世界中のクリエーターが注目する、ドバイのアートシーン

公開日 : 2023年06月16日
最終更新 :

日本の埼玉県ほどの広さに、400以上の“世界一”があるドバイ。世界一高い建造物「バージュ・カリファ」を筆頭に、世界一のショッピング・モール「ドバイ・モール」、世界一大きな額縁「ドバイフレーム」のほか、ウェルネなドバイの旅でご紹介した世界一の高い場所にあるインフィニティプール「オーラ・スカイプール」といった新スポットも登場し、その数を更新中です。
この刺激的な都市に、クリエーターが注目しないわけがありません。ドバイには今、世界的なアーティストが制作環境を求めて集まり、若手アーティストたちも続々と才能を開花させています。今回は、そんなドバイの最新アートシーンをご紹介します。

ギネス世界記録認定! 世界最大の絵画を描いた英アーティスト、サシャ・ジャフリ氏のギャラリーへ

ジャフリ氏がドバイで制作拠点としているギャラリー。
ジャフリ氏がドバイで制作拠点としているギャラリー。

アートシーンにおいても世界一にこだわるドバイ。2020年には、イギリスの現代アーティスト、サシャ・ジャフリ氏が世界最大の絵の制作に取り組みました。「ウェルネスなドバイの旅」の朝ヨガでご紹介した水族館がある高級ホテル「アトランティス・ザ・パーム」ボールルームに広げられたキャンバスの大きさは約1,600平方メートル。サッカーコート2面分を超える広さがあったのだとか。

アトランティス・ザ・パーム内の水族館入り口近くに展示されている「Journey of Humanity」の一部。
アトランティス・ザ・パーム内の水族館入り口近くに展示されている「Journey of Humanity」の一部。

「Journey of Humanity(人類の旅)」と名づけられたこの作品は、世界最大の絵としてギネスに登録され、さらに70分割されてオークションに出品。 当初、約3,000万ドルの寄付金を集めることを想定していましたが、その金額は倍増し、最終的に約6,200万ドルで落札されました。そして全額がユニセフなどを通じ、コロナ禍に苦しむ世界中の子どもたちの健康と教育に役立てる慈善事業に寄付されたそうです。作品の一部は、アトランティス・ザ・パーム内の回廊に展示されていて、いつでも鑑賞することができます。

悲しいシーンを描きながらも、未来への希望が感じられるジャフリ氏の作品。
悲しいシーンを描きながらも、未来への希望が感じられるジャフリ氏の作品。

現在、母国イギリスとドバイ、さらにニューヨークの3カ所に拠点を置き、制作活動を行っているジャフリ氏。ドバイ滞在中のご本人に、ギャラリーを案内していただきました。

ジャフリ氏は、世界で最も影響力があるアーティストの一人。
ジャフリ氏は、世界で最も影響力があるアーティストの一人。

ジャフリ氏はこれまでロールスロイスとのコラボで話題になったほか、その作品はバラク・オバマ米国元大統領や、デビッド・ベッカム氏、ジョージ・クルーニー氏らも所有しています。そんな世界的アーティストの作品を間近で鑑賞できるのも、ドバイならではです。
サシャ・ジャフリ Sacha Jafri

ドバイの最新アートが集結する「アルサーカル・アベニュー」

若い人を中心に人気となっているアートタウン。
若い人を中心に人気となっているアートタウン。

街を散策しながらドバイの最新アートに触れ、ショッピングや食事も楽しめるのが「アルサーカル・アベニュー」。ここはもともと、工場地帯で倉庫街があった場所。2008年から再開発が始まり、現在は20のギャラリーをはじめ、シアターやカフェ、ユニークなショップなど約70のスポットが集まる芸術地区として生まれ変わりました。アートだけでなく音楽、ファッション、食を融合させたエリアとして、アーティストやクリエーターが集まってきています。

アベニューをぶらぶら散策するだけでも楽しいエリア。
アベニューをぶらぶら散策するだけでも楽しいエリア。

ルイ・ヴィトンとのコラボで知られるアーティストのスタジオへを訪問

フランス生まれのエル・シード氏は、チュニジア人の両親をもつ。
フランス生まれのエル・シード氏は、チュニジア人の両親をもつ。

アルサーカル・アヴェニューで訪問したのは、カリグラフィー・アーティスト、エル・シード(eL Seed)氏のスタジオ。アラビアの伝統的なカリグラフィにグラフィックアートを融合させた作品は、絵画と彫刻という異なるアートの分野を横断するユニークなもので、過去にはルイ・ヴィトンとのコラボレーション作品を手掛け、スカーフなどのファッションアイテムが発表されました。

彼の作品は、ドバイ以外ではパリの「アラブ研究所」のファザード、リオデジャネイロやケープタウンのスラム街といった公共の場に展示され、異彩を放ちながらも街の風景の一部に溶け込んでいるのだとか。日本の文化に興味があるというエル・シード氏。
「日本のマンガ家とコラボするのが夢なんだよ」とのこと。いつか彼の作品が、日本のどこかの街角に登場する日が来るかもしれません。
スタジオ エル・シード アート Studio eL Seed Art
※スタジオ見学には、事前アポイントが必要。以下まで問い合わせを。
isabel@elseed-art.com/info@elseed-art.com

