ロンドンで無料の展望台「スカイ・ガーデン」に登ろう

公開日 : 2023年03月11日
最終更新 :

イギリス、ロンドンでもっとも高い建物はシャングリラ・ホテルが入る「ザ・シャード」で、ヨーロッパ圏においても有数の高さだそうですが、その分展望台利用料もそれ相応で、ひとり£32します。それに比べて、シャードのあるロンドン・ブリッジ駅から橋を渡り、川を挟んでちょうど対面に位置するように見える展望台、「スカイ・ガーデン(Sky Garden)」はなんと無料!

この“ロンドン一高い植物公園”は地上155m、シャードのバーがあるフロアより少し高い程度の35階にあり、360度グルっとロンドンの町を一望できます。ビルは高過ぎず低過ぎないので、高層階ならではの圧巻の景色と、ほかのビルの屋上にあるプールつきガーデンやゆったりと進むテムズ川の船、行き交う人々の姿まで見えて楽しめます。

2015年度の「もっとも醜い建物」にあるスカイ・ガーデン

スカイ・ガーデンへは電車のロンドン・ブリッジ駅から徒歩10分ほどですが、周辺には複数の地下鉄駅があり、なかでももっとも近いのはモニュメント駅で、徒歩3分ほどです。

スカイ・ガーデンが入ったビルはその建物の形から、またの名をウォーキー・トーキー(トランシーバー)と呼ばれています。実際にビルの下から見上げると、上部が外側に少し婉曲しており、昔の携帯電話のような、その名のとおりの形をしています。

左端の建物が“ウォーキー・トーキー”ビル
左端の建物が“ウォーキー・トーキー”ビル

少々奇抜すぎたようで、英建築専門誌が毎年発表する「カーバンクル・カップ」にて、同ビルは2015年に“イギリスで1年間に建築されたなかでもっとも醜い建物”に見事選出されました。“周囲の低層階ビルをヤクザのようにへいげいする、安物のピンストライプ・スーツに身を包んだ肩幅の広い銀行家のようだ”などと、たいそうな酷評っぷりです(出典:Wainwright, Oliver. “Carbuncle Cup: Walkie Talkie wins prize for worst building of the year” Sep 2015, The Guardian.)。

競争率の激しい入場券

そんな不名誉な受賞をしたビルですが、展望台としては無料なこともあり、かなりの人気を誇ります。利用には1時間の制限つき無料チケットが必要で、3週間前から予約できますが、15分ごとのタイムスロットはけっこうな確率で売り切れです。

今週も試しに公式ウェブサイトの予約欄(Tickets)を覗いてみると、ちょうど3週間先まで空きがありませんでした。なぜかその先も少し予約できるようになっており、実質4週間ほど前から予約はできそうですが、週末になると相変わらず全滅なので、チケット入手はなかなかの難易度です。

ただ、毎日一定の時間帯は予約なしの「ウォークイン・スロット」なるものがあるので、特に平日の朝は狙い目です。それでも、木曜から土曜にかけての夜は毎週混雑が予想されるので、レストランやバーを予約するのも確実な手段です。その場合、入場チケットは不要となります。

当日の入場手続き

「カーバンクル・カップ」でウォーキー・トーキービルが酷評された理由のひとつは、ビル風を発生させたことですが、実際に同ビルが並ぶ通りに1歩入るとすさまじい風が吹き荒れます。

以前夏頃に訪れたときの様子ですが、慌てて建物内部にかけ込むと、入場手続きをしている人たちの行列がありました。わざわざプリントアウトした用紙を、しっかりと握りしめている人もいます。

イギリスではよくあることなのでもう驚かなくなりましたが、スカイ・ガーデンへはエレベーター前のX線を通る荷物検査と、身体検査を通過しなければなりません。たいていアクセサリーで引っかかる私はこの日もゲートでピーっと鳴らせてしまい、あの丸い輪っかのような金属探知機とおぼしき道具で、表裏と全身をチェックされました。

圧巻の巨大温室テラス

いざ、35階の展望デッキにたどり着くと、目の前には一面ガラス張りの窓とテラスが広がりました。「ガーデン」と名がついているとおり、2階、3階のデッキへと続く階段には緑のプランターがたくさん配置されており、まるで温室にいるかのようです。

今年オープンしたばかりの、カフェとギフトショップを併設したLarchなど、各階には雰囲気のよいレストラン・バーがあります。営業時間は日によってかなりばらつきがあるので、詳しくは下に貼ったウェブサイトのリンクからそれぞれ確認してください。

訪れたのは平日の午前中でしたが、ロビー階にあるカフェおよびバーではカップケーキで遅めの朝食、あるいはブランチをとっている人、朝から「バー」を本来の目的よろしく、ソルティ・ドッグらしきすてきなカクテルをトレイにのせて闊歩しているお姉さんもいました。皆思い思いに天空の庭を堪能しているようでした。

イベント会場としても使われるガーデン

スカイ・ガーデンでは、普段からライブバンドによる演奏(要有料チケット)があり、クリスマスやカウントダウン、新年などを祝う年間行事も豊富です。

なかでも36階のテラスで早朝から始めるヨガ、ピラティス、そして瞑想はいまやスカイ・ガーデンの名物ともなりつつある、健康的な朝活イベントです。火曜と土曜がヨガ、木曜が瞑想、日曜がピラティスの日で、毎回それぞれのセッションが1時間行われ、そのあとに温かいドリンクとパンのセットがつきます。

外に見えるのは「ザ・シャード」のビル
外に見えるのは「ザ・シャード」のビル

ユニークな建物、ウォーキー・トーキービル高層階から迫力の景色を眺めるもよし、おしゃれなレストランで舌鼓を打つもよし、魅力的なイベントを楽しむもよし、いく通りもの楽しみ方ができるスカイ・ガーデンで、お気に入りの過ごし方を見つけてください。

以下の営業時間は無料で利用できる、PUBLIC GARDENのものです。レストラン・バー、各種イベント情報などはウェブサイトで確認してください。

◼️
スカイ・ガーデン(Sky Garden
・住所
20 Fenchurch St, London EC3M 8AF
・アクセス
電車ロンドン・ブリッジ駅徒歩10分、地下鉄モニュメント駅徒歩3分、バンク、タワーヒル、アルドゲイト駅徒歩10分
・営業時間
月〜金10:00〜18:00、土、日、祝11:00〜21:00

筆者

イギリス特派員

パーリーメイ

2017年よりロンドン南部で家族と暮らしています。郊外ならではのコスパのよいレストラン、貴族の邸宅、城めぐり、海沿い情報などが得意です。

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