
食レポあり!現地在住日本人がアメリカ東部のおすすめご当地スイーツを紹介!
アメリカのスイーツといえば、日本人からすると「歯が溶けそうなくらい甘い」というイメージがあると思います。実際、アメリカ在住の筆者も、砂糖の量を半分に減らした方がいいのでは?と思うことも多いのですが、もしかすると、これぞ本場アメリカのスイーツ!というスタンスで楽しまれる方も多いかもしれませんね。広大なアメリカでは、地域ごとに文化や特産品が異なるため、それぞれにご当地スイーツがあります。例えば、メイン州ではブルーベリーパイ、デラウェア州ではピーチパイが州の公式パイに指定されており、リンゴの産地ニューハンプシャー州ではアップルサイダーのドーナツ、小さなライムの栽培が盛んなフロリダ州ではキーライムパイが親しまれているそうです。今回は、アメリカ東部を中心にリンゴキャンディやドーナツなど、筆者おすすめのスイーツを紹介します。
1.「ベイラーズ・キャンディ・スタンド」のキャラメル・アップル(ペンシルバニア州グレンロック)
ペンシルバニア州にはアーミッシュ(ドイツ系移民)が多く、2022年時点ではペンシルバニア州のアーミッシュの人口は約8万7000人で、全米第1位となっています(エリザベスタウン・カレッジ ・アーミッシュ研究、ザ・ヤングセンター調べ)。そのため、ペンシルバニアにはアーミッシュが経営する食料品店やカントリー・マーケット(カントリーサイドにあるマーケット)がとても多いのです。特にカントリー・マーケットにはパイやチョコレートケーキ、クッキーをはじめ手作りのスイーツがいっぱい。
筆者のおすすめは、ペンシルバニア州グレンロックにある「マーケット・アット・ザ・シュルースベリー」。このマーケット内の2ヵ所のベーカリーでは、アーミッシュの女性たちがボンネット、単色のワンピースにエプロンをつけてクッキーの生地をこねたり丸めたりしている姿をガラス越しにのぞくことができます。

また、このマーケットの中の「ベイラーズ・キャンディ・スタンド」では、キャラメルに生のリンゴをディップしたキャラメル・アップルが$1.99(約287円)で売られているのですが、ハロウィンの時期には、オレオクッキーやシナモンをまぶしたもの、ピーカン&チョコレート味、パンプキンパイ味など、さまざまなキャラメル・アップルがショーケースに並びます。ハロウィンの時期には飛ぶように売れるそう。


この日はベーシックなキャラメル・アップル($1.99)を購入。ちょっと甘酸っぱくてさくさくの青りんごとキャラメルの甘さの組み合わせが絶妙でした。筆者は自宅でよくピーナツバターに、切った青りんごをディップして食べますが、ここで買った丸ごとのりんごは大きくてかじるのにひと苦労! 家に持ち帰って夫とふたりで笑いながら食べました。
余談ですが、このお店の店員さんは全員アーミッシュです。女性の店員さんは、ケープやエプロンを留めるために待ち針が刺さっているワンピースを着ています。初めて見たときは「針が肌に刺さらないの?」と少し驚きましたが、アーミッシュの女性が衣類を待ち針で留めて着用するのは昔からの風習だそうです。ペンシルバニアに隣接するオハイオ州の数ヵ所のお店でも、店員さんが着用しているワンピースやケープ、エプロンは待ち針で留めてありました。
2.「ブラウンズ・オーチャード・ファームマーケット」のウーピーパイとアップルサイダー・ドーナツ(ペンシルバニア州ローゲンビル)
ペンシルバニア州のローゲンビルの丘から見下ろす丘陵には、100 エーカー(0.4平方km)以上の農園が広がっています。「ブラウンズ・オーチャード・ファーム」として知られるこの農園では、春から秋にかけてさまざまな果物が栽培されており、おもにリンゴの産地として有名です。地産地消販売店としてのブラウンズは「ヨーク郡でもっとも優れた農家」として太鼓判を押されているカントリー・マーケットです。

このマーケットには、野菜や果物以外の食品はもちろん、ベーカリー、デリ専門店、ファッジ(イギリス生まれのお菓子)などのチョコレート菓子専門店、ワイン屋やカフェもあり、店内で購入した食べ物や飲み物をカフェで飲食できるようになっています。この日は、チョコレートとカボチャの生地のウーピーパイ(クッキーやパイのようなアメリカの菓子)をマーケットで買い、カフェのカプチーノと一緒にいただきました。

