
ニューヨークの摩天楼が望める「無料ルーフトップテラス」あり!NY図書館を徹底解剖
ニューヨーク・マンハッタン5番街にあり、2匹の大理石のライオンが両脇を守る「ニューヨーク公共図書館(本館)(スティーブン・A・シュワルツマン・ビルディング)」。こちらの図書館は、ニューヨーク市のランドマークとして有名です。
しかし最近はその斜め向かいにある、2020年にリニューアルオープンした別館の「スタブロス・ニアルコス財団図書館」に注目が集まってきています。無料のルーフトップテラスがあるなど、旅行者にとっても楽しいスポットです。今回はそんなニューヨーク図書館別館、スタブロス・ニアルコス財団図書館の歴史や魅力をご紹介します。
スタブロス・ニアルコス財団図書館の歴史

スタブロス・ニアルコス財団図書館は、鉄道王ヴァンダービルト邸宅跡地に建てられた、ニューヨーク最古のデパートをリニューアルした建物です。以下におもな成り立ちと出来事をまとめてみます。
- 1866年 鉄道王コーネリアス・ヴァンダービルトの息子が、ブラウンストーン(富裕層向け煉瓦造り)の邸宅を建設
- 1914年 ヴァンダービルト邸宅が取り壊される
- 1915年 邸宅跡地にニューヨーク最古のデパート「アーノルド・コンスタブル・アンド・カンパニー」を建設
- 1961年 ニューヨーク公共図書館が「アーノルド・コンスタブル・アンド・カンパニー」の建物を購入
- 1978年 改装したものの天井が低く、デパートの外観と雰囲気は変わらなかった
- 2017年 スタブロス・ニアルコス財団が、改修のための5500万ドルの助成金を発表
- 2020年 2億ドルかけた大幅な改装工事が完了。助成金提供の財団に敬意を表し、ミッド・マンハッタン図書館からスタブロス・ニアルコス図書館に改名。コロナ感染防止のため、オープン時は本の受け取りと返却のみに限定
- 2021年 本格的にフルオープン
- 2023年 40万冊の書籍を収蔵。総面積18万平方フィートの広さがある
参照
Timeline: The History & Making of the Stavros Niarchos Foundation Library (SNFL)|New York Public Library
Welcome to the Stavros Niarchos Foundation Library (SNFL)|New York Public Library

館内をチェックしてみよう

図書館の入り口には警備員がいて、大きな荷物などを持っている場合、呼び止められることがあります。ニューヨークでは防犯のため、大きな荷物はチェックされることがあるので、身軽な恰好で入館することをおすすめします。
- 地下 児童書
- 1階 ロビー、貸出カウンター
- 2階 小説、芸術、ファッションほか(マロン家貸出コレクション)
- 3階 SF、ミステリー、恋愛、旅行書ほか(マロン家貸出コレクション)
- 4階 世界各国言語書ほか、日本語の書籍あり(マロン家貸出コレクション)
- 5階 ビジネスセンター(ビジネス、金融、市場調査の研究のために電子データベースにアクセス可能)
- 6階 パスクラノ ラーニングセンター(生涯学習)
- 7階 無料ルーフトップテラス
スタブロス・ニアルコス財団図書館はニューヨーク公共図書館(本館)の別館ですが、公共と名がついていてもニューヨーク市の運営ではなく、財団などの寄付による民間運営です。世界屈指の規模の図書館が民間運営で成り立っているところに、アメリカの財力と知的探究心の深さを感じますね。図書館名に冠したスタブロス・ニアルコス財団は、ギリシャの海運王で大富豪であり、助成金5500万ドルを出資しています。
また、2階から4階にある40万冊の蔵書に名付けられた「マロン家貸出コレクション」は、長年理事を務め多くの寄付金に貢献したキャサリン・マロン氏とその家族を称えたものです。
本の貸出はニューヨーク州の在住者あるいはニューヨーク州内での勤務者・学生になりますが、本やコンピューターの閲覧は旅行者でも可能です。
期間限定『スパイダーマン』図書館カード

2023年6月現在、期間限定で『スパイダーマン』の図書館カードが入手可能です。筆者はデジタル登録しかしていなかったので、今回図書館カードを作りました。切り離すと、上がクレジットカードサイズの図書館カード、下がミニサイズの2種類になります。
図書館カードが入手できるのは、本の貸出可能な「ニューヨーク州の在住者、あるいはニューヨーク州内での勤務者・学生」になります。旅行者は残念ながら、対象外となります。
映画『スパイダーマン』はニューヨークが舞台で、ニューヨーク公共図書館本館(スティーブン・A・シュワルツマン・ビルディング)もロケ地でした。
さっそく、世界各国言語が置いてある4階で、日本語の書籍を借りてきました。種類はそれほど多くありませんがちゃんと和書のコーナーがありますので、訪れたらどんな本があるのか見てみてください。
旅行者におすすめ、無料の「ルーフトップテラス」

