【イギリス】知的好奇心が掻き立てられる歴史ある大学の街、ケンブリッジの魅力-知る人ぞ知るスポット・上級編

公開日 : 2023年07月24日
最終更新 :
筆者 : kaede

こんにちは。季節限定のウィンブルドン選手権を挟んでしまいましたが、今回は筆者の愛するケンブリッジの魅力・第2回目ということで、ケンブリッジ在住の友人に教えてもらったちょっとマニアックなスポットをご紹介します。ケンブリッジに初めて行く方は必見ポイントをカバーした前回の初級編を参照していただければと思いますが、2回目以降、または何日か滞在する場合にはこちらの上級編を参考にしてみてください。好奇心が刺激される場所が盛りだくさんです!

ごった煮の博物館で味わう人類学のロマン

二階からの眺め
二階からの眺め

マニアックだけどおすすめしたいスポット1つめは、「Museum of Archaeology and Anthropology(考古学人類学博物館)」です。入場無料です。1884年に設立され、ケンブリッジ大学の研究者や学生たちがフィールドワークで世界中から集めてきた、もしくは卒業生から寄贈された考古学・人類学上の資料やアートのコレクションを所蔵しています。①考古学コーナー、②人類学コーナー、③フォトグラフィーコーナー、④近現代アートコーナーがありますが、必見なのが②人類学コーナーです。たとえば、コレクションの中にはかのクック船長が1770年代に太平洋航海で入手したニュージーランドのマオリ族の舟のパドルがあります。マオリ族の入れ墨に似た柄が美しい芸術的なパドルですが、ポリネシアの原住民が初めてヨーロッパ人に対面した瞬間を象徴しており文化的にも大変価値があると考えられています。オセアニア以外にも、アジア・アフリカ・中東・アメリカの世界中の原住民の(日本人も含めて!)文化的遺産が所狭しと並べられています。インターネットも飛行機もなかった時代に、研究者が世界中に冒険旅行をして、それぞれの場所にどんな人たち住んでいてどれほど多様な文化を築いていたかを記録し、母国の人々に伝えるためにこれらの標本を持ち帰ってきたというのはロマンがありますよね。結果的に、グローバリゼーションで固有の文化が消滅しつつある中で、過去数百年の貴重な人類遺産を保存している形になっています。それほど大きな博物館ではないですが、その気になれば何時間でも楽しめます。

  • インドのコーナー

    インドのコーナー

  • 北米のネイティブアメリカンのコーナー

    北米のネイティブアメリカンのコーナー

  • 日本のコーナー。中央に見えるのは北海道アイヌの伝統の着物

    日本のコーナー。中央に見えるのは北海道アイヌの伝統の着物

  • このごった煮感がたまらない

    このごった煮感がたまらない

  • ラテンアメリカのセクションも

    ラテンアメリカのセクションも

Museum of Archaeology and Anthropology

住所
Downing St., Cambridge CB2 3DZ, United Kingdom
電話番号
+44 12 2333 3516

応接間を思わせるラグジュアリーなカクテルバーでケンブリッジを感じる

ホテル正面、この中にバーが入っています
ホテル正面、この中にバーが入っています
立派な建物ですが、敷居は決して高くないです
立派な建物ですが、敷居は決して高くないです

