18. タシケントメトロ徹底解説!乗り方は?料金は?【2022年最新情報】

公開日 : 2022年02月20日
最終更新 :

サローム(こんにちは)!

もしわが町タシケントの一番のおすすめスポットは?と問われれば、タシケントメトロ!と瞬速で答えるでしょう。ウズベキスタン唯一の地下鉄であるタシケントメトロは、現在4路線59kmの路線網を持ちます。東京など世界の大都市の地下鉄には及びませんが、市内の東西南北に路線が延び、タシケント市民にとってはなくてはならない交通機関になっています。
しかし私を含む外国人や観光客にとって、タシケントメトロは単なる移動手段にとどまりません。駅の数は43駅ありますが、どの駅も同じような内装が多い日本の駅とは正反対で、装飾が凝りに凝った駅ばかりなのです。個人的にはタシケントで最も見る価値ある観光地のひとつだと思います。

あれは十数年前に旅行で初めてタシケントにやってきたときのこと。何気なく地下鉄駅に入ってホームへの薄暗い階段を降りると、そこにはまったく想像もつかなかった豪華絢爛な空間が広がっていたのでした。あのときの身震いするほどの眺め、そして少し埃臭かった駅のにおいは今でも覚えています。
駐在者になった今でもメトロに乗るたびにワクワクが止まらず、このタシケントメトロにどんどん魅せられていきました。その結果、全路線を踏破しすべての駅を写真に収める偉業(?)を成し遂げることになりました。といってもたった4路線しかないタシケントメトロ、本気を出せば1日で制覇できてしまうので偉業でも何でもないのですが......。

とにかく、この中央アジアの地でひっそりと走っているこの地下鉄の魅力をひとりでも多くの人に知ってもらい、タシケントメトロファンの輪が日本中、世界中に広がることを勝手に願っているわけです。


そんなタシケントメトロマニアがお送りする地下鉄愛あふれる記事を2回連続でお届けします。需要があるのかどうかまったくわかりませんが、鉄道ファンの方も旅行を考えている方も全然興味がない方もぜひお楽しみくださいませ。
まずは地下鉄乗車のための基礎知識から。乗り方を簡単に説明しましょう。

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駅の入口はおおむね上の写真のようになっており、赤地に白抜きのM字マークが大きく書かれているのですぐわかるでしょう。なおグーグルマップでも青地に白抜きのM字マークで駅がのっています。うれしいことに、最近グーグルマップの経路検索にタシケントメトロが対応するようになりました。
ただ、ひとつの駅に10以上の出入口があることも珍しくない東京の地下鉄とは違い、たいてい4つしか出入口がなく、エレベーターやエスカレーターも全然ないのが不便なところです。また19時を過ぎると閉鎖されてしまう出入口もあります......。

階段を下りるとKASSAまたはКАССА(カッサと読む)と書かれた窓口があり、ここで切符を買うことになります。窓口のスタッフはたいていふたり、典型的な旧ソ連圏のおば様職員といった感じで、混雑しまくっていてお客たちが殺気立っているのに仕事しているのはひとりだけでもうひとりは手持ち無沙汰そうにしている、なんてことはタシケントメトロあるある。

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町全体が派手な雰囲気になる12月から1月にかけては窓口にも装飾が

切符の料金は2023年9月現在、現金・クレジットカード払いなら2000スム(2023年9月現在のレートで約24円)、下記ATTOカード利用なら1600スム(2023年夏に1400スムから値上げ)。均一運賃制で、どこまで行っても乗換をしても値段は変わりません。この安さと気軽さもタシケントメトロの利点のひとつですが、将来日本同様距離に応じて運賃が変わるシステムに変更される計画もあるとのこと。

かつてはソ連の地下鉄の伝統を引き継ぎ、ジェトンというプラスティック製のコインを購入して改札に入れるだけでよかったのですが、現在はQRコードが記載された1回券を利用する必要があります。この1回券は有効期限が決まっており、必ず乗車のつど買わなければなりません。窓口でロシア語で「Билет пожалуйста!(ビリェット・パジャールスタ)」と言ってお金を渡すと、たいてい無言でレシートのような紙切れを渡されます。

なお日本同様ICカードも導入されており、乗車のたびに窓口に寄るのが面倒な方、または世界の地下鉄のICカードを集めているコレクターさんがもしいらっしゃったらこちらがおすすめ。ATTOというカードで、窓口で「Карточка пожалуйста!(カルタチカ・パジャールスタ)」と言えばもらえます。
カード料金は15000スムで、この中に4回分か5回分のチャージが含まれています(窓口で5回分のチャージが入ってるといわれ、実際使ってみると4回分しか入っていませんでした......)

