【瀬戸内の島々・香川県】オリーブの島、小豆島をめぐる

公開日 : 2023年04月19日
最終更新 :
筆者 : Duke

淡路島に次いで、瀬戸内海で2番目に大きな小豆島。同じ瀬戸内の島々でも、直島や豊島などのようにレンタサイクルでぐるり、という訳にはいきません。路線バスやタクシーもありますが、旅人の移動手段としてはやはりマイカーかレンタカーということになるでしょう。小豆島の玄関口、土庄港近辺には数社のレンタカー会社がありますので、船の到着時刻に合わせてあらかじめ予約しておくと安心です。

土庄港『太陽の贈り物』
土庄港『太陽の贈り物』

小豆島・土庄(とのしょう)港に到着すると最初に迎えてくれるのは、金色のオリーブの葉で王冠を形づくった『太陽の贈り物』。韓国ソウル出身のアーティスト、チェ・ジョンファ氏の作品です。

『太陽の贈り物』
『太陽の贈り物』

オリーブの葉、一枚一枚に島の子供たちのメッセージが刻まれています。日が暮れると、葉の陰にある実がライトアップされ、尚いっそうファンタジックな雰囲気に……。

中山千枚田 ©cubic-tt[島空撮]
中山千枚田 ©cubic-tt[島空撮]

日本の棚田百選にも選ばれた中山千枚田。山あいの斜面におよそ800枚の棚田が広がっています。水面がキラキラと輝く田植えの時期、すくすくと稲が成長し青々とした風景が広がる夏、稲穂が実り一面が黄金色に染まる秋。道路沿いの駐車場に車を止めて、四季折々に印象を変える、昔ながらの農村の風景を楽しんでみてはいかがでしょうか。

オリーブ公園
オリーブ公園

小豆島に来たらぜひ立ち寄ってほしいのは道の駅 小豆島オリーブ公園。国内最古のオリーブの原木をはじめ、約2000本のオリーブやハーブが植えられた公園から、穏やかな瀬戸内海を一望できます。
オリーブ記念館の前にはオリーブ色のポストが設置されていますので、ここで販売されているオリジナル絵葉書を、友人や家族、自分あてに送るのもいい記念になりそうですね。

オリーブ公園
オリーブ公園

瀬戸内海を望む小高い丘の上に広がるオリーブ公園。山の斜面から海岸近くまでオリーブ畑が続いていて、小豆島はまさしくオリーブの島なんだなぁと実感できます。小豆島の穏やかな気候風土の象徴でもあるオリーブは、町の木、町の花として、島の人々に親しまれています。子どもの誕生や小学校入学などの節目にオリーブの苗木を贈る習慣があり、家々の庭にも普通に植えられているそうです。

ギリシャ風車
ギリシャ風車

ギリシャ風車は、小豆島と姉妹関係にあるギリシャのミロス島との友好の証として、平成4年(1992)に建てられたものです。
映画『魔女の宅急便』のロケ地ともなった小豆島オリーブ公園。オリーブ記念館では、キキが飛んだ魔法のほうきを無料で貸し出してくれますので、年甲斐もなく私もチャレンジしてみました(^^ゞ

場所
香川県小豆郡小豆島町西村甲1941-1
TEL
0879-82-2200
営業時間
8:30-17:00(年中無休)
E-Mail
info@olive-pk.jp
公式HP
https://olive-pk.jp/index.html

二十四の瞳映画村

岬の分教場
岬の分教場

小豆島オリーブ公園の後は、壺井栄原作、木下恵介監督・高峰秀子主演の『二十四の瞳』のロケ地めぐりです。
ここは「岬の分教場」(正式な名前は「苗羽小学校田浦分校」)。明治35年(1902)に田浦尋常小学校として建てられ、明治43年(1910)からは苗羽小学校田浦分校として使用された建物です。この映画で一躍有名になり多くの人が訪れるこの分教場は、今なお当時の面影をそのまま残しています。

