【イギリス】ロンドナーが愛する大人のオアシス、リッチモンド完全ガイド(後編)

公開日 : 2023年03月31日
最終更新 :
筆者 : kaede

ロンドン南西部の大人のオアシス・リッチモンド今回は後編をお送りします。
前編4か所に対して、なぜか後編が6か所と盛りだくさんになってしまいましたが、それだけリッチモンドの魅力がたっぷりだということをお分かり頂けると思います。それでは、早速行ってみましょう!

ワイルドな鹿で運試し&満開のツツジにイギリスの本格的な春の訪れを喜ぶ(リッチモンド・パーク)

夏のイザベラ・プランテーション。
夏のイザベラ・プランテーション。

さて、リッチモンド・パークを訪れずしてリッチモンドは語れません。鹿で有名なリッチモンドパーク。しかし、こちらのパークの鹿は奈良公園や宮島などの我が国のフレンドリーな鹿たちとは一線を画したワイルドな鹿です。冒頭の写真の通り、オスのツノもそのままで、どちらかというとサファリのような雰囲気。鹿せんべいも食べません。2,500エーカー(東京都中央区と同じくらいの大きさ)の巨大な敷地に630匹の野生の鹿が群れになって暮らしているので、会えない場合もあります。個人的には遭遇率は60-70%程度かなと思いますので、運試しのつもりで探してみてください。ちなみに公園の安全指針では鹿とは最低50メートルの距離をとるように、とのことです。近距離のセルフィーはご法度です。ワイルドです。しかし、自然の中に溶け込む鹿の群れは神々しいです。

そのほかのリッチモンド・パークの一推しは「Isabella Plantation(イザベラ・プランテーション)」です。こちらは1830年代に作られた40エーカー(東京ドーム3.5個分くらい)の柵に囲まれたガーデンで、リッチモンド・パークのおヘソのあたりに位置しています。可愛らしいゲート(鹿の侵入防止)を入ると、比較的荒々しいリッチモンド・パークからガラッと雰囲気が変わって、季節ごとの花がたくさん咲いたピースフルな空間が広がっています。プランテーションの周囲をぐるっと散歩する場合は30分程度かかりますが、Peg's Pondという池の周りを歩くだけなら5分程度です。1年中開いていますが、最も人気があるのが4月後半から6月にかけてツツジが咲き誇る季節。実はこのツツジは1920年代に日本からもたらされた久留米ツツジだそうです。たくさんのツツジがガーデン内で一斉に咲く姿は壮観です!イギリスの本格的な春の訪れを感じることができますよ。

  • こちらはツバキ(3月)

    こちらはツバキ(3月)

  • 可愛らしいゲート

    可愛らしいゲート

  • イギリスの初春の訪れを告げるウェールズ国花のラッパ水仙(Daffodil)

    イギリスの初春の訪れを告げるウェールズ国花のラッパ水仙(Daffodil)

Isabella Plantation

住所
Richmond Park, Richmond (リッチモンド・パーク内)
電話番号
+44 (0) 30006112200 (リッチモンド・パーク受付)
アクセス
2023年4月5日以降、8月までの夏季期間はLadderstile GateやRichmond Gateから無料ミニバスが運行(詳細はホームページを参照)

丘の上の優雅なホテルでコスト・パフォーマンス抜群のアフタヌーン・ティーを楽しむ

リッチモンドにはアフタヌーン・ティーができる場所がいくつかありますが、今回おすすめするのはこちらの「144 On the Hill(144 オン・ザ・ヒル)」。リッチモンドヒル・ホテルに併設されているレストラン・バーです。ジョージアン様式のエレガントなホテルでのアフタヌーン・ティーと聞くと贅沢な響きですが、お値段は全部で40ポンドと良心的です。イギリスらしい花のアーチでできた入口を入ると高級ホテルらしい良い香りがしました!

こちらのアフタヌーン・ティーではスイーツ版と食事版の2種類を選ぶことができます。スイーツ版は最上段がマカロン、チョコレートタルト、チーズケーキ、シュークリームなどのケーキ類、中段が王道のスコーン、下段がコロネーションチキンやスモークサーモンなどのサンドイッチ類でした。筆者は同行者と相談してスイーツ版と食事版を1つずつ注文したのですが、結論から言うと、2つとも同じにしておけばよかったです。待ちきれずに甘いスコーンを食べたあと、口の中が甘くなってしまい、食事版の方を持て余してしまったためです。でも、大丈夫。食べきれなかったら、お持ち帰りもさせてくれます。そして、さすが一流ホテル、スタッフの方もテキパキしていて、とても感じがよかったです。

最後にアフタヌーン・ティーに関する蘊蓄を少々。ご存じの通りアフタヌーン・ティーはイギリス発祥。1800年代のビクトリア女王時代に、夕食前の4時頃にお腹が減るのよねということでベッドフォード公爵夫人アンナ・ラッセルさんが始めました。聞き覚えがない名前ですが、実は皆さん、彼女の顔は見たことがあると思いますよ。実は彼女は日本の「午後の紅茶」のパッケージに肖像画が使われているのです。今度午後ティーを飲むときに注目してみて下さいね!

