スペインの治安は? トラブルと安全対策

公開日 : 2023年01月25日
最終更新 :
筆者 : 今岡史江

1992年に開催されたセビリア万博とバルセロナオリンピック以降、ずっと改善傾向にあった、スリ、置き引き、ひったくりなどの窃盗被害が近年再び増加してきています。スリや置き引きはプロフェッショナル化されていて、いつでもどこにでも被害に遭う可能性があるので気が抜けません。スペインは決して怖い場所ではありませんが、いくつか旅行する際に念頭に置いておくとトラブルに巻き込まれにくくなります。他の国を旅行する場合にも共通しますが、スペイン在住者のアドバイスとして参考にしてください。

犯罪の多いエリア

マドリードの市警察の車両。 ©iStock
マドリードの市警察の車両。 ©iStock

スリ、置き引き、ひったくりなどの窃盗被害は大都市のほか、コルドバ、セビーリャ、グラナダといった観光地を中心に地方でも発生しているので、十分な注意が必要。

《マドリード》
アトーチャ駅やチャマルティン駅付近、プエルタ・デル・ソルやスペイン広場を中心とする観光スポット周辺、繁華街の路上、日本人の利用が多いホテル周辺など。

《バルセロナ》
ゴシック地区を中心とする旧市街、ランブラス通りやカタルーニャ広場周辺、サグラダ・ファミリア聖堂などの主要観光スポットのほか、到着・出発時に利用する空港や鉄道駅で被害が多い。

シチュエーション別対策法と事例

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スペイン在住20年の筆者が、実際に気を付けている点や対策法を、シチュエーション別にいくつか紹介します。(事例は地球の歩き方「スペイン」より参照)

ホテル選び

  • 大きなスーツケースを持った移動は人目を引きます。タクシーが横付けできるホテルが安全です。空港バスや鉄道を利用する場合は、バス停・駅近くの人通りのある場所のホテルを利用するのが安心でしょう。

外出時

  • パスポートの提示は、飛行場、ホテルのチェックイン、そしてショッピングの免税手続きの際と限られています。食事に出かけたり、美術館に行くだけの時は、ホテルのセーフティーボックスに入れておいた方がよいでしょう
  • 貴重品も最小限に。筆者がバルセロナやマドリッドへ行く時は、貴重品だけ小さめのバッグに入れてたすきがけにし、夏以外の季節であればジャケットやコートをその上から羽織ったりします
  • 財布をズボンの後ろポケットに入れておかないよう気を付けて
  • 鞄はファスナー付きの方が手が入れにくくなるので安全です。たすきがけか、肩からかけて手で柄を持つようにします。常に鞄が身体の前側にあるように。リュックも前側にかけた方がよいです
  • 歩道は車道のすぐ横は歩かない方がよいです。車道のひったくり被害を防ぐことができます
  • 夜中の一人歩きは危険です。人通りの少ない所を通るのは避けましょう
  • 親しげに近寄ってくる人を簡単に信用しない方がいいです
事例
マドリードのアトーチャ駅からソフィア王妃芸術センターとの間を往復して歩いていた際に、ズボンにチェーンで結び、ポケットに入れていた財布から紙幣だけ抜かれていた。
サグラダ・ファミリアを出てすぐの横断歩道を渡っていたところ、後ろから女性にぶつかられ、気づくとバッグのファスナーを半分開けられていた。
ランブラス通りのファッション店で、レジで支払いをして商品を受け取ろうとバッグから手を離した隙に、小銭入れがなくなってた。
日本からのツアーに参加中、添乗員が「バッグは背中ではなく自分の前にかかえてください。こちらのスリはプロです!」と何度も注意喚起してくれたにもかかわらず、バスを降りて10 分もしないうちにバッグに入れていた長財布を盗まれた。
観光客と思われる人たちに写真を撮影してくださいと言われ、撮っている際に何者かが寄ってきて、あとでかばんの中を見たら財布が盗まれていた。

バルやレストラン

  • 鞄は膝の上か、同伴者との間など目の届く所に置きましょう。背中と椅子の背もたれの間や、椅子に掛けたり、足元に置いたりしないように
事例
ビュッフェで料理を取りに行った際に、「この椅子は空いているか」のような素振りで来てすぐ去ったのですが、椅子にかけてあったバッグを犯人の上着で隠して盗まれた。

レンタカー

  • ガソリンスタンドで車を離れる際は必ず鍵をしめましょう
  • パンクさせて、タイヤ交換を手伝うふりをして近寄り、車内の物を盗む人がいるので信用しないように
  • 車内の見える所に、ジャケットや鞄を置いて出ないように。極端な例かもしれませんが、買ったばかりのトマトの入った買い物袋を置いていただけで窓を壊された友人もいます

クラブ・コンサート

  • 会場内で飲み物を頼んだ時は、バーテンダーさんから直接飲み物を受け取りましょう
  • クラブを出ると近づいてくる東欧系の綺麗な女性がいたりします。所持品にはくれぐれもお気を付けて
  • クラブを出るとタクシーを待つ長蛇の列。声を掛けてくる男性には「ノー・グラシアス」と言ってタクシーを待ちましょう。タクシーなら安全です

残念ながら被害にあってしまった場合

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すぐに警察署(コミサリア・デ・ポリシアComisaría dePolicía)へ行き、盗難届出証明書(デヌンシア・ポリシアルDenuncia Policial)を発行してもらいましょう。パスポートの発給申請や、海外旅行保険の保険金の請求を行う場合に必要な書類です。

《緊急時の連絡先》警察・救急・消防  112

在外公館の連絡先

在スペイン日本国大使館
住所
Serrano 109
電話番号
915 907 600
FAX
915 901 321
在バルセロナ日本国総領事館
住所
Av. Diagonal, 640, 2゜D
電話番号
932 803 433
FAX
932 804 496
在ラス・パルマス出張所(カナリア諸島)
住所
Triana 120, 3ª Izquierda
電話番号
928 244 012
FAX
928 297 290

SATE(安全サービス)

マドリード中心部にある警察署にオフィスを構え、犯罪の被害やけがなどを負った旅行者に対してさまざまなサポートを行っている。日本語を話すスタッフもいるので安心。

住所
Leganitos 19
電話番号
902 102 112(電話は24時間対応)
営業時間
毎日9:00 ~ 24:00

このようなさまざまケースを聞いてしまうとスペインは怖いという印象をもってしまうかもしれませんが、事前に可能性を頭に入れておくと被害を防ぐことができます。これらの対策を参考に、安全対策をしっかり整えスペイン旅行を楽しんでください!

スペインの最新安全情報(外務省)

スペインの治安については、外務省が提供する以下の最新安全情報も合わせてご覧ください。

文書番号:NH2402-0001

筆者

スペイン特派員

今岡史江

1993年よりスペイン在住。車好きが高じて自動車整備士の資格をとり、ただ今トヨタ・イビサでメカニック中。

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