【スコットランド】人生で一度は行ってみたい。世界100選に入る有名ゴルフコース「キングスバーンズゴルフリンクス」

公開日 : 2023年07月30日
最終更新 :

キングスバーンズゴルフリンクス(Kingsbarns Golf Links)はゴルフの聖地セントアンドリュース(St Andrews)から7マイルほどのところにある、北海に面したとても美しいゴルフコースです。
どのホールからも海が見え、リンクス(海岸沿いのゴルフコース)を愛する世界中のゴルファーから「人生で一度はプレーしてみたいゴルフ場」と呼ばれる、スコットランドの中でも大変人気が高いゴルフ場です。
今回筆者はこのキングスバーンズゴルフリンクスでプレーするという貴重な機会がありましたので、この経験を読者の皆さんと共有すべく紹介していきたいと思います。

キングスバーンズゴルフリンクスの歴史

この地で最初にゴルフが行われたのは1793年のことだそうですが、この時は主に春と秋に行われるゴルフイベントの集まりとして利用されていました。元々この地は農地でしたが、その立地の良さに着目し、海岸沿いの土地をゴルフ場として本格的に使い始めたのが1850年のことです。
実際にゴルフ場ができたのは1922年。9ホールのコースとして主にホリデーで使用されました。その後第二次世界大戦でこの地は戦場となったため、現在の形でゴルフ場として再開したのは21世紀に入ってからのことです。

コースのデザイナーはアメリカ人のカイリ・フィリップ氏。スコットランドの最北端ハイランドにある名門のリンクスコースであるロイヤルドーノックのデザインを詳しく学び、半島の地形に沿って自然を生かした美しいコースが完成しました。現在の18ホールコースがオープンしたのは2000年の7月です。

キングスバーンズゴルフリンクスの特徴

北海に面した半島の地形を生かした、典型的なスコットランドのリンクスコース。他にも有名なスコットランドのファイフ地方のリンクスコースとしては、以前にも紹介したクレイルゴルフィンソサエティー(Crail Golfing society)やリーブンゴルフィンソサエティー(Leven Golfing Society)がありますが、そういった他のリンクスコースが平地であるのに比べ、キングスバーンズゴルフリンクスは土地の傾斜が多いことが一つの特徴です。
この傾斜によりそれぞれのホールはより面白く(難しく)なり、ホールから見える景色もより壮大になっています。

もう一つの大きな特徴としては、このコースがパブリックコースと呼ばれる会員制ではないゴルフコースだということです。通常のゴルフクラブは会員制で、会員のためにゴルフ場を運営していますが、ここには会員はいません。
4月から9月末までのオープン期間中は誰もがプレーすることができるコースなんです。
ということで、ここには世界中からゴルファーたちがやってきます。夏限定でのオープンということで特別感も高く、セントアンドリュースやクレイルなどの他の有名ゴルフコースと近いこともあって、とにかく大人気。ピーク時は朝6時ごろから夜9時過ぎまで、一日に250組にも上るゴルファーたちが世界中から訪れます。

そしてもう一つ。毎年10月に行われる「ダンヒルリンクス選手権(Dunhil Links Championship)」という、スコットランドの有名リンクス3コースを使用して行われるゴルフの大会にセントアンドリュースのオールドコース(St Andrews Old Course)、カーヌスティーゴルフリンクス(Carnoustie Golf Links)と共に会場として使用されています。
このダンヒルチャンピオンシップは大変興味深いゴルフイベントで、プロアマというプロゴルファーとアマチュアゴルファーがペアとなって参加するチーム戦とプロゴルファーの個人戦が同時進行します。アマチュアゴルファーとして世界的映画俳優や有名スポーツ選手が登場することが多く、観戦していても大変面白いイベントです。

実際にゴルフをしてみての感想

セントアンドリュースの町を抜け、海沿いの一本道を10分ほど車で行くと、キングスバーンズの村に入ります。ここはパブが一軒あるのみの小さな村ですが、建物が古く味わい深い趣があります。以前紹介したキングスバーンズビーチへ続く道もこの村にあります。
この村を抜けてすぐ左側にキングスバーンズゴルフリンクスの入り口がありました。入り口は色とりどりの花で飾られ、世界中から訪れるゴルファーたちを出迎えてくれます。

色とりどりの花で飾られたエントランス
色とりどりの花で飾られたエントランス

クラブハウスまでは一本道。突き当りがクラブハウスです。建物は石造りの洋館でかわいらしく、建物のすぐ後ろには海の絶景が広がっています。
クラブハウスに到着するとスタッフの方がゴルフバッグを運んでくれてチェックインをします。その後車を駐車場に止めに行きます。
駐車場の隣は練習場です。芝から打てる広い練習場ではドライバーの使用も可能です。
打ちっぱなしベイの隣にはショートの練習場、そして練習用のバンカーもあり、プレー前のウォームアップとしては十分な設備が整っています。

芝から打てる広い練習場。練習用のバンカーとショートゲーム用のグリーンもあります。
芝から打てる広い練習場。練習用のバンカーとショートゲーム用のグリーンもあります。

クラブハウスの隣にスターターハットと呼ばれるとんがり屋根の小さな建物があり、その隣にパッティングの練習用グリーンがあります。芝のコンディションとしてはとても良く、とにかく速いです。

時間になるとスターターハットからスタッフが出てきて、名前入りのバッグタグ、小物(ティー、スコアカード、ボールマーカーなど)が入ったキングスバーンズゴルフリンクスのロゴ入りポーチ、コースブックとスナック(ジェリービーンズ)を渡してくれ、コースの説明をしてくれました。