  • アフタヌーン・ティーの会場

    アフタヌーン・ティーの会場

  • 入口を入ると優雅な香り

    入口を入ると優雅な香り

  • 待合スペースもゴージャスです

    待合スペースもゴージャスです

  • バーカウンターはグリーンと白でスタイリッシュ

    バーカウンターはグリーンと白でスタイリッシュ

  • ティーポットとティーカップは可愛らしいピンク色

    ティーポットとティーカップは可愛らしいピンク色

  • イギリス人の間ではクロテッド・クリームを上に塗るか苺ジャムを上に塗るか論争が存在します

    イギリス人の間ではクロテッド・クリームを上に塗るか苺ジャムを上に塗るか論争が存在します

144 On The Hill Restaurant and Bar

住所
144 On The Hill, 149-150 Richmond Hill, Richmond, Surrey
電話番号
+44 (0) 20 89402247
アクセス
Richmond駅から371番Kingston行きのバスで10分、American Universityで下車、徒歩4分

イギリスのソウルフード、フィッシュアンドチップスをほおばる

こちらはローカルの方におすすめされたシーフード・レストラン「Pier1 Fish and Grill(ピア―1・フィッシュ・アンド・グリル)」。10年以上地元に愛されているレストランで、新鮮な魚のフィッシュアンドチップスが目玉メニューですが、魚のグリルやイカ・エビ・ホタテなどのそれ以外のメニューも充実しています。お店は左側がテイクアウトが可能なカウンターで、右側がシンプルながら清潔で雰囲気のよいレストランです。その日はいいホタテが入っています、とのことだったので、前菜にホタテのグリルを注文しました。ジューシーでとても美味しくて、一瞬で平らげてしまいました!メインはコッド(タラ)とハドック(モンツキダラ)のフィッシュアンドチップスをそれぞれ注文しました。どちらも文句なしの美味しさで、ビネガーやタルタルを付けずとも塩だけでいけるほどでした。既にまた食べたいです。個人的にあっさりしたハドックよりコッドの方が後味に余韻があって、フライに合っている気がしました。付け合わせのチップスやマッシーピーズも文句なしのバランスでした。フィッシュアンドチップスのお値段は15-16ポンドと、このクオリティとしては大変リーズナブルです。前述の通りテイクアウトが可能なので、お天気がよければリバーサイドで食すもよし、アツアツをお店でほおばるもよしです!

  • 雰囲気のよい店内

    雰囲気のよい店内

  • 前菜のホタテのグリル

    前菜のホタテのグリル

Pier1 Fish and Grill

住所
Pier 1, 11-13 Petersham Road, Richmond, Surrey
電話番号
+44 (0) 20 8332 2778
アクセス
Richmond駅から徒歩10分

アンティークな雰囲気の花屋さんを覗く

リッチモンドのHill StreetやHill riseには個性的なお店が多くてワクワクしますが、こちらの「Bramble & Moss(ブランブル・アンド・モス)」はその中でも思わず引き寄せられてしまう、センスが光る独立系の花屋さんです。渋いグリーンのビクトリア様式の建物に完全にマッチした植物が彩るショーウィンドウに惚れ惚れしますが、店内も素敵。少し色褪せたアンティークのシャンデリアや鏡、ピアノなどが置かれる店内に所せましと置かれる色とりどりの花々が不思議と完全に調和しているのが印象的です。バラ、ボタン、あじさいなどイギリスを代表する花々には特に力を入れているそうですが、こちらのお店の売りはそれらの花束に更に鳥の羽などのユニークな材料を組み込むクリエイティブなフラワー・アレンジメントだそうです。お花の他にも観葉植物やおしゃれな鉢なども売っています。余談ですが、筆者はこちらのお店で入手した鉢に、我が家にあった格安ショップのサボテンを入れてみたところ途端にグレードアップした雰囲気になって大満足です。