気軽に立ち寄れるギャラリー&ヴィーガン・カフェ

定期的に異なるテーマの展示が行われるイベントスペース。
定期的に異なるテーマの展示が行われるイベントスペース。

エル・シード氏のように、すでに世界的に活躍するアーティストのスタジオがある一方、近い将来、どんどん才能を開花させていく可能性が高いクリエーターの小さなアトリエやギャラリーもあります。
まっ白なコンクリートで覆われたイベントスペースは、世界的に有名なオランダの建築事務所「OMA」がUAE(アラブ首長国連邦)で初めて手掛けた建築物。開放的な展示スペースで紹介される作品は定期的に変わり、いつ訪れてもその時々のホットなアートに触れられます。鑑賞後は、建物の前に広がる芝生の広場でくつろぐのもいいでしょう。

鑑賞の合間には、ティータイムやランチ、お土産探しにおすすめのスポットも。有機野菜やスーパーフードを使ったメニューを味わえるのが、エル・シード氏のスタジオの隣にあるカフェ「ワイルド・アンド・ザ・ムーン(Wild & The Moon)」。

歩き疲れたときやランチにぴったりのカフェ「ワイルド・アンド・ザ・ムーン」。
歩き疲れたときやランチにぴったりのカフェ「ワイルド・アンド・ザ・ムーン」。
その日の気分や体調によって選びたい、コールドプレスジュース。
その日の気分や体調によって選びたい、コールドプレスジュース。

この店のメニューは、添加物、化学物質や遺伝子組み換え作物、グルテン、乳製品を一切含まないヴィーガン・フード。薬草学や自然療法をコンセプトにしたメニューもあり、ウェルネスな旅を目的にしている人にもぴったりですよ。
ワイルド・アンド・ザ・ムーン Wild & The Moon

アルサーカル・アベニュー Alserkal Avenue

ヤシの形の人工島を一望する絶景スポット「ザ・ビュー・アット・ザ・パーム」

地上240mの高さから、パーム・ジュメイラを見下ろせるスポット。
地上240mの高さから、パーム・ジュメイラを見下ろせるスポット。

ホテルやショッピングセンターなどの建造物を鑑賞するだけでもアートな気分に浸れるのがドバイ。そのドバイを象徴するのが、ヤシの木の形をした世界一の人工島「パーム・ジュメイラ」。地上240mの高さにある展望スポット、「ザ・ビュー・アット・ザ・パーム(The View at The Palm)」は、その人工島を一望できる絶景スポットです。

ドバイの街がオレンジ色に染まるサンセットタイムがおすすめ。
ドバイの街がオレンジ色に染まるサンセットタイムがおすすめ。

ドバイの絶景スポットといえば、地上828m・163階建ての世界一の建造物「バージュ・カリファ」124階にある展望台がおなじみですが、絶景度ではここも負けていません。「パーム・タワー」52階にある展望台までは高速エレベーターでわずか45秒。展望フロアに一歩、足を踏み入れると、息をのむような光景が360度広がります。追加料金を払って、さらに眺めのいい屋上フロアまで行くことも可能。外階段を上ってアクセスするため、ちょっぴりスリリングな感覚も味わえますよ。多くの観光客が訪れる人気スポットなので、希望する時間帯を予約して訪れることをおすすめします。
ザ・ビュー・アット・ザ・パーム The View at The Palm

日々、進化する街がアーティストの創作意欲を刺激する

海岸線に遊歩道が整備された「ザ・ポアント(The Pointe)」から望むユニークな建造物は、2023年1月にオープンしたホテル「アトランティス・ザ・ロイヤル」。
海岸線に遊歩道が整備された「ザ・ポアント(The Pointe)」から望むユニークな建造物は、2023年1月にオープンしたホテル「アトランティス・ザ・ロイヤル」。

ドバイのアートスポットは、建造物やギャラリーだけにとどまりません。ショッピングセンター館内のインテリアや展示物、日が暮れるとさまざまな色にライトアップされるモノレールの高架、高層建築にきらめく夜景など見どころはつきません。ディナーの後にそれらを巡る“夜遊び”を安心して楽しめるのも、治安のよいドバイならでは。旅のテーマのひとつに、アート巡りもぜひ加えてみてください。

●取材協力:ドバイ経済観光庁
ドバイの観光情報満載のウエブサイト:Visit Dubai

筆者

永田さち子

フリーランスのライター・編集者。旅、食、ライフスタイルをテーマに、雑誌やWEB記事を執筆。ハワイ記事を得意とし、渡航歴は70回以上。著書に、ガイドエッセイ「よくばりハワイ」シリーズ、「ハワイのいいものほしいもの」「おひとりハワイの遊び方」など14冊があります。プライベートでは、猫好きのへなちょこランナー。

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