アメリカ中西部でネイティブアメリカン&カウボーイの世界を体感! ~サウスダコタ&ワイオミングを訪れる旅 Part3~

公開日 : 2023年07月04日
最終更新 :

先住民文化、西部開拓時代の面影が色濃く残るサウスダコタ&ワイオミング州。今回は、そんなネイティブアメリカン&カウボーイの歴史・文化を体感できるイベントや町、滞在スタイルをご紹介します。

おすすめイベント5選

各部族の伝統的な衣装と踊りが間近で見られるパウワウ。観光客が一緒に参加できる場面も ©Travel South Dakota
各部族の伝統的な衣装と踊りが間近で見られるパウワウ。観光客が一緒に参加できる場面も ©Travel South Dakota

◆ネイティブアメリカンの最大の祭り、パウワウ
パウワウとは古くから伝わるアメリカ先住民の伝統的な祭典で、毎年各地で開催。伝統衣装に身を包んだ各部族の人々が集り、踊りや歌、ドラム演奏などを皆で分かち合います。

なかでも毎年10月にラピッドシティで開かれるブラックヒルズ・パウワウは盛大で、観光客にも人気。ローカルフードやドリンクの屋台なども登場し、3日間にわたって踊りや歌、ドラム演奏のほか、伝統アート・クラフトの展示やダンスコンテストなどのイベントが行われます。

フラットブレッドと呼ばれるパンに野菜や肉をのせたインディアンタコス ©Travel South Dakota
フラットブレッドと呼ばれるパンに野菜や肉をのせたインディアンタコス ©Travel South Dakota

ブラックヒルズに来たらぜひ食べたいのが、バッファローのステーキやハンバーガー、インディアンタコスと呼ばれるネイティブアメリカンに伝わる料理。バッファローはもともとネイティブアメリカンの貴重な食糧でしたが、牛肉に比べて低脂肪、低カロリー、低コレストロールであることから最近注目を浴びるようになりました。牛肉に比べてやや硬めであっさりとした味わいが特徴で、臭みもそれほどありません。

インディアンタコスは小麦粉ベースの生地を油で薄く揚げ、肉や野菜をのせたもの。ここにもバッファローの肉がよく使われます。

■ブラックヒルズ・パウワウ
・URL:https://www.blackhillspowwow.com/

連日、さまざまなロデオが繰り広げられる ©Wyoming Office of Tourism
連日、さまざまなロデオが繰り広げられる ©Wyoming Office of Tourism

◆世界最大級のロデオ! シャイアン・フロンティア・デイズ
シャイアン・フロンティア・デイズは毎年7~8月、ワイオミング州の州都シャイアンで開かれる初期の開拓者を称えるための一大イベント。1897年から続く歴史あるお祭りで、世界最大級の屋外ロデオが10日間にわたって繰り広げられます。

期間中は、音楽やダンスのコンサート、アート&クラフトショーなどのイベントが目白押し。開拓時代の衣装に身を包んだ人々や馬、音楽隊などが街なかをパレードし、ときには伝説の銃撃戦や西部開拓時代の物語を再現したパフォーマンスに出くわすことも。まるで西部劇映画のワンシーンに入り込んでしまったかのような気分が味わえます。

期間中、3日にわたり振る舞われ、毎日6000~7000人が無料パンケーキを楽しむ ©Wyoming Office of Tourism
期間中、3日にわたり振る舞われ、毎日6000~7000人が無料パンケーキを楽しむ ©Wyoming Office of Tourism

また、来場者に無料で振る舞われるパンケーキの朝食も見逃せません! なんと毎年、この祭りのために2.5トンものパンケーキミックスが使われるのだそう。期間中、町なかのいたるレストランやホテルなどで、開拓時代をテーマにした料理を味わうこともできます。

■シャイアン・フロンティア・デイズ
・URL:https://www.cheyenne.org/events/cheyenne-frontier-days/

全米各地から選りすぐられたカウボーイ&カウガールたちの腕も見どころのひとつ ©Travel South Dakota
全米各地から選りすぐられたカウボーイ&カウガールたちの腕も見どころのひとつ ©Travel South Dakota

◆大地を揺るがすド迫力! バッファロー・ラウンドアップ
毎年9月の最終金曜日にカスター州立公園で開催されるバッファロー・ラウンドアップは、公園内に散らばっている1400頭ものバッファローを駆り集めるイベント。頭数を調整するため増えすぎた分はオークションに出品し、残りは健康状態を確認し、ワクチンを接種したり焼き印を押したりします。

