とにかく楽しい体験型のパリ「国際農業見本市」へ行こう
毎年この時期になると、パリ市内南部ポルト・ド・ベルサイユの展示場で、フランス全国および海外の農林水産品を集めた国際農業見本市(Salon International de l'Agriculture)が開かれています。今年は2月24日から3月4日まで。農業大国フランスの産品が一同に会します。
産品といっても食品から加工品、生産用具まで本当に多様です。牛、豚、羊、馬、鶏、アヒルなど、家畜そのものも会場内に展示されています。食品の試食・試飲もできますし、気に入った品物を生産者から直接購入することもできます。
フランスがどれだけ農業大国かというと、フランスの農用地面積は国土の約52%を占め、欧州連合(EU)全体の農用地面積に占める割合も約16%でEU最大(農林水産省より)、という数字からも分かります。農業生産額もEU最大で、EU全体の18% を占めます(2014年)。主な農畜産物は小麦、大麦、トウモロコシなどの穀物、そしてテンサイ、ブドウ、生乳、肉類などです。ワインは輸出額世界第1位、チーズは同3位を誇っています(2013年)。
農林水産業はフランスの根幹をなす産業の一つです。そのため国際農業見本市には毎年政治家が訪れます。今年の初日は、マクロン大統領が昨年の大統領就任後、初めて来場しました。
マクロン大統領は開場前の7時45分から見本市に入り、退出したのが閉場後の20時15分。仏フィガロ紙によれば、オランド前大統領の記録より30分長く、歴代大統領として最長の12時間30分も現地に滞在したそうです。スケジュールが詰まっている大統領がこれほどまでに同所で時間を割き、各ブースを巡って農林水産業に従事する人たちの話に耳を傾けるというのは、農林水産業を大変重要視しているということを意味しています。
(会場で報道陣に囲まれながら移動するマクロン大統領)
現在フランスの農林水産業は、EUという単一市場における東欧から安い産品との競争など、しばしば苦戦を強いられています。それが政治に対する都市部の有権者との温度差になり、EU脱退への論調や、ナショナリスティックな思考に結びつくことがあります。
パリ国際農業見本市は、家畜と触れ合い、さまざまな食品を試食できる楽しさがあると共に、フランスという国そして社会の一面を大きく表しているイベントと言えるのです。
【データ】
住所:Paris Expo Porte de Versailles - 1 Place de la Porte de Versailles
75015 Paris
期間:2018年2月24日〜3月4日
時間:9〜19時
入場料:14ユーロ
最寄り駅:地下鉄12号線、トラムT2、T3線Porte de Versailles
筆者
フランス特派員
守隨 亨延
パリ在住ジャーナリスト(フランス外務省発行記者証所持)。渡航経験は欧州を中心に約60カ国800都市です。
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