都市「東京」はどのように創作物と影響しあってきたのか パリで「MANGA⇔TOKYO」展スタート【ジャポニスム2018】
パリ市内ラ・ヴィレットにあるグランダールで、11月29日から12月30日まで「MANGA⇔TOKYO」展が開かれています。日本の漫画、アニメ、ゲーム、特撮作品において、東京はさまざまなイマジネーションを膨らませる源泉でした。それら「東京」と作品について関係を、重層的に展示したのが同企画展です。また「聖地巡礼」など、アニメやゲームを観光資源とするツーリズムの可能性についても焦点を当てています。
初日前日に報道関係者向けに観覧日が設けられたので行ってみました。
copyright : Nicolas Krief La Villette
同展に入ると、まず東京の大きなジオラマが出迎えてくれます。東京というという都市は、さまざまな創作の中で多様な形で舞台になりました。時には怪獣によって大規模に壊され、時には市井の何気ない一コマや恋愛の舞台になりました。
copyright : Nicolas Krief La Villette
順路に沿って歩いていくと、まずは「破壊と復興の反復」をテーマにしたギャラリーが現れます。日本列島という地理的環境、木造をベースとした建築など、東京という都市は自然災害または戦争をはじめとした人災ではとても壊れやすく、また何度も再生してきた都市でした。『ゴジラ』や『AKIRA』をはじめとした創作物の中でも同様です。それら現実およびフィクション両方において「破壊と復興の反復」に関連した作品が紹介されています。
copyright : Nicolas Krief La Villette
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次の「東京の日常」のギャラリーでは、破壊と復興の間に息づく、東京の人々の生活をテーマにした作品が、江戸時代から現代まで、順を追って紹介されています。『さくらん』『がんばれゴエモン』『るろうに剣心』『サクラ大戦』『シティーハンター』『セーラームーン』『君の名は。』など、その当時または過去の社会背景をヒントにした創作物を展示。現実の都市とその歴史が、フィクションの源になっていることを説明しています。
copyright : Nicolas Krief La Villette
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多くの作品に登場してきた東京タワーの模型も展示されています。
copyright : Nicolas Krief La Villette
最後の「キャラクターvs.都市」のテーマでは、現実の都市空間に存在するキャラクターに焦点を当てています。商品やサービスの販売促進、企業・公共機関・自治体のマスコットなどを紹介。そして一部地域と関連付けられることにより、観光資源になっているケースも解説しています。コーワの「ケロちゃん」、佐藤製薬の「サトちゃん」から始まり、ボーカル音源のキャラクター「初音ミク」、メディア上のアイドル『ラブライブ!』などがあります。
copyright : Nicolas Krief La Villette
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コンビニの展示もありますし、特に私が驚いたのはJRの車内を模したVRの列車。座席に座って車窓から外の景色を眺めていると、本当に都内にいるようです。
copyright : Nicolas Krief La Villette
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「MANGA⇔TOKYO」展は、東京という現実および歴史がどのように創作物と重なり、相互に影響し合ってきたかを順を追って理解できます。かゆいところにも手が届くような展開で各展示がされており、今回の記事で紹介したのは、ほんの一部。大人も子どもも、それぞれの視点で楽しめる企画展です。
【データ】
住所:Parc de la Villette - 211 avenue Jean Jaurès 75019 Paris
開館時間:10〜19時(金・土曜は〜20時)
休み:無休
最寄り駅:地下鉄5号線Porte de Pantin
筆者
フランス特派員
守隨 亨延
パリ在住ジャーナリスト(フランス外務省発行記者証所持)。渡航経験は欧州を中心に約60カ国800都市です。
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