世界遺産・アンコール遺跡群巡礼ガイド(カンボジア)

カンボジア観光のハイライト、アンコール遺跡群は、1992年12月にユネスコの世界遺産に登録されたました。9世紀初頭から約600年もの間、現在のカンボジア・シェムリアップを支配していたクメール王国(アンコール朝)が残した建造物が点在するアンコール遺跡群の主要スポットを紹介します。
初心者必見! アンコール3大遺跡

1860年、フランス人博物学者アンリ・ムオによって発見されたアンコール・ワット。今から約150年前には、その存在すら知る人はいませんでした。
そのアンコール・ワットを含むアンコール遺跡群は、広大なエリアに700を越える石造寺院や都城を有します。未発掘のものを含めると、その数はなんと1,000を下らないといわれています。
アンコール遺跡群のなかでとりわけ有名なのが、アンコール・ワット、アンコール・トム、タ・プロームの3つです。
クメール建築の最高傑作と評されるアンコール・ワットは、ヒンドゥー教のヴィシュヌ神を祀る寺院です。12世紀前半、スーリヤヴァルマン2世によって、約30年の歳月をかけて建造されました。
城砦都市遺跡と呼ばれるアンコール・トムには、アンコール・ワットが祀ったヒンドゥー教とは異なり、仏教の教えが根づいています。東西南北の4面には、観世音菩薩の彫刻が施されています。
ガジュマル(榕樹)の根が遺跡に絡まり、神秘的な雰囲気を醸しだすタ・プロームは、12世紀末に仏教寺院として建立され、後にヒンドゥー教寺院に改築されたことで有名です。西塔門には、創建当時に彫られた観世音菩薩像が残っています。
「寺院のある都」を意味するアンコール・ワット

アンコール・ワットは、クメール語で「寺院のある都」を意味し、年間300万人もの観光客が訪れる世界三大仏教寺院のひとつです。12世紀初頭、スールヤヴァルマン2世によって創建されたと考えられています。南北約1,300m、東西約1,500mの塀で囲まれた敷地に、ピラミッドのような階層状の寺院がそびえます。

アンコール・ワットには、絵巻物のように読み進められる第一回廊のレリーフ(浮き彫り)をはじめ、200体以上のデバター(女神像)が掘られた第二回廊、クメール王国の王だけが見ることができた第三回廊まで多くの見所があります。なお、北の聖池前は、「逆さアンコール・ワット」が撮れるおすすめのフォトスポットです。
「美しい塔」を意味するアンコール・トム

アンコール・トムは、アンコール・ワットの建設から遅れること半世紀、ジャヤヴァルマン7世によって創建されました。クメール語で「大きな町」を意味するアンコール・トムは、高さ8m、周囲約12kmのラテライト(熱帯地域に分布する赤褐色の土壌)の壁に囲まれた都城です。

アンコール・トムの見所は、都城の中心に位置するバイヨン寺院です。クメール語で「美しい塔」を意味するバイヨン寺院では、観世音菩薩が彫刻された中央祠堂や「クメールの微笑み」と呼ばれる4面に彫られた人面像が有名です。また、バイヨン寺院の周辺では、ゾウ・ライドを楽しむこともできます。
「梵天の古老」を意味するタ・プローム

タ・プロームは、創建時はジャヤヴァルマン7世が母を弔って造った仏教寺院でしたが、後にヒンドゥー教寺院に改築されました。クメール語で「梵天の古老」を意味するタ・プロームは、創建当時、5,000人強の僧侶と600人強の踊り子が住んでいたのだとか。仏教からヒンドゥー教の寺院に変わったことで、壁面に彫られた仏教色の強い彫刻の多くが削り取られました。

タ・プロームの見所は、ガジュマル(榕樹)の根が絡みつく塔や祠堂です。樹齢300~400年と考えられている巨木が遺跡を浸食する様子は、「自然の芸術」ともいえます。今にも押しつぶされそうな塔や祠堂に這うガジュマルの根は、生き物のように見えるから不思議です。
いかがでしたか。カンボジア観光のハイライトであるアンコール遺跡群の主要スポットを紹介しました。クメール王国の栄華が垣間見えるアンコール遺跡群へでかけてみませんか。

筆者
地球の歩き方ウェブ運営チーム
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