【スコットランド】春から初夏にかけての気候の特徴

公開日 : 2023年05月28日
最終更新 :

スコットランドはUK全体から見て最も北側に位置しており、海や山に囲まれて自然が多く、とても美しい国です。
北海道と同じくらいの緯度なので、冬場が寒いのは簡単に想像できますが、春から初夏にかけてのこの時期にやってくる自然現象はかなり特徴的です。今回は日本ではあまり馴染みのないスコットランドのこの時期の気候の特徴について紹介していきたいと思います。

Haar(ハール)

ハールというのはこの時期、イギリスの北側とスコットランドの東海岸限定に現れる自然現象の一つです。
厳しい冬を越え、ゆっくりと暖かい気候に変わっていくこの時期に、スコットランドの東海岸が面する北海の冷たい海水から水蒸気が大量に発生し、濃い霧になって陸地を覆います。
この霧は濃くて見通しが非常に悪く、エジンバラから北側に向かうところに位置するフォースブリッジでは、この時期、ハールによってしばしば通行止めを余儀なくされます。
私の夫はゴルフコースで働いていますが、この時期はハールによってゴルフ場が閉鎖になったり、フェアウェイに点滅ライトを設置するなど、対応が大変なようです。

ハール以外でも、私たちが暮らしているスコットランドのファイフ地方では、この時期は霧が出ることが多いです。農地には作物が植えられ、そこからの蒸気が寒い朝にはゆらゆらと立ち上り、気温が上がるとともに丘の上には傘上の雨雲がかかり、海からは湿った空気がやってきて、この辺り全体が霧や霞に包まれます。
寒い冬にはくっきり見えていた自然の景色が、この時期には霞がかかって見えにくくなるという自然現象。非常に興味深いです。

これがHaar(ハール)。濃い霧が海からやってきます。
これがHaar(ハール)。濃い霧が海からやってきます。

毎日の気温の変化が激しい

この時期のスコットランドは冬と夏が交互にやって来るように、気温の変化がとても激しいんです。朝夕の気温の変化が激しい、というのは体験したことがあると思います。でもそれとはまったく違い、昨日は暑いくらいで半袖一枚で過ごしていたのに、今日は空気がキーンの凍り、セーターに毛糸の帽子、といった感じです。それが2~3日毎にやってくるときもあれば、毎日交互に訪れることもあります。
これにはやはり地形が関係しています。スコットランドの東海岸は北海に面していて、風が海から吹いてくるときには冬のような冷たい空気となるんだそうです。逆に風が大陸側からくると、湿った暖かい空気になる。
気温の変化が大きいスコットランドで生活していくには、衣替えはできそうにないですね。

日が長い

3月末になり夏時間に入ると、スコットランドの日中の時間はどんどん長くなります。
冬場日の出が9時ごろ、日の入りが午後3時半ごろ、というとてつもなく短い昼間を過ごしていたのに、夏時間に入った途端に立場が逆転します。
5月末の時点では、日の出が午前5時前、日の入りは午後10時ごろ。冬場とは打って変わって日中が驚くほど長くなり、人々は仕事帰りにゴルフをしたりビーチに行ったりして、この長い昼間の夏を満喫します。
ちなみに日本では花火は夏の風物詩ですが、イギリスやスコットランドでは夜がなかなか暗くならないので、花火は秋(冬)のものなんです。
このように日が長い夏はイベントも活動も多くて本当に楽しいんですが、冬場はその逆でほとんどが夜ですからね。スコットランドの短い夏をできるかぎり満喫しよう、という人々の気持ちはとてもよくわかります。

これが朝5時の日の出。パワフルです。
これが朝5時の日の出。パワフルです。

カラフル、パワフル

この時期になると花が一斉に咲き始めます。クロッカスも水仙も桜もりんごもたんぽぽも、一斉に咲きます。
茶色だった山や農地が緑に変わり、あちこちに新芽や雑草が出てきて、あたりの景色が一変します。
私たちが所属するゴルフコースもどんどん緑が濃くなってきました。
厳しく長い冬をようやく乗り越えて突然目の前に現れたスコットランドの春は、カラフルでパワフルで、生命力にあふれ、ここで暮らしている人々にも元気を与えてくれているようです。
ちなみにスコットランドの桜は八重の濃いピンクのものが多く、日本の繊細で儚い桜のイメージとは全く異なります。やはりこの桜もカラフルでパワフルです。

ど派手ピンクのスコットランドの桜
ど派手ピンクのスコットランドの桜

今回はこの時期スコットランドに訪れる特徴的な天候と自然の様子を紹介しました。
厳しい冬の後、木や草花が一斉にカラフルになると同時に、ここで暮らす人々もいきいきと活動的になり、活気に満ちてきます。
私も今から始まるスコットランドの短い夏を堪能していきたいと思っています。

筆者

イギリス特派員

ベイトマン明子

2023年に引っ越してきたばかりのスコットランドのあちこちを訪れ、皆様に報告できることを楽しみにしています。

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