ウーピーパイはペンシルバニア州ランカスターのアーミッシュが発祥という説がありますが、ウーピーという名前にはおもしろい裏話があります。雑誌『スクリブラ―(The Scribbler)』のコラムニスト、ジャック・ブルーベイカーによると、1958年に2枚のクッキー用の生地の間にアイシングをはさんで焼いた人が、クッキーが焼き上がった時にオーブンを開けて「ウーピー!(whoopie:「わーい」や「やったー」の意)」と叫んだのが、ウーピーパイの起源なのだとか。
ペンシルバニア1988年発行のフィリス・ペルマン・グッドのレシピ本、『ベスト・オブ・アーミッシュ・クッキング(The Best of Amish Cooking)』にも、ウーピーパイはじめ、さまざまなアーミッシュの料理にまつわる話が紹介されているそうです。興味のある方は、ぜひお手に取ってみてください。

それにしてもこのウーピーパイ、ふっくらとした焼き上がりのケーキとバタークリームの量との組み合わせが絶妙で、口の中でふわっととろける感じはまさに「ウーピー!」と声をあげたくなるほどのおいしさです。久々に、ゆったりとした雰囲気のカフェでのコーヒータイムを楽しむことができました。なお、ブラウンズのベーカリーでは、果樹園のリンゴを使ったアップルサイダー・ドーナツも売れ筋だということです。

アップルサイダー・ドーナツもペンシルバニア州では定番のお菓子です。見つけたら、ぜひ食べてみてくださいね。
ブラウンズ・オーチャード&ファーム・マーケット (Brown's Orchards & Farm Market)
- 住所
- PO Box 154 8892 Susquehanna Trail South, Loganville, PA. 17342
- 電話番号
- 717-428-2036
- Cafe & Coffee Bar
- 717-347-7945
- 営業時間
-
日曜日:9:00 - 18:00、火~土曜日: 9:00 - 18:00
(月曜日は休業日)
3.「リンドン」のパンケーキ(ペンシルバニア州マンハイム)
アメリカにはたくさんのスイーツ専門店がありますが、最近では、専門店以外にも本格的なスイーツを提供しているダイナーに出合う機会が増えました。ダイナーといえば、車でアメリカ横断をする旅行者がよく利用するレストランのため、24時間営業のところが多いです。またダイナーでは、オーダーした料理がスピーディに運ばれてくるので、車やトラックでの長旅でへとへと、お腹がペコペコの旅行者にはもってこいです。
ペンシルバニア州の州間高速道路83号線を降りてヨーク市の30号線を東に向かって走行していると、鏡面仕上げのステンレス鋼に囲まれたレトロなダイナー「リンドン」の巨大な看板が見えてきます。

このダイナーがペンシルバニア州マンハイムにオープンしたのは1978年。開業以来40年以上、クラブケーキ・ディナー(カニ肉を成形したアメリカ料理)や朝食、自家製ベーカリーなどのメニューで人気を博しています。その人気ゆえに、今ではマンハイムから拡大しヨーク市でも営業するまでになったダイナーです。食べきれないほどの量のブレックファスト・スペシャル($10.19、約1470円)には、卵(2個分)、パンケーキ、ベーコン、ソーセージ、ハッシュブラウンポテト、トーストが付いてきます。

なんといってもびっくりなのはパンケーキのサイズ! プレートが運ばれてきた瞬間に、1枚でお腹がいっぱいになるかも……と思ってしまうくらいの大きさでした。パンケーキだけでなく、ベーコン、ソーセージ、ハッシュブラウンポテトの量も半端ではないのでふたりでシェアしてもよさそうです。


このダイナーにはバーもあり、手作りのデザートメニューも豊富でした。小さなデザートはテイクアウト用のボックスに入れてもらって車内やホテルで食べてもよいですね。
リンドン・ザ・ファイナー・ダイナー(Lyndon The Finer Diner)
- ヨーク店(York)
- 住所
- 1353 Kenneth Rd, York, PA 17404
- 電話番号
- 717-699-5523
- 営業時間
-
月~金曜:6:00 - 21:00
土曜:6:00 - 22:00
日曜:6:00 - 21:00
- 住所
- 1370 Manheim Pike, Lancaster, PA 17601, USA
- 電話番号
- 717-393-4878
- 営業時間
-
月~木曜:6:00 - 22:00
金・土曜:6:00 - 翌1:00
日曜:6:00 - 22:00
4.「ストーンブリッジ・グリル」のストロベリー・ショートケーキとヴェルベット・ケーキ(メリーランド州パークトン)
アメリカ東部のレストランでスイーツが楽しめるお店に、メリーランド州の「ストーンブリッジ・グリル」もあります。ここはもともとタバーン(酒場)なのでお酒類が豊富で、ステーキ、ハンバーガーなど定番の肉料理が有名なだけでなく、メリーランドならではのカニ料理や季節の魚料理もオーダーできます。アメリカのレストランにしては珍しく、デザートはどれもサイズが小さめで、甘さも控えめです。筆者のお気に入りは、新作のクリームチーズのアイシングのレッド・ラズベリー・ヴェルベット・ケーキと、ストロベリー・ショートケーキです。

