審美眼を磨いたら 〜スタイン・コレクション最終週〜
もし、時間があれば、是非。 SF MOMAで開催中の『スタイン・コレクション』 駆け込みで見学してきましたが、バラエティーにとんだ素晴らしい展示でした。
『The Steins Collect』"アバン・ギャルド" と聞いただけでピカソのゴチャッとした絵が想像できます。 そんな作家さん達の作品展です。 でも "Stein" って誰?
Gertrude Stein ガートルード・スタインさんは、アメリカの著作家でユダヤ人の移民のお家、5人兄弟の末っ子で1874年ペンシルベニア州の生まれ。 彼女のお父さんは、鉄道会社に勤めていて、その関係かどうか土地取引で財を得、この方自身は、生涯この投資の利益で暮らせていました。 ⇒ 超お金持ち。 彼女が3歳の時、ヨーロッパへ引っ越し再びオークランドへ戻るけど、家族の休暇、人生のほとんどは、パリに拠点を置いていました。 ⇒ 優雅な生活環境。
しかし、1888年父親が他界、その後すぐに母親も。 わずか14歳のガートルードちゃんは、母に実家に預けられる。 ⇒ 状況的にかなりカワイそうな事になりますが、お兄さんの仕送りで金銭的な心配はなかったようです。 ここで彼女は、夜な夜なサロンに出向き、識者の方から美術について傍らで見聞き。 サロンの中で、門前の小僧、習わぬ経を読む。
>彼女はここで絵や芸術の審美眼を磨いた事になりました。<
ウマの耳に念仏ではなかった。
その後カレッジで心理学の先生に師事したり、海洋学など学びましたが、1903年秋、パリのお兄さんの元へ、そこでピカソと友達になったり、現代美術の研究をしていたお兄さんと絵画の収集が始まる。 ⇒ 資金の心配は無用。
スタインコレクションの原型ができ始めます。
*特別展示を見学して*
200以上の絵画、彫刻。 キュービズム以前のピカソ、点描写で描かれた作品の後期頃の絵、マティス色使いの微妙な移り変わり‥etc。 周囲では、各作品について話が聞こえますが、私は、プログラムで紹介されている作品を 「あったあった。」 と指差したり、絵画の中のトリックを発見して喜んでいる程度。 人それぞれの楽しみ方。
そこは、 『初期の現代美術の百貨店』 でした。
著名な絵画もそうですが、その頃の芸術活動がどんな風だったのか素人なりに楽しく鑑賞できました。 また、経済的な利点はともかく、いい物を見る力は、すぐには養えないともあらためて思わされました。 某骨董収集家さんが、「見極める為には、いいもの沢山見る事。」 と若い頃からの膨大なノートを見せてくれた事があり、目利きになるにも勉強なのだと教わりました。 千里の道も一歩から、ローマは一日して成らず。 この特別展ではそんな事も感じました。
サンフランシスコ近代美術館別の階の常設展示場でも、ジョルジュ・ブラックなど、1900年初期の頃の作品を中心に展示しているコーナーもあり、また近所のジューイッシュミュージアムでは、彼女自身の半生記の催しも9月6日まで開催。 スタインコレクションは、10月からパリで、年明け2月21日からは、ニューヨーク・メトロポリタン美術館でも開催されます。
ルーフトップガーデンの銀杏の木が、何だか色づき始めているような‥。 9月に入り、サンフランシスコの街も少し秋めいてきました。 新学期も始まった学区もあり、今週末のレイバーディーが過ぎると、夏休みも終わりを告げます。
映画:ミッドナイト・パリスで、原稿を持ち込んだお家のおばちゃまが、彼女だった!
筆者
アメリカ・カリフォルニア州特派員
美丸(Mimaru)
サンフランシスコ在住ビアジャーナリスト。全米のクラフトビール探求の日々、訪問したブルワリー、タップルーム情報は随時投稿。
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