小野の三神社
誰もが知っている小野?
つい最近ですが、社会の教科書で有名な「仁徳天皇陵」を始めとした百舌鳥・古市古墳群がユネスコ諮問機関による世界遺産登録の勧告によって話題になっています。新元号となり天皇家への注目も集まる中、そのルーツでもある古墳にもスポットがあたりそうな気配...。
古墳と言えば、前述の大規模な古墳や奈良というイメージですが、滋賀の湖西地域も実は古墳だらけ。
現在の琵琶湖大橋の西詰にあたる地域に「小野」という地名があります。
小野と言えばこちらも教科書で有名な「小野妹子」。遣隋使という言葉とセットで出てきますね。
小野はその小野妹子の出身地なのです。
妹子を生み出した小野という地域には小野一族縁の古墳や神社が沢山存在しています。歴史的に超有名な人物であるにも関わらず、滋賀県アルアルらしくマイナーな場所の「小野」。そんな小野の三神社に行ってみました。
小野妹子神社
現在の小野はいかにもニュータウンといった感じの整然と綺麗なお家が並ぶ丘陵地のベッドタウンです。そのニュータウンの中にこんもりと小高い丘が。
この丘は「唐臼山古墳」という古墳。現在は崩れた石室の跡が残っているのみですが、これが小野妹子の墓だと伝わる場所なのです。
唐臼山にはその名も「小野妹子神社」という、ストレートなネーミングの神社があります。
鳥居を潜り、階段を登った先にひっそりと佇む神社が...。歴史の超有名人にしてはやたら控えめの祠ですが、そのあたりが滋賀らしいですね。
丘には展望台もあり、なかなかの眺望ですよ。
妹子さんもここで近代的な街に囲まれ琵琶湖を望みながら眠っているとしたら、きっといい気分ではないでしょうかね。
小野道風神社
つづいては「小野道風神社」。小野妹子神社から約1㎞北へ進んだ場所にあります。
小野妹子から時代は進み、平安時代中期の書家です。日本三大文筆の一人ということで、文筆の神様なんだそう。
ちなみに小野道風さん、菓子の体系を創造されたそうで、菓子業の功績者に匠や司といった称号を与えることを許されていた方です。
よく老舗の和菓子屋さんの暖簾に菓匠とか菓子司なんて書かれたりしますが、そういった流れの源流になった人なんですね。
小野道風神社
最後は「小野神社」。
小野道風神社からさらに850mほど北にあります。ここまで妹子、道風ときて、真打なのか「小野」神社と姓の部分のみの名前に。
どうやらここが「小野氏」の氏神様のようですね。小野妹子の時に創建され、道風のお祖父さん「小野篁(たかむら)」の代の話は続日本紀にも記録されているそうです。祭神は「米餅搗大使主命(たがねつきのおおおみ)」という名前に見えるように、餅作りの神様として、これまた和菓子業界の信仰を集めているそうです。
この小野篁という方、なかなか当時としてはロックな精神を持っていた方で、ご先祖様である小野妹子のように、遣唐副使に任命されたのですがこれを拒否。嵯峨天皇の怒りを買い、隠岐へと流されてしまったのです。その時に詠んだのが百人一首で有名な「わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと 人には告げよ 海人の釣舟」という歌(百人一首では参議篁という名前になっています)。超訳的にいうと、(釣り船の漁師よ、オレはいまから大海原を幾多の島々を潜り抜けて旅立つってヤルぜ!せいせいしてらって都の奴らに伝えろや)って感じでしょうか?
ちなみのこのロックな小野篁の孫とも娘とも伝わるのが、かの「小野小町」。
こちらの神社には小野小町の石塔があります。お墓と言う訳ではないようですが...。
小野小町も「花の色は 移りにけりないたづらに 我が身世にふる ながめせし間に」の歌が百人一首にありますね。
絶世の美女と言われた彼女は実のところ本当に存在したのかよくわからないところがあるそうです。和歌の作家名というのはペンネームだったりもするそうなので、どこまで実在の人なのかわからない場合は意外と多いそうですね。
小野一族の歴史が今も残る「小野」。ミステリアスな古の世界に踏み込んでみるのも面白いですよ。
【小野神社】
〇場所:大津市小野1961
〇TEL:大津市観光振興課 077-528-2756
〇アクセス:
JR湖西線「和爾駅」下車 徒歩20分
筆者
滋賀特派員
フナズシマル
皆様に是非訪れてほしいマニアックな滋賀のマニアックなスポットをご紹介していきます!
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