イギリスの冷凍食品専門スーパー「アイスランド」

公開日 : 2022年09月01日
最終更新 :

名は体を表す、とはこのこと?!イギリスには冷凍食品に特化した「アイスランド(Iceland)」というスーパーがあります。食にあまり重きを置かない?イギリス人は冷凍食品で食事を済ますことも多い、なんて話も聞きますが、私自身はあまり縁のないスーパーでした。

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郊外暮らしがゆえに普段は大型店ばかりを回るので、小型店がメインのアイスランドはそもそも小さ過ぎて、これまであまり視界にも入ってきませんでした。ところがコロナ禍を経て、できあい冷凍食品の大幅な需要や、"安物"ではなく、むしろ"新鮮なうちに冷凍されている"といったよいイメージが定着し、業界では近年売上げが伸びていたそうです(参照:"What's next for the frozen food trend?"Speciality Food Jun 2021.)。

この夏は涼しさがウリのここイギリスでも、記録的な暑さが到来しました。「アイス」という涼しげな名前に惹かれて、そしてそんなに売れているのならと物見遊山的な気分で、足を踏み入れてみました。

アラ?冷凍食品ばかりではないんですね。ちゃんと野菜も牛乳も、肉類まで! お菓子はまるで1ポンド・ショップ( 関連記事 )みたいに均一価格になっていたり......。瓶詰め商品も、有名ブランドでも見たことのないラインアップがあったりして、なかなかユニークな品揃えです。そしてなによりもうれしいのが、全体的にとても安いこと。ウクライナで起きている戦争にEU離脱にと、さまざまな要因で物価の上昇に歯止めが効かないここ最近のイギリス。わが家にとってもまったくもってひとごとではないので、手頃な価格の商品は大助かりです。

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肝心の冷凍食品は、オシャレ度の高いものもあり、自社ブランドのPB商品ですとさらにお買い得価格です。そして冷凍食品が得意なアイスランドならではで、冷凍ピザやアイスの種類が尋常でなく、冷凍保存庫がひたすらズラリと並ぶさまは圧巻です。

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そのほか他店で買う牛乳や調味料など、"いつもの定番商品"もきちんと揃い、予想外の展開にこちらのテンションも上がってきました。以前子供が招かれたお誕生日パーティーでも、あっという間になくなる子供たちのお腹を満たすのに大活躍していました。

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チキンナゲットや小型の春巻き、魚フライなど手でつまめオーブンで温めるだけのものが豊富に揃っています。なかでも、ほかでは目にしたことがなかったひと口サイズのピザは形も1個1個が丸く独特で、いちいち切り分けなくていいのがなによりも便利‼︎

アイスランドは1970年創業、2000年に食品卸売業のブッカ―に買収されて以来、「暗黒の時代」と言われる経営難を経て、2005年には上場まで廃止されてしまいました。その後、創業者が第一線に復帰すると息を吹き返し、順調に業績を伸ばしてきました(出典:"The Dark Ages",Iceland 2018.)。

これまで自社ブランド商品から化学調味料や着色料、遺伝子組換え食品の利用をやめたり、今度は新たに2023年までに全商品でプラスチック容器をやめることも決定しました。

全商品でプラスチック容器をやめるのは世界初のようで、想定以上の品揃えと真面目な企業姿勢に、私のアイスランドへの好感度は大幅にアップしました。ただし、イギリス冷凍食品協会(BFFF)の報告によりますと、市場分析のカンター・ワールド・パネル社が公表する分析結果を見ると、コロナ規制が緩和され始めた2021年あたりから、売上げは残念ながら落ちてきているようです。

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これは、スーパーなど小売店舗に客足が順調に戻ることによって、顧客は再び生鮮食品の方に目がいくようになったことなどが原因のようです(参照:"KANTAR MARKET DATA",BFFF Apr 2021.)。物価上昇に比例して売上げも回復するのか、今後の冷凍食品業界の動向にも目を向けるよいキッカケになりました。全体的に安いので、旅の最中にちょっと喉が乾いた、小腹が空いた、簡単なもので済ませたい、なんてときでも冷凍食品以外の商品が充実しているので、使い勝手のよい店だと思います。

◼️Iceland・URL: https://www.iceland.co.uk/

筆者

イギリス特派員

パーリーメイ

2017年よりロンドン南部で家族と暮らしています。郊外ならではのコスパのよいレストラン、貴族の邸宅、城めぐり、海沿い情報などが得意です。

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