です。近くには海洋博物館と水族館があるので、合わせて行くのもおすすめです。

リトアニアは何が有名?

リトアニアでは何が有名なのか、食事や文化の面から見ていきましょう。

食事

バルト三国の料理の基本は、肉とジャガイモとライ麦パン。これらの素材に季節の野菜や乳製品などを加えて作るのが一般的です。特に、農業が盛んなリトアニアではジャガイモ、キノコなどの自然の恵みを使ったおいしい料理がたくさんあります。

  • ブルヴィニェイ・ブリーナイ(じゃがいものパンケーキ)©iStock

    ブルヴィニェイ・ブリーナイ(じゃがいものパンケーキ)©iStock

  • シェルティバルシチェイ(ビーツのスープ) ©iStock

    シェルティバルシチェイ(ビーツのスープ) ©iStock

  • キビナイ(ミートパイ) ©iStock

    キビナイ(ミートパイ) ©iStock

特産品

リトアニアは琥珀の産地として知られており、純度の高いものから虫が入ったものまで、さまざまな種類の琥珀が見つかります。ヴィリニュスをはじめ、各地域に琥珀ショップがあるので、色々のぞいて自分だけのお気に入りを見つけるのも醍醐味。琥珀のアクセサリーや、琥珀の成分が入ったコスメも売られています。

ヴィリニュスの「アンバー・ミュージアム・ギャラリー」では、地下に博物館にも匹敵する規模のギャラリーがあり、古代の虫や小動物が入った琥珀も展示されています。琥珀好きであれば必見のスポットです。

ほかにもリネンや木製品、陶器、ハチミツ、手編みのカゴなども有名で、色々なショップでおみやげとして売られています。

  • 色とりどりの琥珀 ©iStock

    色とりどりの琥珀 ©iStock

  • ハチミツ製品 ©iStock

    ハチミツ製品 ©iStock

  • イースターに作られる、ヴェルバと呼ばれる伝統的な花束 ©iStock

    イースターに作られる、ヴェルバと呼ばれる伝統的な花束 ©iStock

文化

リトアニアに来たら試したいのがピルティス(サウナ)。ピルティスの特徴は、さまざまなハーブが豊富に使われること。白樺や楢などの植物で作られた束(リトアニア語でヴァンタ)を作り、それを使って身体を叩きます。ほかにも塩や泥、蜂蜜など天然のものを使って身体をこするのもリトアニア流です。

ピルティスは60度ほどとあまり温度は高くありませんが、湿度が高いことが特徴です。ピルティスに入ったり、近くの池や川に入ったりを繰り返し数時間過ごします。終わるころには、すっかり身体が整うでしょう。

  • ピルティスを行う小屋 画像素材:PIXTA

    ピルティスを行う小屋 画像素材:PIXTA

  • 川や池に入ってクールダウン ©iStock

    川や池に入ってクールダウン ©iStock

  • ピルティスで使うヴァンタ ©iStock

    ピルティスで使うヴァンタ ©iStock

祭り

リトアニアでは季節によってさまざまな祭りが開かれます。

そのうちのひとつ、カジューカス祭は春の訪れを象徴する祭り。通常3月に3日間開催されます。この祭りは、1604年にヴィリニュスで最初のバロック建築、聖カジミエル教会を建てたカシミール大公の命日にちなんで始められた、400年以上続く伝統ある祭典です。旧市街を中心に1日では見切れないほどの出店が並び、パンやハム、ビールなどの食べ物から、イースターの卵や陶器、リネンの服など、ハンドメイド雑貨が売られます。

また、バルト三国といえば歌と踊りの祭典が有名。数年ごとに国を挙げて開かれており、一度はその名前を聞いたことがある方も多いはず。3万人以上の歌い手と踊り手が参加し、約10万人が集う超巨大イベントで、世界無形文化遺産にも登録されています。次回は2024年に開催される予定です。

  • カジューカス祭の様子 ©iStock

    カジューカス祭の様子 ©iStock

  • クリスマスマーケットも有名 ©iStock

    クリスマスマーケットも有名 ©iStock

  • 歌の祭典で踊る人々 ©iStock

    歌の祭典で踊る人々 ©iStock

リトアニアへの行き方

現在、残念ながら日本からリトアニアへの直行便はありませんが、基本的には1度の乗り継ぎで到着することが可能です。

航空券代や飛行時間は、時期や航空会社によっても大きく変動しますが、東京(羽田)- ヴィリニュス間で価格は約30万円前後、飛行時間は約20時間です(航空会社はフィンエアー、ヘルシンキで乗り継ぎ。2023年4月時点)。乗り継ぎ回数を増やせば、その分飛行時間も長くなるものの10万円台で航空券が買えることもあります。時間に余裕がある方、費用を抑えたい方は乗り継ぎ回数を増やしてチケットを探してみましょう。

最近では、コロナ渦を経てさまざまな航空会社が就航を再開したり、セールを行ったりしています。アンテナを高く張り、お得な情報を手に入れて上手に航空券を購入しましょう。

各航空会社についての情報や、空港の使い方については以下のページも参考にしてみてください。

まとめ

小国ながらも、魅力の詰まったリトアニア。今回紹介したのはリトアニアの観光スポット、文化のなかでもほんの一部です。紹介しきれなかった観光スポットや市内での交通手段、国の歴史については『地球の歩き方 バルトの国々』をご覧いただき、あとはぜひ実際にリトアニアを歩いて、自分だけの魅力を発見してみてください。

トップ画像:©iStock

筆者

地球の歩き方 永倉

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