園内各地から駆り集められたバッファローたちはしだいに大群となり、カウボーイやカウガールに追われて突進。土煙と地響きをあげながら、一カ所へ向かって勢いよく走り込んでくる様子は圧巻です。

続く週末にはアートフェスティバルが開催され、地元アーティストらによる伝統工芸品やアートを扱う店が150店舗以上も出店。ローカルフードなどの屋台も軒を連ね、連日大勢の人々でにぎわいます。

■カスター州立公園バッファロー・ラウンドアップ&アートフェスティバル(ブラックヒルズ&バッドランド観光局)
・URL:https://www.blackhillsbadlands.com/special-events/custer-state-park-buffalo-roundup-arts-festival

迫力ある馬のショーやロデオが次々と繰り広げられ、会場も大盛り上がり ©Travel South Dakota
迫力ある馬のショーやロデオが次々と繰り広げられ、会場も大盛り上がり ©Travel South Dakota

◆地区最大のトレードショー、ブラックヒルズ・ストックショー&ロデオ
ラピッドシティで毎年1月下旬~2月初旬、2日間にわたって行われるブラックヒルズ・ストックショー&ロデオは、数々の馬や牛などの家畜が一堂に集まり品評・競売される地区最大のトレードショー。同時に行われる屋内ロデオは全米でもトップ5に入る規模で、ほかにもさまざまな馬や牛のショー、コンサートなどのイベントが行われます。

■ブラックヒルズ・ストックショー&ロデオ
・URL:https://www.blackhillsstockshow.com/about.aspx

迫力あるロデオが間近で見学できるデイズ・オブ・‘76 ©Travel South Dakota
迫力あるロデオが間近で見学できるデイズ・オブ・‘76 ©Travel South Dakota

◆盛大なロデオとパレードが見どころ、デイズ・オブ・‘76
デイズ・オブ・‘76は、西部時代の面影を色濃く残す町デッドウッドで毎年7月に開催されるイベント。1876年の町創設を祝い、1924年以来行われている歴史あるお祭りです。

10日間にわたり乗馬や牛追い競技、ロープワークなどさまざまなロデオが繰り広げられ、パレードには大勢の人々が参加。カウボーイやカウガール、ガンスリンガーなど、思い思いの衣装に身を包んで町を練り歩きます。

■デイズ・オブ・‘76
・URL:https://daysof76.com

西部開拓時代へタイムトリップ

カジノやバー、サルーンが軒を連ねるメインストリート ©Travel South Dakota
カジノやバー、サルーンが軒を連ねるメインストリート ©Travel South Dakota

◆西部劇の街並みが広がるデッドウッド
サウスダコタとワイオミング州をまたぐようにして広がるブラックヒルズには、西部開拓時代の面影を残す町が今もいくつか点在しています。そのうちのひとつが、ブラックヒルズへの拠点の町ラピッドシティから北西へ約70㎞に位置するデッドウッド。アメリカ最後のゴールドラッシュで多くの人々がこの地へ押し寄せ、金鉱キャンプ地としての町が誕生しました。

西部劇好きなら誰もが知っている伝説の英雄、ワイルド・ビル・ヒコックやワイアットアープ、カラミティ・ジェーンなどが活躍したのもこの時代です。

現在も営業しているサルーン No.10。実際にワイルド・ビル・ヒコックが亡くなったサルーンは近くに建物のみ存在している ©Travel South Dakota
現在も営業しているサルーン No.10。実際にワイルド・ビル・ヒコックが亡くなったサルーンは近くに建物のみ存在している ©Travel South Dakota

メインストリートにはカジノやショップ、カフェ&バーなどが軒を連ね、まるで西部劇の舞台そのもの! 伝説のバー「サルーン No.10」内には西部開拓史の博物館があり、ワイルド・ビル・ヒコックがポーカーの最中に亡くなったときの様子を再現したショーなども連日上演されています。

より開拓時代について知りたければ、ザ・デイズ・オブ・‘76・ミュージアムへ。開拓時代の人々が使っていた荷馬車や銃、道具などが展示されていて、当時の暮らしや人々の逸話を伝えています。

■デッドウッド
・URL:https://www.deadwood.com/

クルック・カウンティ・ミュージアム前にあるサンダンス・キッドの彫像 ©Wyoming Office of Tourism
クルック・カウンティ・ミュージアム前にあるサンダンス・キッドの彫像 ©Wyoming Office of Tourism

