クリスマスのプレゼントは誰が持ってくる?お祝いには何を食べる?~オーストリアの珍しい習慣~
国やキリスト教の宗派により、12月24日、25日、1月7日と、祝う日については諸説あるようですが、オーストリアでは24日のクリスマス・イヴを盛大に祝い、プレゼントも24日の夜に皆で開けます。
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◆誰がプレゼントを持ってくる?
夫と友人から事情をきいてみたところ、大抵の場合、子供たちはお祖母さん宅で24日をすごし、夕方になると両親が迎えに来ます。(この間に両親がプレゼントの用意をしているものと思われます)
そして家に着くと玄関で暫く待たされ、「天使が来た」という合図のベルの音が家に鳴り響くや否や、子供たちは居間に飛び込みます!ところが、そこにはプレゼントの山と開け放たれた窓があるのみ・・・。
天使はいずこに???
そうすると必ず両親が、「たった今天使が窓から飛んで行ったよ!」としたり顔で子供たちに告げて毎年終了するのだとか。
◆24日の夜は何を食べる?
日本ではケンタッキーでフライドチキンを買ってきて食べたり、アメリカでは七面鳥を丸ごと焼いて食べたりする習慣があるようですが、ここオーストリアでは伝統的に鯉を食べることが多いようです。(勿論お魚の嫌いな家庭では出てきませんが)
とはいえ、鯉は泥のような味がするとの定評があり、スーパーマーケットでもこの時期生魚が売られているのを目にしますが、地元っ子の間では必ずしも歓迎されている習慣ではない様子・・・・・・。
(因みにオーストリアは海に面していないので、生魚は貴重且つ高価な食べ物です!)
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このように色々比較してみると、各国や文化圏によってクリスマスにおける習慣は多種多様で、とても興味深いものがあります。
高校時代に著者が南米のチリで迎えたクリスマスは、敬虔なキリスト教国であったこともあり、24日の夜は家族と厳粛なミサに出席してお祈りする等、本来あるべき姿に近い、宗教色の濃いものでした。また日本においては昭和初期から「クリスマス=恋人と過ごす日」という、ただのイベントです。
日本では祝うべき対象も意義もないので(キリスト教徒以外は)当然の結果なのでしょうが、イースターの記事(「復活祭とイースター兎の不思議な関係」参照)でも触れたように「楽しい部分だけ輸入する」という日本の商業パワーには凄まじい力を感じます。それで景気が好転し、日本の経済が潤ってくれるのならば、それも良いのではないかという気もしますが、やはりローマ教皇としてはこのような懸念を表明しています。
「現代の消費社会の中で、この時期が商業主義にいわば『汚染』されているのは、残念なことです。このような商業主義による『汚染』は、降誕祭の本来の精神を変質させてしまう恐れがあります。降誕祭の精神を表すのは、精神の集中と、落ち着きと、喜びです。この喜びは、内面的なもので、外面的なものではありません」
"教皇ベネディクト十六世の2005年12月11日の「お告げの祈り」のことば" より一部抜粋。
(カトリック中央協議会 司教協議会秘書室研究企画訳)
街中が暖かく冷たく煌めくイルミネーションで輝き、人々も浮かれ騒いで喜びを分かち合う時期ですが、ベネディクト16世がこの現象を「汚染」とまで言及していることを鑑みると、キリスト生誕を利用した商業主義・イベント至上主義に若干後ろめたさを感じざるを得ません。
特に大方の日本人は一歩国を出ると「仏教徒」という立場に立たされます。
高校時代の留学先で、「日本人はクリスマスを祝うのか?」、「何故仏教徒が祝うのか?」、「それはブッダへの冒涜ではないのか?」、「自分の宗教に信念と矜持はないのか?」等など、敬虔なキリスト教徒から激しい質問の嵐に遭い、回答能はぬ自分が情けなく、激しい羞恥の念にかられるとともに、自分の宗教観、ひいては日本人の宗教観についてしっかりと外国人や別の宗教を持つ人に対して説明できるだけの知識を身に付ける必要があると感じました。
楽しいクリスマスを批判するつもりは毛頭ないのですが、外国住まいであればこのような窮地に陥った日本人の方も多いのではと推察します。他国を旅行する際には、この様な状況に行き当たらないとも限らないので、常日頃から自分の意見をまとめておくのも良いのではないでしょうか。
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筆者
オーストリア特派員
ライジンガー真樹
オーストリアっておもしろそうな国だな、ウィーンって見どころのある街だな、と読者の皆さまに思っていただけるような記事を配信していければと思います!
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