1月6日まで飾られるスペインの伝統的なクリスマスの飾り“ベレン”
スペインはまだまだクリスマスが続いています。日本では12月25日が過ぎると、途端に町はお正月モードに変わりますが、スペインでは年が明けてもクリスマスモード。というのも、スペインのクリスマスはカトリック教会の公現祭、すなわち1月6日まで続くのです。なので家や町中のクリスマスの飾りも1月6日まではそのまま。
スペインのクリスマスの装飾といえば比較的ものが新しいツリーやイルミネーション、そして伝統的な飾りがベレンです。
ベレンはスペイン語でベツレヘムという意味で、ベツレヘムはイエス・キリスト生誕の地。このベレンという飾りは、イエスの生誕シーンを再現しているのです。基本はイエスと両親の聖ヨセフ(スペイン語ではホセ)と聖マリアですが、そこに羊飼いや天使がいたり、礼拝に来た東方の三賢王がいることも。また、ジオラマ式にベツレヘムの町まで再現したもの、生誕シーン以外に受胎告知やエジプト逃避など聖書のシーンがもりこまれた凝ったものまであります。大きさも手の平に乗るくらいのミニチュアから、等身大の人形を使った大きなものまでさまざま。
お役所や商業施設、教会、学校などのほか家庭でも飾られますが、特にベレン作りを趣味とする“ベレニスタ”と呼べれる愛好家もいて、家に飾った自慢のベレンを一般公開する人もいます。各地にベレニスタ協会もあり、たとえばバレンシア市のベレニスタ協会は、市庁舎や州政府庁舎、バレンシア州工芸センター、陶器美術館、ショッピングセンターのヌエボ・セントロなどのベレンを手掛けています。私の町のお花屋のおじさんが“ベレニスタ”で、クリスマス前は教会などのベレンの設置に忙しく、お店を閉めていることがたびたびあります。私もベレンを見るのが大好きなので興味はあるのですが、一度始めたらキリがなさそうなので敢えてやらないでいます。
あちこちのベレンを見てまわるのは、スペインの人にとってクリスマス期間の楽しみのひとつになっています。クリスマス時期にスペインにいらっしゃる方は、気にしてみてくださいね。
筆者
スペイン特派員
田川 敬子
東京生まれの東京育ち。オリーブオイル専門家としてスペインと日本で活動するほか、複数のウェブサイトにスペイン情報を寄稿。
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