◆かの有名なアウトローで知られる、サンダンス
デッドウッドからさらに西へ約70㎞、デビルズタワー近くにあるのが人口1000人余の小さな町サンダンス。開拓時代に交易所として設立された町で、映画『明日に向かって撃て!』のモデルとなったサンダンス・キッドの愛称で知られるハリー・ロングボーが収監されていたことでも有名です。

かつて荷馬車や馬が通った道はほぼそのままの姿を残し、当時の歴史や伝説を物語っています。開拓時代の歴史や暮らしを知りたければ、クルック・カウンティ・ミュージアムへ。サンダンス・キッドがたどった道や伝説についてもじっくり学べます。

また、1875年ギャラリーでは、この地に古くから住むネイティブアメリカンのビーズ細工やアクセサリー、陶器、絵画などを販売。郊外には、かつてネイティブアメリカンがバッファローの群れを狩るために使っていたボア・バッファロー・ジャンプがあり、そこから発掘された骨や石などを通して、当時の狩りなどの様子を学ぶことができます。

■サンダンス
・URL:http://www.sundancewyoming.com

一時は閉鎖するも改築し、1880年創業当時の姿を今に伝えるオクシデンタル・ホテル ©Wyoming Office of Tourism
一時は閉鎖するも改築し、1880年創業当時の姿を今に伝えるオクシデンタル・ホテル ©Wyoming Office of Tourism

◆開拓時代、中継地点として栄えたバッファロー
デビルズタワーから西へ約200㎞、ブラックヒルズからイエローストーン国立公園へと向かう州間高速道路I-90沿いにあるバッファローもまた、ブラックヒルズへと続く中継地点として開拓時代に栄えた町。旅人たちを守るために1879年、ビッグホーン山脈の麓にマッキンニー砦が築かれたのが始まりです。

町なかには、当時からの面影を色濃く残す歴史的建造物がいくつも点在。1880年に創業し、テディ・ルーズベルトやカラミティ・ジェーン、バッファロー・ビルといった歴史的人物たちを迎え入れてきたオクシデンタル・ホテルもそのひとつです。

実は、クレイグ・ジョンソンの小説をもとにTVシリーズ化された、大ヒット作「ロングマイア」の舞台といわれているのもこの町。主人公の保安官ロングマイアが“いつもやつ”と頼んでいた卵、ハッシュブラウン、トースト、ハムといった朝食セットは今もオクシデンタル・ホテル内の「ビジー・ビー・カフェ」のメニューに載っています。

■バッファロー
・URL:https://www.buffalowyo.com/

開拓時代から続く、バッファロー・ビル・コーディも通ったシェリダン・イン ©Wyoming Office of Tourism
開拓時代から続く、バッファロー・ビル・コーディも通ったシェリダン・イン ©Wyoming Office of Tourism

◆ワイルド・ウエストといえばシェリダン
バッファローからさらに北へ60㎞ほど行ったところにあるのが、人口2万人弱の町シェリダン。西部開拓時代後期に築かれ、1892年に鉄道が開通してからは産業および商業の中心として栄えた町です。

町の中心部には、当時の様子を今に伝える歴史的建造物が点在。バッファロー・ビル・コーディが自身の体験をショー化し、米国内を巡業して人気を博した「ワイルド・ウエスト・ショー」のオーディションを行ったというシェリダン・インもそのひとつです。さらに郊外へと足を延ばせば、アメリカ西部の歴史をつくった伝説的な戦場や遺跡を見ることも。伝説のアウトロー(無法者)ゆかりの地が多く存在しています。

■シェリダン
・URL:https://www.sheridanwyoming.org

鉄道開通で栄えたコーディ。町の名前はバッファロー・ビル・コーディに由来 ©Wyoming Office of Tourism
鉄道開通で栄えたコーディ。町の名前はバッファロー・ビル・コーディに由来 ©Wyoming Office of Tourism

◆西部劇のセットのような町や村へ
サウスダコタやワイオミング州には、ほかにも西部開拓時代に築かれ、今も当時の面影を残す町や村が数多く点在。イエローストーン国立公園の東ゲートまで車で約1時間の距離にあるコーディ、ワイオミング州南東部のフォート・ララミーなど、魅力的な町は数えきれません。

まるで西部劇のワンシーンのような光景に紛れ込み、それぞれの町に伝わる英雄や伝説の人々の面影をたどって町を散策してみるとおもしろいかもしれません。ブラックヒルズやイエローストーン国立公園を訪れるのであれば、ぜひ立ち寄ってみたい場所です。

デュード・ランチに滞在してカウボーイ体験!