岬の分教場
岬の分教場

昭和3年の春、この分教場に大石先生という若い女性の先生が赴任するところから、物語は始まります。
溌剌と爽やかに、愛情をもって接する大石先生を、子どもたちは「おなご先生」と呼んで慕っていました。
当時は、女性が自転車に乗るのはかなり珍しかったのでしょう。島の人たちは当初、不思議なものを見るような目で眺めていました。そんな衆目に臆することなく、颯爽と通勤する大石先生の姿が印象的でした。

自分の後に続く先生たちに託す思いがぎっしり詰まったメッセージボード。この映画によって「教育の聖地」となった岬の分教場には、全国の教職員から、子どもたち、教師、将来教師を目指す人に向けたメッセージが続々と寄せられました。(こんなメッセージボードが、教室や廊下に何枚も掲示されています)

二十四の瞳 映画村
二十四の瞳 映画村

こちらは、映画『二十四の瞳』のロケ用セットを改築した日本映画・文学のテーマパーク「二十四の瞳 映画村」。「岬の分教場」から車で2分くらい先にあります(入場料は分教場とセットで買うと割引)。

再現されたノスタルジックな昭和の町なみ
再現されたノスタルジックな昭和の町なみ

瀬戸内海に面した海岸沿いに木造校舎や村が立ち並び、昭和初期のノスタルジックな雰囲気を再現。数多くの名シーンがここで撮影されました。

岬の分教場
岬の分教場

ロケのために建てられた岬の分教場。大石先生の自転車が入口に停めてありますね。左の壁に立てかけてあるのは竹馬。自由に使っていいそうです。

撮影当時の撮影機材が残る教室
撮影当時の撮影機材が残る教室

机やオルガン、柱時計や掲示物、フィルムカメラや照明設備などが、当時のまま残された教室。

キネマの庵
キネマの庵

こちらは、昭和の時代に思いを馳せる「キネマの庵(いおり)」。

キネマの庵 ©二十四の瞳映画村
キネマの庵 ©二十四の瞳映画村

角田光代さん原作の映画『八日目の蝉』小豆島展(2010年放映のNHKドラマに続いて、翌2011年に公開された映画です)。ここ映画村をはじめ、福田港、中山千枚田、寒霞渓など小豆島各地でロケが行われました。
映画では、野々宮希和子(永作博美さん)と薫(渡邉このみちゃん)は、小豆島で最後の逃亡生活を送ったのでしたね。不倫相手の子を誘拐した犯罪者なのに、気持ちは希和子に寄り添って、終始ハラハラしながら観たことが思い出されました。

場所
香川県小豆郡小豆島町田浦
TEL
0879-82-2455
営業時間
AM9:00~PM5:00
公式HP
https://www.24hitomi.or.jp/
料金
二十四の瞳 映画村
|岬の分教場|大人350円|小学生180円
|二十四の瞳 映画村・岬の分教場セット券|大人1000円|小学生500円

【醤の郷】

醤の郷
醤の郷

醤の郷は醤油・佃煮工場が軒を連ねるエリア。明治時代に建てられた工場やもろみ蔵が、今も現役で活躍しています。醤油の菌で真っ黒になった屋根瓦や板塀が、風情のある景観を作り出しています。
小豆島は、千葉県(野田市・銚子市)、兵庫県(龍野市)と並ぶ醤油の三大名産地。ここでは、400年以上の歴史を刻む伝統的な醤油づくりが今も健在。小豆島の穏やかな気候が、醤油づくりに欠かせない麹の発酵に適しているのだそうです。醤の郷一帯には20軒以上の醤油や佃煮の工場が軒を連ね、昔ながらの製法を守りながら醤油やもろみ、つくだ煮などを造っています。

棒締機(ぼうじめき)
棒締機(ぼうじめき)