次におすすめしたいのはカクテルバーです。こちらの「Parker's Tarvern Cocktail Bar(パーカーズ・タバーン・カクテル・バー)」はケンブリッジの繁華街であるRegent Street、また近代サッカー発祥の地として有名なParker's Pieceという公園に接しています。ホテルに併設されたバーなのですが、その重厚な見かけとは裏腹にフレンドリーな雰囲気で特にドレスコード等もありません。居心地のいいソファーと、応接間を思わせる上品な間接照明と本棚が訪れる人をリラックスさせてくれますし、音楽も騒がしくなくしっぽりと会話することができます。こちらのバーに来たら注文してほしいのが、ケンブリッジの地にちなんだ名前のカクテルです。たとえば「The Secret of Life(生命の神秘)」はラズベリー・ジンをベースにしたカクテルですが、初級編でも触れたケンブリッジの2人の研究者がDNAのらせん構造を発見したことにちなんだ名前です。また、「Blushing Byron(赤面のバイロン)」はコニャックベースのカクテルで、イギリスの超有名詩人のバイロンがケンブリッジ大学在学中、夜な夜なトリニティー・カレッジの噴水でペットのクマと共に水浴びをしていたという噂にちなんでいます。「The Beetle Collector(カブトムシ収集家)」はテキーラベースのカクテルで、「進化論」のダーウィンがクライスト・カレッジ在学中に昆虫採集に夢中になっていた(ヨーロッパでは日本と比べて昆虫採集は一般的ではなく奇異な趣味に映るようです)ことにちなんでいます。洒落のきいた名前のカクテルを楽しみながら、落ち着いた空間で久々に再開した友達と語り合うと、あっという間にケンブリッジの夜は更けていくのでした。

  • カクテル第一弾

    カクテル第一弾

  • カクテル第二弾

    カクテル第二弾

  • 応接間のようでリラックスして会話ができます

    応接間のようでリラックスして会話ができます

  • ホテル側の入口です

    ホテル側の入口です

Parker's Tarvern Cocktail Bar, Cambridge

住所
Regent St, Cambridge CB2 1AD, United Kingdom
電話番号
+44 12 2360 6266

晴れた週末にちょっとしたロング・ウォークを楽しむ

さて、続いては自然に触れあいたい時におすすめのスポット、グランチェスターです。グランチェスターはケム川沿いにあるケンブリッジの近くの小さな村で、中世の教会と「The orchard Tea Garden(オーチャード・ティー・ガーデン)」が有名です。ケンブリッジのクイーンズ・カレッジ付近から歩くと、のどかな草地を歩いて40分程度の距離です。天気のいい日に自然の中をゆっくり散歩して、グランチェスターについたらティー・ガーデンでクリーム・ティーを楽しむというのがケンブリッジに住む人の週末の過ごし方。筆者も大学院のオリエンテーション期間中に連れてきてもらい、ここで初めて本場のスコーンとクロテッド・クリームを味わったのでした。ちなみにこちらの場所は、1900年代初頭にグランチェスター・グループと呼ばれるケンブリッジの小説家・学者グループのたまり場になっていたことでも有名です。(主要メンバーは小説家のヴァージニア・ウルフ、E.Mフォースターや経済学者のケインズなど。)今回改めて訪れて素晴らしいなと思ったのが、写真にもある屋外のチェアです。角度が調節できて、その気になればほぼフラットにすることができます。日光浴をしながらお昼寝も可能です。家族や友人と何時間でも屋外でリラックスしながらティータイムを楽しむというのは、軽井沢のような涼しい気候のイギリスの夏ならではの贅沢ですね。往復歩くのはちょっと疲れる、という場合は帰りはUberでケンブリッジに戻るのもいいでしょう。

  • 店内にも席があるので雨の日も安心

    店内にも席があるので雨の日も安心

  • クリーム・ティータイム!

    クリーム・ティータイム!

  • 途中で見つけたイギリス古民家

    途中で見つけたイギリス古民家

  • とにかくのどかなGrantchester Meadows

    とにかくのどかなGrantchester Meadows

  • この辺りに来るとケム川もワイルドになる

    この辺りに来るとケム川もワイルドになる

  • オーチャード・ティー・ガーデン入口

    オーチャード・ティー・ガーデン入口

The Orchard Tea Garden

住所
47 Mill Way, Grantchester, Cambridge CB3 9ND, United Kingdom
電話番号
+44 12 2384 0230