ティーは黒、白、緑、青、赤があり、黒が7226ヤード、白が6853ヤード、緑が6408ヤード、青が6057ヤード、そして赤が5231ヤードのパー72です。基本黒はスクラッチかプロのみが使用できます。
ファーストホールからは海に向かって打っていく感覚です。左はラフ、右は他のホールで、あちこちに深いポットバンカーがあります。いよいよスタート。いつも第一打は緊張しますね。

クラブハウスとスターターハット
クラブハウスとスターターハット

どのホールも大変美しいです。景色も圧巻。フェアウェイはふかふかで水はけも良く、歩いていても足心地がいいです。普通のゴルフコースでは別のホールがすぐ隣りにあり、他のゴルファーたちを見ながら(当てないように気をつけながら)プレーするのが当たり前なんですが、ここではコースデザインの関係で各々のホールが独立している感覚で、自分たちのみがゴルフをしているという特別感を感じます。
何度も書いて恐縮ですが、どのホールも美しく、「あれ?ここはちょっとなぁ。」という少し残念な感覚になるホールは一つもありません。それは大変珍しいことです。
その中で最も目を引く「シグニチャーホール」と呼ばれるのは15番ホールのパー3でしょうか。突き出た崖の先にグリーンがあり、海と砂浜を越えてグリーンに落とさないといけません。

典型的なリンクスコース。どのホールからも海が見えます。
典型的なリンクスコース。どのホールからも海が見えます。
崖越えのパー3。15番ホール。アベレージゴルファーが使用するブルーティーからグリーンまでの距離は約150ヤード。
崖越えのパー3。15番ホール。アベレージゴルファーが使用するブルーティーからグリーンまでの距離は約150ヤード。

それから最終ホールの18番ホール。ここは左に曲がりながら地形が上がって下がり、下がりきった先には小さな川があり、川向こうの丘の上にグリーンがあります。距離としては300ヤード強でそれほど長くはないのですが、ティーからは川もグリーンも見えず、想像力を発揮してプレーしなければなりません。筆者は見事にグリーン手前の小さな川にポチャしてしまいました。

ホールアウトしたのは夜8時過ぎ。スタートが午後3時半だったので4時間半かかりました。凹凸が多く距離も長いコースで身体はさすがに疲れましたが、心は大満足でした。
ちなみにこのコースではバギーの使用には医師の許可証が必要です。そしてバギーの運転はキャディーのみが可能なので、バギーを使用する場合はキャディーが必須ということになります。

18番ホールでフィニッシュ。クラブハウスが出迎えてくれます。
18番ホールでフィニッシュ。クラブハウスが出迎えてくれます。

クラブハウス・レストランとバー

クラブハウスは石造りの洋館。レストランの窓は海側に面していて、崖の上に立つクラブハウスからは絶景を見ながら食事することができます。
レストラン自体はそれほど広くはありませんが、布張りの椅子やソファーで居心地のいい空間になっています。
食事は美味しく、スタッフは親切です。メニューとしてはスナックや通常のパブメニュー(フィッシュアンドチップスやパイなど。)の他にサンドイッチやパニーニ、サラダやスープなどがあります。バーはビール、ジン、ウイスキーにソフトドリンクと充実していました。

クラブハウス内にはゴルフウェアやタオル、ティーマーカーなど、クラブロゴが入った商品が充実しているプロショップ、そして男性用・女性用のロッカールームがあります。

クラブハウスの外観
クラブハウスの外観
レストランからはコースと海が見えます。
レストランからはコースと海が見えます。
これはパブメニューの一つ。ローディドチップスといい、ポテトチップスの上にスパイシーな挽肉のミートソースとサワークリーム、チーズがトッピングされています。ボリューム満点。
これはパブメニューの一つ。ローディドチップスといい、ポテトチップスの上にスパイシーな挽肉のミートソースとサワークリーム、チーズがトッピングされています。ボリューム満点。
地ビールのベルヘーブンブラック生。黒ビールといえばギネスが世界的に有名ですが、筆者はこのベルヘーブンブラックの方があっさりしていて好みです。このバーには生のサーバーがあります。
地ビールのベルヘーブンブラック生。黒ビールといえばギネスが世界的に有名ですが、筆者はこのベルヘーブンブラックの方があっさりしていて好みです。このバーには生のサーバーがあります。

今回はスコットランドで大人気のパブリックゴルフコース「キングスバーンゴルフリンクス」を紹介しました。
コース自体がコンディションや景観も最高なのに加え、スタッフのサービスも良く、皆が親切で笑顔で声をかけてくれて、この一日が特別なものに感じました。
スコットランドの典型的なリンクスコースを体験してみたい方、手厚いサービスで気持ちのいい一日を過ごしてみたい方はぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。

  • 名称| キングスバーンズゴルフリンクス(Kingsbarns Golf Links)
  • 住所| Back Stile, Kingsbarns, St Andrews, KY16 8QD
  • 電話番号| +44 01334 460860
  • 営業時間| 日の出から日の入りまで(朝6時ごろから夜9時ごろまで。)毎日。
  •       営業は4月から9月末までですが、天候によって毎年変わります。事前に確認することをお勧めします。
  • 料金| 374ポンド。1週間内に再びプレーしたい場合は2回目は225ポンド。 
  •     キャディーを利用する場合は事前に予約が必要です。費用は85ポンド+チップ     
  • ウェブサイト| www.kingsbarns.com

筆者

イギリス特派員

ベイトマン明子

2023年に引っ越してきたばかりのスコットランドのあちこちを訪れ、皆様に報告できることを楽しみにしています。

【記載内容について】

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