古くからの醬油工場などが立ち並び、レトロな雰囲気を醸し出す醬の郷。香しい醤油の匂いに包まれながら、明治40年(1907)創業のマルキン醤油記念館を見学しました。ここは、醤油づくりの歴史や製造方法を、古くから使われている道具やパネルを使って紹介する展示施設で、この建物自体が国の登録有形文化財に指定されています。
手前から左奥に伸びる太くて長い棒は、てこの原理を利用してもろみから醤油を絞り出す「棒締機(ぼうじめき)」。

【寒霞渓(かんかけい)】

寒霞渓(ロープウェイからの眺め)
寒霞渓(ロープウェイからの眺め)

山道を上って小豆島の中央部へ。訪ねたのは、群馬県妙義山、大分県耶馬渓と並んで、日本三大渓谷美のひとつに数えられる寒霞渓。四季折々の表情を見ることができる、小豆島を代表する景勝地です。
切り立つ岩壁に挟まれた谷間を、ロープウェイ(標高差317m、全長917m)で一気に山頂まで上れば、取り付く島もなさそうな断崖絶壁が目の前に広がります。

鷹取展望台
鷹取展望台

山頂駅から5分ほどの鷹取展望台。穏やかな瀬戸内海や瀬戸内の島々が目の前に広がります。ここは映画『八日目の蝉』のロケ地でもあり、希和子と薫がこの展望所に立ち寄り、美しい瀬戸内の島々を眺めるシーンが撮影されました。

『空の玉/寒霞渓』
『空の玉/寒霞渓』

鷹取展望台から四望頂方向に少し歩いた斜面に、錆色に変化した金属製の球体が現れます(鷹取大展望所から3分、ロープウェイ山頂駅から10分程度)。瀬戸内国際芸術祭2022参加作品、青木野枝さんの『空の玉/寒霞渓』です。
球体の中から寒霞渓や瀬戸内の島々を見渡す一風変わった展望所になっており、囲われた枠の中から景色を眺めるという、どこかワクワクする体験ができますよ。(2022年10月現在)

【天使の散歩道=エンジェルロード】

潮が引いたときにだけ現れて沖合の島と島を結ぶ砂の道、「天使の散歩道(エンジェルロード)」。弁天島~小余島~中余島~大余島の4つの島を結ぶ砂州で、潮の満ち引きによって一日に2回、これらの島々が繋がったり離れたりする人気の観光スポットです。

完全に繋がり、広い砂浜が現れた朝焼けのエンジェルロード。写真左側、小余島の岩壁が朝日を浴びて輝いていますね。砂浜を歩く人の影が長く伸びて、どことなくロマンチック。大切な人と手をつないで渡ると、二人の間に天使が舞い降りて願い事を叶えてくれるそうですよ~♪

エンジェルロード ©cubic-tt[島空撮]
エンジェルロード ©cubic-tt[島空撮]

この写真を見ると、一番手前の弁天島を含めて4つの島が、3つの砂州で結ばれているのがわかります。このくらいの細い砂州の方が「天使の散歩道」というイメージに近いですね(笑)
天使の散歩道が現れるのは一日2回、干潮時刻前後の約6時間。少しずつ砂の道が現れはじめる、干潮時刻より前の時間帯がお勧めです。【エンジェルロードが現れる予想時間帯は、下記サイト(小豆島エンジェルロード干潮時間2023年)をご参照ください】

中山千枚田、小豆島オリーブ公園、二十四の瞳 映画村、醤の郷、寒霞渓やエンジェルロードなど、小豆島の代表的な観光スポットを紹介しましたが、このほかにも、切り立った崖で今にも落下しそうな「重岩(かさねいわ)」や、多彩な海のレジャーが楽しめる「小豆島ふるさと村」、世界で最も狭い海峡とギネスが認定した「土渕海峡」など、見どころがいっぱい。ぜひ、時間をかけてゆっくり散策してほしいと思います。

筆者

特派員

Duke

縁あって福岡県北九州市に落ち着いて、はや15年。県外の方はもちろん、地元の方にも楽しんでいただけるよう、福岡・北九州の旬な情報を発信していきたいと思っています。

【記載内容について】

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