グリルが最高のトルコ料理屋

焼き立てのキョフテのグリル
焼き立てのキョフテのグリル

筆者がケンブリッジに住んでいたのは2015-2016年にかけてでした。時の流れに加えてコロナ渦でお店の移り変わりもあろうということで、今回、ケンブリッジ在住の友人に「おすすめの場所に連れていってほしい」とお願いして連れてきてもらったのが、こちらのトルコ料理「Efes(エフェス)」です。Christ Piecesという公園の外側にあります。25年の歴史があるそうで、なぜ在学中に知らなったのか悔やまれますが、とにかくお値段がとてもリーズナブルでお料理が本格的な素晴らしいレストランです。前菜は5ポンド前後で、メインが13-16ポンド程度。ボリュームもばっちりで、ロンドンではとてもこの値段では食べられないと思います。特に、グリルが一押しです。店内に炭火グリル専用スペースがあって、専属のおじさんが慣れた手つきで丁寧にバーベキューしたお肉を出してくれます。ジューシーで本当に美味しい。筆者は友人がおすすめしてくれたトルコ風ハンバーグのキョフテ・ケバブを注文しましたが、癖になる味でした。ちなみに店名は世界遺産にもなっている小アジアの古代都市エフェスに由来しているようです。近所にあったら頻繁に通えるのに…とちょっと悔しくなるほどコスパのよいレストランでした。

  • 前菜盛り合わせ

    前菜盛り合わせ

  • お肉セクション

    お肉セクション

  • こちらのグリルで専門のグリル担当シェフがつきっきりで焼いてくれます

    こちらのグリルで専門のグリル担当シェフがつきっきりで焼いてくれます

Effes Restaurant

住所
80 King St, Cambridge CB1 1LN, United Kingdom
電話番号
+44 12 2350 0005

物言わぬ骨格標本が語りかける動物学

さて、マニアックなおすすめスポット、ラストを飾るのは「University Museum of Zoology (動物学博物館)」です。ケンブリッジ大学・動物学部の一部で、こちらも入場は無料。哺乳類、鳥類、爬虫類、昆虫、軟体動物とあらゆる動物の骨格標本や剥製が展示されています。なんとチャールズ・ダーウィンその人が発見した標本もあるのだそうです。前述の考古学人類学博物館はとてもケンブリッジらしい古い建物に入っていましたが、こちらの博物館は大変近代的な建物です。というのも、2013年から5年間、なんと430万ポンド(現在の為替レートで7.8億円)を使って大改装工事を行ったんだとか。入口を入るとまず圧倒されるのが空を舞う巨大な21メートルのナガスクジラの骨格標本です。また、1680年に絶滅してしまったモーリシャスの鳥、ドードーも必見です。ドードーは捕食者のいない環境で進化したため、ヨーロッパ人の船乗りが連れてきた猫・ネズミ・犬・ブタなどによって瞬く間に狩られ絶滅してしまいました。こちらの博物館には世界に現存する最も完全な骨格標本が展示されています。(何羽かのドードーの骨格をつなげたものだそうです)「不思議の国のアリス」に出てくることからも知名度の高いドードー、てっきりもっと最近絶滅したものだと思っていました。400年以上前に絶滅してしまったのに、今も骨格標本が残されているというのは本当にすごいですよね。知識豊富なスタッフが色々な質問にも答えてくれます。お子さんを連れてくる人が多いみたいですが、大人が行っても十分満喫できます。

  • エントランスはとても近代的

    エントランスはとても近代的

  • 超貴重な絶滅したドードーの骨格標本

    超貴重な絶滅したドードーの骨格標本

  • 剥製もたくさん

    剥製もたくさん

  • カフェの前には21メートルの巨大なクジラの標本がお出迎え

    カフェの前には21メートルの巨大なクジラの標本がお出迎え

  • お土産コーナーも

    お土産コーナーも

University Museum of Zoology

住所
Downing Pl, Cambridge CB2 3EJ, United Kingdom
電話番号
+44 12 2333 6650

いかがでしたか。メジャーどころとは一味違った、ちょっと変わったスポットをお伝えしました。ケンブリッジは今回の訪問で回り切れなかった場所もあり、またいつか第3弾をお届けすることもできるかもしれません。お楽しみに。

筆者

イギリス特派員

kaede

アフタヌーンティーやロイヤルファミリーだけではない、多様性あふれる、ダイナミックでゆるーいロンドンの姿を紹介していきます。自分の友達が遊びに来たら連れていきたい、真のおすすめスポットのみ掲載していくのでぜひご覧ください。

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