デュード・ランチの宿泊施設はロッジやホテルなどタイプはさまざま ©Wyoming Office of Tourism
デュード・ランチの宿泊施設はロッジやホテルなどタイプはさまざま ©Wyoming Office of Tourism

アメリカ西部を舞台に特別な体験をしたい!という人に今注目を浴びているのが、デュード・ランチでの滞在。デュード・ランチとはいわば宿泊施設のある牧場で、実際に牧場を営んでいる家族経営の小さなものからスパやプールなどを併設した豪華なものまで、さまざまな施設があります。

規模や豪華さに違いはありますが、いずれも乗馬やキャトルドライブ(牛の群れの追いたて)、家畜の世話をはじめ、釣りやカヌー、ハイキングといったアウトドアアクティビティが充実しているのが特徴。“大人のサマーキャンプ”とも称されるほどで、大自然を舞台にさまざまなことが体験できます。

乗馬に慣れたら大自然へと繰り出す!いちから教えてもらえるので初心者でも安心 ©Wyoming Office of Tourism
乗馬に慣れたら大自然へと繰り出す!いちから教えてもらえるので初心者でも安心 ©Wyoming Office of Tourism

滞在中、牛肉などの肉料理やジャガイモ、コーンブレッド、豆料理といった西部開拓時代から伝わる料理をひととおり味わえるのもデュード・ランチならではの魅力。大自然の中でのピクニックやBBQなども見逃せません。

子供向けプログラムが充実している施設や家族、外国人フレンドリーの施設など、特徴はさまざま。オールインクルーシブスタイルで財布の紐を気にせずに思う存分楽しめる宿などもあるので、ぜひ自分に合ったデュード・ランチを選んでみてください。

カウボーイハットをかぶり、ワラを積んだ荷馬車に乗ってディナー会場へ ©Travel South Dakota
カウボーイハットをかぶり、ワラを積んだ荷馬車に乗ってディナー会場へ ©Travel South Dakota

少しだけ体験してみたい!という人には、チャックワゴンディナーのツアーに参加するといいでしょう。ツアーによって内容は少しずつ異なりますが、馬や馬車で大自然の中へと分け入り、開拓時代さながらにチャックワゴンと呼ばれる炊事用の幌馬車で調理される食事を味わうというもの。伝統的なウエスタンミュージックのショーなどもあり、しばし開拓時代へとタイムトリップしたかのような気分が味わえます。

■デュード・ランチ
・URL:https://www.duderanch.com

アメリカ中西部をさらに満喫しよう!

デッドウッドのアウトロースクエア。無法者たちで栄えた町で、伝説の人物に出会えるかも! ©Travel South Dakota
デッドウッドのアウトロースクエア。無法者たちで栄えた町で、伝説の人物に出会えるかも! ©Travel South Dakota

サウスダコタ&ワイオミングを巡る旅Part1&2では、おもに見どころスポットを紹介しましたが、旅の魅力は絶景だけではありません。今のアメリカを知るうえでも欠かせない、ネイティブアメリカンが受け継いできた伝統と知恵、そして苦悩、さらには西部開拓時代のストーリーを体感してもらえれば……。きっと新たな発見と驚き、そして喜びがあるはずです。

今も誇りを持って伝統を守る人々、そしてアウトローが英雄として語られる町——。何か魅力を感じませんか?

■サウスダコタ州の観光情報
・URL:https://www.travelsouthdakota.com/
■ワイオミング州の観光情報
・URL:https://travelwyoming.com/

■写真提供:サウスダコタ州政府観光局、ワイオミング州政府観光局
※当記事は、2023年7月4日現在のものです。

TEXT:竹内あや 

■~サウスダコタ&ワイオミングへの旅 Part 1~ 神秘的な岩山×巨大彫刻×野生動物との出会い! 大草原と荒野が広がるアメリカ中西部へ はこちら
■~サウスダコタ&ワイオミングへの旅 Part 2~ 躍動感あふれる大地×静寂が広がる美しい森と湖イエローストーン&グランド・ティトンへ はこちら

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筆者

地球の歩き方観光マーケティング事業部

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