【アメリカ】アムトラックの一般席で大陸横断~5日間体験ルポ⑤首都ワシントンへ到着
(前回ルポ④までのあらまし)アメリカのメインランド(本土)を網羅する唯一の長距離鉄道路線、アムトラック。ロスアンゼルスからシカゴ経由でワシントンDCまで、全て普通座席の列車旅に挑戦しました。LA~シカゴを結ぶサウスウェスト・チーフ号は12時間遅れで深夜のシカゴ着となり、乗り継ぎ便待ちのために急遽シカゴで一泊してつかの間の街散策を楽しみ、二本目の夜行列車、カージナル号に乗り込みました。
いよいよ最終目的地・ワシントンDCへ
シカゴからの乗り継ぎで利用したカージナル(The Cardinal)号は、シカゴからいったん南下して、インディアナ州、オハイオ州、ケンタッキー州、ウェスト・バージニア州、バージニア州を経由してワシントンDCに入り、そのあとは北東に向かってボルチモアやフィラデルフィアなどに停車したのち、最終目的地のニューヨーク・ペンステーションへ向かう運行ルートでした。ワシントンDCへは他にもキャピタル・リミテッド号Capital Limitedがありますが、こちらはオハイオ州の北部クリーブランドやペンシルバニア州を経由して、最終目的地がワシントンDCとなる列車です。
南側に迂回するようにルートを取るカージナル号に乗車したので、当初乗車予定だったキャピタル・リミテッド号より約6時間長い乗車時間(約24時間)となりました。荒野や平原を走ることが多かったサウスウェスト・チーフ号と違い、オハイオ州のシンシナティ、インディアナ州のインディアナポリスといった地方都市を通過することが多く、夜中でも町の明かりが多いエリアを走っていました。
シカゴまですでに12時間の遅延を経験していたので心配していたのですが、予想に反してカージナル号はシカゴからほぼ定刻通りに運行し、ワシントンDCにも午後6時半ごろに到着しました。ロサンゼルスで預けていた手荷物も、既に手荷物受取場に届いており、最後はトラブルなく鉄道旅を終えることができました。
アムトラック大陸横断列車旅の長所・短所まとめ
ほぼ5日間乗りっぱなしのアムトラック大陸横断旅を体験してみて気づいた鉄道旅の長所・短所をまとめてみました。
- 何よりも車窓が楽しめ、様々な風景を楽しみながら移動できる。時々見どころのエリアでは車内アナウンスもある
- 列車走行中比較的車内を自由に歩けるので、飛行機やバス移動より着席の窮屈さは感じない(ただし線路の状況によっては結構揺れるときもあり注意が必要)
- 多くの場合空港と接続していないエリアにアムトラック駅があるので駅に行くための交通手段がさらに必要になる
- 都市部から離れたエリアで遅延が発生しても、他の列車や飛行機などへの振り替えが困難
- 寝台車利用であればシャワーが使えるが、普通車では利用できないので、乗り続けるには3~4日シャワーが無い環境で過ごすことになる
- 普通座席は飛行機のエコノミー席やバスの座席よりリクライニングやレッグレストはかなり深く倒すことが出来るが、完全なフラットには出来ないのと、列車の揺れも多少あるので、こま切れ睡眠になりがちだった(特に途中シカゴのホテル泊を入れたので、ベッドとの違いは確実にある)
長距離列車旅の注意点・役に立ったこと
- アムトラックのWiFiのサービスは大都市部など利用できるエリアが限られており、大陸横断路線(特に山間部や人家の少ないエリア)ではアムトラックのWifiがつながらないので各自対策が必要
- ターミナル駅の待合エリアは警備があり比較的安全だが、人の往来の少ないところは注意する
- 移動距離が長い路線になるほど遅延のリスクは高くなるので、旅日程に余裕を持たせておく必要がある
- 普通車座席の窓下に電源はあるが、USBポートは無い(日米で電圧が異なるが、おおむね変圧器なしで使え、日本の二穴プラグもそのまま利用できる)
- 普通座席に枕や毛布の設備は無いので、自分で持ち込むこと(家用の大きな枕を抱えて乗車する人も見かける)
- 電子レンジやお湯の提供は無いので、自分で飲食物を持ち込む場合、温める必要のない食材にする
- アムトラックのアプリを携帯に入れ、会員登録をしておくと、自分が乗車中の列車の運行状況のアップデートがいち早くわかるので便利
- アプリの画面でも乗車券のQRコードは見られるが、念のため紙に印刷した乗車券も持っていると安心
アムトラックの旅は、アメリカ国内にもLCC(格安航空会社)が拡大している昨今では、値段と時間のバランスを重視する旅客にとっては選択肢に入らないかもしれません。しかし、列車旅はある程度時間がかかるからこそ、日常の喧騒から離れ、のんびりを車窓を眺めながらアメリカの大きさを改めて実感できましたし、今回のような遅延ハプニングも含め、時間をかけて旅をすることの醍醐味を味わえるところに楽しみがあると感じました。
<アムトラックの一般席で大陸横断~5日間体験ルポ・完>
筆者
アメリカ・メリーランド州特派員
ベスト加島 聡子
神奈川県出身で、在米20数年になります。現在メリーランド州北東部の町で、家庭菜園とクラフトアートを楽しんでおります。
【記載内容について】
「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。
掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。
本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。
※情報修正・更新依頼はこちら
【リンク先の情報について】
「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。
リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。
ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。
弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。