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このカードのチャージは窓口で可能。例えば5万スム札を出して2万スム分だけチャージしたい、ということもできます。ただしチャージしてもらってから、実際にチャージ分が反映され改札を通れるようになるまで、3分ほどのタイムラグがあります。
そのほかいくつかの駅で窓口前に設置されているATTOチャージ専用機や、町角によくあるこの黄色い支払い機でもチャージ可能です。

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下記黄色い支払機でのチャージ方法を画像で説明しましたので、ぜひご参考に。おつりは出ないので要注意です。

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たいてい窓口の横に改札への入口がありますが、日本とは異なり一方通行になっています。KIRISHまたはВХОДと書いてあるのが入口、CHIQISHまたはВЫХОДとあるのが出口です。

改札前には警官が待ち構えており、大きいカバンを持っていると台に置いて開けて見せるよう言われます。といっても明らかな危険物が入っていない限りまったく問題はなく、「イポーニャ」「トゥリスト」と日本人旅行者アピールすればすぐに解放してくれるはずです。どうでもいい質問を連投で浴びせてくる好奇心旺盛な警官もいますが、つかまるといつまでたってもホームに行けないので適当にやりすごしましょう(笑)
1回券を買ったなら改札についている読み取り機にQRコードをかざし、ATTOカードを利用するなら同じく改札についているカードリーダーにカードをかざします。このカードリーダーはVISAやMasterといったクレジットカードのタッチ決済にも対応しており、ある意味日本の地下鉄より便利になっています。

さあ、階段を下りてホームへ。階段を下りたところの上部にある黒字に黄色の看板に、どちら側のホームにどこ方面行きの列車が来るか載っています。目的地の駅としっかり照らし合わせましょう。

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ホーム中ほどの壁面にも同じような案内があり、どこの駅で何線に乗り換えられるかも書かれています。

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時刻表なんてものはありませんが、おおむね5時から24時の間、短いときは3分間隔、長いときは10分間隔で運行しています。線路上に数字が書かれていますが、これは「次の列車まで何分か」ではなく、「前の列車が出てから何分か」の表示。前の列車から10分以上たつと、カウントするのをあきらめるのか数字が消えます......。

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なおホームではフリーwifiが使えるので、電車待ちの時間をつぶすことができます(接続画面で#SOLA Freeを選択すると広告が流れ、wifiがつながるようになる)。が、いったん列車に乗ってしまうとネットがまったく通じなくなってしまいます。

車両は4両編成とホームと比べて短く、またどの駅もホーム両端に出口がある関係上、一番前と一番後ろの車両が混みがちなので、できればホーム真ん中寄りで待つのがいいでしょう。
停車時間が短く、のこのこ乗ろうとすると間に合わないためか、そもそも整列乗車の習慣がないのか、降りる人を待ってから乗るという人はまれです。混雑時は降りる人と乗る人がいたるところでぶつかるカオス状態が頻発します。
乗降時のマナーの悪さとは対照的に、車内でお年寄りを見かけると必ず誰かが席を譲る光景が見られます。お年寄りを大切にするというウズベク人の美徳が、地下鉄でも垣間見られるのです。

目的の駅に着いたら乗ってくる人の波にのみこまれないようすぐさま下車し、出口へ。別路線に乗り換える場合は看板の案内にしたがって乗換駅へ向かいます(アミール・ティムール・ヒヨボニ⇔ユヌス・ラジャビィ、オイベック⇔ミング・オリクの各駅で乗り換える場合はホーム中央の階段から乗換通路に出られます)。


タシケントメトロの車両も紹介しましょう。いかにも古きよきソ連といった風情のスカイブルーの旧型車両や、

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旧型車両を改装した紺色の車両、そして2019年に運行を開始した国旗カラーの新型車両が走っています。

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旧型車両はドアの閉まる速さがまるでギロチンのよう、隣の車両へ移れない、かなり揺れる、そして走行音もうるさい......となかなか便利とはいえない車両なので、新型車両に当たればラッキーです。快適度に目をつぶれば、古い車両も味があっていいのですが......。

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旧型車両の車内。なかなかの揺れなので座れないときは手すりにつかまりましょう

次回の記事(19. 地下に広がる美の空間!タシケントのおすすめ地下鉄駅ベスト5)ではタシケントメトロの醍醐味、内装がすばらしいおすすめ駅を紹介しています。こちらもぜひご覧下さいませ!

筆者

ウズベキスタン特派員

伊藤 卓巳

根っからのスタン系大好き人間です。まだまだ知られていないウズベキスタンの魅力や情報を、サマルカンドより愛をこめてお伝えします!

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