筆者のおすすめは、7階にある無料のルーフトップテラスです。SNSでテラスからの夜景が拡散されたこともあり、一般にも知られるようになりました。
では、1階やや奥にあるエレベーターに乗って、7階まで上りましょう。各階で熱心に本を開いたり、パソコンで調べ物したりしているニューヨーカーの様子が見られます。

7階でエレベーターを降りて左手に進むと、ルーフトップテラスがあります。マンハッタンのミッドタウンで唯一、無料で一般公開されているルーフトップテラス。どんな景色が広がっているか、ワクワクしますね。

視界がパッと明るく開け、ルーフトップテラスに出ました。開放感がいっぱいで気持ちがいいです! テラスに出てみると、何名か先客がいました。若い人が多いので、SNSなどで無料のルーフトップテラスの存在を知ったのかもしれません。

間近に見える高層ビル。展望台から見るのとは違う、ダイナミックな眺めが広がります。テラスには、椅子やテーブル、ベンチがあるので、休憩しながらゆっくり景色を楽しめるのが嬉しいポイント。

目玉の摩天楼ビューはこの一角。なかなかすてきな眺めですよね。SNSでは夜景が拡散されました。
ルーフトップテラスからの夜景を見たいなら、秋〜春がよいでしょう。夏期のニューヨークは20:30過ぎまで明るく、テラスは19:00や20:00(図書館閉館の1時間前にクローズ)で閉まってしまうので、残念ながら夜景にはなりません。ただし、夕暮れの摩天楼もロマンティックだと思います。

図書館という学びの場にあるルーフトップテラスなので、他人の邪魔をしないよう、皆静かに眺めを楽しんでいます。

雰囲気がとてもいいので、休憩にはもちろん、デートにもぴったりです。

解放感のあるこちらのルーフトップテラスでは、ニューヨーク市マンハッタンを間近で体感することができますよ。価格が高い、もしくは絶景とは限らないルーフトップバーがあるなかで、無料開放でかつ眺めのよいルーフトップテラスは本当にありがたい存在です。
イベントや個人使用のため、一般開放されない時もあるので、訪問時は事前に公式サイトでチェックすることをおすすめします。また、ルーフトップテラスにはゴミ箱はありませんので、ゴミは各自持ち帰り、ゴミなどで散らかすことがないようにしましょう。

マンハッタンを歩き疲れたら、ゆっくり腰を下ろせるスポットとして、スタブロス・ニアルコス財団図書館をぜひ覚えておいてください。観光地が多いミッドタウンにあり、図書館内のトイレも利用できるので、旅行者には便利な存在です。
スタブロス・ニアルコス財団図書館
- 英語名
- Stavros Niarchos Foundation Library (SNFL)
- 開館時間
-
月〜木 8:00〜21:00 金 8:00〜20:00 土日 10:00〜18:00 祝日休
ルーフトップテラスは、閉館の1時間前に閉まります。またイベントや個人使用のため、一般開放されない時もあるので、訪問時は事前に公式サイトでチェックすることをおすすめします。 - 住所
- 455 Fifth Avenue, Seventh Floor, New York, NY 10016
- 電話
- 212-340-0863
- URL
-
スタブロス・ニアルコス財団図書館 https://www.nypl.org/locations/snfl
ルーフトップテラス https://www.nypl.org/locations/snfl/event-center
おまけ:スタブロス・ニアルコス財団図書館のトイレ情報
ニューヨークでは防犯上、公共トイレ(英語では、Restroom)が少ないため、マンハッタンのミッドタウンで安全かつ清潔な公共トイレがあるのは貴重です。今回館内の女性トイレを利用してみましたが、個室が多く清潔でした。
ニューヨーク公共図書館(本館)(スティーブン・A・シュワルツマン・ビルディング)の方はトイレ自体が少なく分かりにくい場所にあるので、スタブロス・ニアルコス財団図書館の利用をおすすめします。
- 女性トイレ 地階、3階、5階、7階
- 男性トイレ 2階、4階、6階、7階
ニューヨーク旅行の際には、値段が高い施設を利用するものもちろんいいですが、たまにはスタブロス・ニアルコス財団図書館のような施設を利用し、賢く節約しながら楽しんでみてくださいね。ニューヨークで、お待ちしています!
TEXT:ニューヨーク特派員 青山 沙羅
PHOTO: Hideyuki Tatebayashi & Sara Aoyama
*Do not use images without permission.
監修:地球の歩き方
※掲載情報は2023年6月時点の情報です。開館時間や閉館などは変更になる場合がありますので、事前に必ず公式サイトなどで最新情報をご確認ください。

筆者
アメリカ・ニューヨーク特派員
青山 沙羅
はじめて訪れた瞬間から、NYに一目惚れ。プロ・フォトグラファーの夫とNY在住。
【記載内容について】
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