最近、アメリカのレストランでは、スポンジを丸く型抜きしたストロベリー・ショートケーキをよく見かけるようになりました。ストーンブリッジ・グリルでもまん丸のスポンジを二段に重ねたケーキを提供しています。小さく見えますが、実際には量が多いので家族で食事に行くと必ずカトラリーが人数分出てきます。

バーやメインダイニングに隣接する屋根付きテラスは数年前に増築されたそうです。竹をふんだんに生かした居酒屋風のインテリアは、どことなく南国の風情を醸し出しているような、ちょっぴり日本を思い出させるような雰囲気です。ぜひ、実際に行って雰囲気を確かめてみてください。
ストーンブリッジ・グリル (The Stone Bridge Grille)
- 住所
- 21336 York Road, Parkton MD 21120, USA
- 電話番号
- 410-357-5911
- 営業時間
-
日~木曜:11:30 - 20:00
金・土曜:11:30 - 21:00
5.「スクワイアー・ショップ・ベーカリー」のドーナツ(オハイオ州アシュタビューラ)
筆者のオハイオ在住の義母は、「スクワイアー・ショップ・ベーカリー」のドーナツが大好きで、筆者たちが家族で帰郷するたびにスクワイアーのドーナツを12個(1ダース)購入してきます。日本ではドーナツは食後のデザートやおやつに食べるものというイメージですが、アメリカの家庭では朝食にドーナツを食べることも珍しくありません。日本ではスポーツの練習試合にはおそらくおにぎりが一般的だと思いますが、義母はひ孫たちの野球やサッカーの早朝練習や試合の応援に行くときもよく、日本でいうおにぎりのような感覚でドーナツを持参します。
当初はこの習慣に慣れることができなかった筆者も、今ではオハイオに帰省の際にはささっとドーナツで朝ごはんを済ませています。

昔ながらの細長いクリームスティック、メープルシロップクリームにココナツフレークをまぶしたドーナツが筆者のお気に入りです。ドーナツと一緒にいただく飲み物でぴったりくるのはコーヒーかなと思いますが、夫の家族や親戚、筆者の知っているほとんどのアメリカ人は、ドーナツにはミルクが一番合う!と声を揃えていました。

スクワイアー・ショップ・ベーカリー(Squire Shoppe Bakery)
- 住所
- 511 Lake Ave, Ashtabula, OH 44004, USA
- 電話番号
- (440) 964-3303
- 営業時間
-
月曜日:休業日
火~金曜日:6:00〜14:00
土・日曜日:6:00〜13:00
まとめ
広大なアメリカでは、州の特産物、住んでいる人々のバックグラウンド、地域性などによって親しまれているスイーツやデザートは千差万別のようです。多様な人種にあふれたアメリカには、ヨーロッパ、アジア、南米など世界中から集まった人々の文化を垣間見ることができるスイーツが多いのも魅力ですが、ドーナツやパンケーキはアメリカの国民食といってもよいほどで、朝食としても愛されている食べ物のようです。イタリア系が多い地域では、シチリア島由来のカンノーロ (カンノーリ) やフィレンツェ発祥のジェラート、北イタリアの名物ティラミスのような本場のイタリアのデザートを、また、ドイツ系のアーミッシュが多い地域では、今回紹介したウーピーパイのような独特のスイーツを楽しむことができます。アメリカ旅行の際には、ぜひアメリカ人もおすすめのスイーツをオーダーしてみませんか?
参考
TEXT・PHOTO:ワシントンDC特派員 舞林鳥 恵
監修:地球の歩き方
※こちらの記事は12/2のものです。最新情報は必ず各自でご確認ください。
※記事内の料金は、2022年10月4日時点のレート(1ドル:約144円)を参考に計算しています。

筆者
アメリカ・ワシントンDC特派員
舞林鳥 恵
【地球の歩き方】では、2013年から、ワシントンDC周辺はじめアメリカ各地の観光名所や魅力的な穴場スポットの情報をお届けしています。
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