ノルウェーとフランスを移動する話題の「丸太小屋」ってなに?

公開日 : 2015年02月23日
最終更新 :

 「北欧のコンセプチュアルアートは、地形や自然からインスピレーションを受けた、詩的でオープンアートという特徴がある」とアストルップ・ファーンリ現代美術館のディレクターGunnar Kvaran氏は説明します。

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Photo: Astrup Fearnley Museet/Marianne Heske, tour - Retour, 2014

 ノルウェーのコンセプチュアルアートの第一人者といえば、マリアンネ・ヘスケ(Marianne Heske)氏。代表作の「移動する丸太小屋」が、現在オスロにある同美術館で4月5日まで展示されています。

ノルウェーのシンボルをアートに

 世界中からの巨匠や若手の現代美術が展示されている中、館内の一部屋に不思議な空気感を放つ、白色と木製の大きな2棟の山小屋が置かれています。数々の作品の中でも、「なんだろう?」と見る者の心に残るオーラを放ちます。ノルウェーの文化を知る人ならば、「ヒュッタ」と呼ばれる山小屋や、山奥でみかける古びた小屋を連想する人も多いのではないでしょうか。

丸太小屋をパリにそのまま運ぶ!

 1980年、ヘスケ氏は「プロジェクト・イェルデルア」(Prosjekt Gjerdeløa)というテーマで、ノルウェー南西にあるターフィヨルドという地域から、1600年代もの丸太小屋を、そっくりそのまま車でパリにあるポンピドゥー・センターまで運び込みました。

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丸太小屋がもともとあったノルウェーの山奥 Gjerdeløa i Tafjord. Foto: Marianne Heske

 パリに出現した、屋根の上に草が生えた古い山小屋。芸術を愛する街パリに住む人々は、遠く離れたノルウェーの山奥から移動してきた、「不思議な小屋」に目を丸くしたそうです。

 その後、ノルウェー国内の美術館や元の場所にあったフィヨルド地帯に小屋が戻された後、現在のアストルップ・ファーンリ美術館に運ばれました。移動を続ける丸太の山小屋。今回の展示「tour - Retour」を記念して、新しく「パートナー」として作られたのが、対照的な白い人工的な小屋です。

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Photo: Astrup Fearnley Museet/Marianne Heske, tour - Retour, 2014

対照的な自然の小屋と、人工的な小屋

 天然樹脂を使用して作られた白色透明の小屋は、丸太の歴史とぬくもりをもつ木の小屋とは対照的。「ポジティブとネガティブ」、「光と闇」、「自然物と人工物」、「オリジナルとコピー」、「過去と現在」など、複数のメッセージを見るものは感じ取ることができるのではないでしょうか。

 2月19日には同館でヘスケ氏によるトークショーが開催されました。集まった人々からは、パリでの展示当時、フランス人はどのように反応したのかということに大きな注目が集まりました。トークショーの様子は動画でまとめたので、ご覧になってみてください。

 ヘスケ氏の作品は、「ノルウェーらしい芸術作品」に挙げられる代表例のひとつにふさわしいものといえるでしょう。

場所:アストルップ・ファーンリ現代美術館(Astrup Fearnley Museet)

住所:Strandpromenaden 2, 0252 Oslo

期間:2014/10/29〜2015/4/5

料金:大人1人100NOK

Text & Film by Asaki Abumi

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