通常の注文に加えて、結婚式などのイベントでのフラワー・アレンジメントも行っています。クリスマスの季節にはリース作りのワークショップも開催しているそうです。

  • 建物のグリーンとカラフルの花々の調和が何とも美しいです

    建物のグリーンとカラフルの花々の調和が何とも美しいです

  • 小さなポット(鉢)も売っています

    小さなポット(鉢)も売っています

  • 観葉植物もたくさん

    観葉植物もたくさん

Bramble & Moss

住所
64 Hill Rise, Richmond, Surrey
電話番号
+44 (0) 20 83322268
アクセス
Richmond駅から徒歩11分

あなたはどこから?-①川のほとりからテムズ川を愛でる

最後に夏季シーズンのリッチモンドを最大限に楽しむためのパブを2か所ご紹介します。
1軒目は「The White Cross(ザ・ホワイト・クロス)」です。こちらはリッチモンド・リバーサイド広場の近くにある、おそらくリッチモンドで一番の名物パブです。本当に川の近くにあるので、満潮になると川の水が入口近くまで上がってきて、テラス席で靴を脱いで飲むのが最高です。下記の写真の通り、テラス席の入口にはその日の満潮の時間と水深を記すボードがかかっています。(もっとも、2回目に訪れた時も前週と全く同じ情報だったのでハイシーズン以外は更新されていない可能性もあります。)夏場はテラス席に人があふれて、道にも人があふれて、非常に活気のあるパブです。食事も充実しており、伝統的なイギリスのパブご飯や、サンデー・ローストが楽しめます。ラグビーの中継にも力を入れているので屈強な男性陣が集まって盛り上がることも。ドッグ・フレンドリーなパブでもあり、泥んこワンちゃんどんとこい、とのことです。スコッチ・エッグが美味しいとの評判ですので、ビールのお供に是非お試しください。

  • ホワイト・クロス外観

    ホワイト・クロス外観

  • 満潮時刻と水深

    満潮時刻と水深

  • 店内も大きな窓が明るくて気持ちがいいです

    店内も大きな窓が明るくて気持ちがいいです

The White Cross

住所
Riverside (off Water Lane), Richmond, Surrey
電話番号
+44 (0) 20 89406844
アクセス
Richmond駅から徒歩9分

あなたはどこから?-②丘の上からテムズ川を愛でる

2軒目はパブ「The Roebuck(ザ・ローバック)」。リッチモンドの丘の上にあり、イギリスの風景画家ターナーも描いた美しいテムズ川とリッチモンドの絶景を楽しむことができます。(ターナーの1815年の作品「The Thames from Richmond Hill」はテート・ブリテン所蔵)パブのカウンターでビールを買って、外のベンチで絶景を眺めながら、夕陽が暮れるまで友達とおしゃべりしながら飲むのが最高なのです。天気のいい日なら望遠鏡で遠くはハンプトンコートやウィンザー城まで見渡せるというこの丘の景観は、イギリス議会によって法律で守られているそうです。

このパブは実はリッチモンドで一番古いパブで、15世紀には既にその前身があり、現在の建物は1741年に再建されたものです。多くのセレブリティーにも愛されており、ミック・ジャガーやピート・タウンゼント(ザ・フ―のギタリスト)も通っていたのだとか。リッチモンド・パークのゲートにも近いので、公園の帰り道にぜひ寄って夕焼けを眺めてみて下さい。

  • 店内も独特の雰囲気が落ち着きます

    店内も独特の雰囲気が落ち着きます

  • 18世紀に再建された建物です

    18世紀に再建された建物です

  • 日が暮れてきました

    日が暮れてきました

The Roebuck

住所
130 Richmond Hill, Richmond, Surrey
電話番号
+44 (0) 20 8948 2329
アクセス
Richmond駅から65番Kingston行きのバスで7分、Nightingale Laneで下車、徒歩5分
もしくはRichmond駅から371番Kingston行きのバスで13分、American Universityで下車、徒歩5分

以上、前後編で10個のおすすめスポットをご紹介しました。少しでもリッチモンドの良さが伝われば幸いです。ロンドンに遊びに来た際にはぜひ自然に恵まれた大人のオアシス・リッチモンドでのんびり羽を伸ばしてください。

筆者

イギリス特派員

kaede

アフタヌーンティーやロイヤルファミリーだけではない、多様性あふれる、ダイナミックでゆるーいロンドンの姿を紹介していきます。自分の友達が遊びに来たら連れていきたい、真のおすすめスポットのみ掲載していくのでぜひご覧ください。

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