フィレンツェの象徴、ドゥオーモ(大聖堂)と近隣の複合モニュメントへの入場方法

公開日 : 2023年09月13日
最終更新 :
筆者 : 白崎和恵

フィレンツェの街のどこにいても見える赤い丸屋根(クーポラ)がシンボルのドゥオーモ、「サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂」。1296年にアルノルフォ・ディ・カンビオによる設計で建築が始まったこの建物は、14世紀半ばのフランチェスコ・タレンティによる拡張設計をはじめ、ゴシック建築、ルネサンス建築、ネオゴシック建築とさまざまな時代の建築美術スタイルが融合しています。

そんなフィレンツェの象徴であるドゥオーモですが、定期的に入場方法が変更となります。こちらの記事では、最新のドゥオーモと近隣の複合モニュメントへの入場方法を紹介します。ぜひ、観光時の参考にしてみてください。

ドゥオーモとモニュメント入場の基本情報

ドゥオーモは、正面右の入口から入る際に入場料はかかりません。しかし、セキュリティチェックがあるため入場制限を行っていて、大聖堂の外には長い列ができることもあります。観光のハイシーズンには平均1時間程度並ぶことも。

ドゥオーモの複合モニュメントは有料で、予約が必要です。複合モニュメントは全部で以下の5つで、いずれもドゥオーモの近くにあります。

  1. ブルネレスキのクーポラ(丸屋根の頂上展望台)
  2. ジョットの鐘楼
  3. サン・ジョヴァンニ洗礼堂
  4. ドゥオーモ付属美術館
  5. ドゥオーモ内サンタ・レパラータ地下聖堂

それでは、それぞれの入場方法を詳しく確認していきましょう。

1. ブルネレスキのクーポラ(Cupola di Brunelleschi)

赤い丸屋根のクーポラ、右手出口側からの写真
赤い丸屋根のクーポラ、右手出口側からの写真

14世紀まで屋根のなかった後陣部分は、1420年から1436年にかけてルネサンス期の建築家フィリッポ・ブルネレスキ(ブルネッレスキ)により完成しました。そのクーポラ内部を通り、頂上の展望台まで登ることができます。

途中、クーポラ内部のジョルジョ・ヴァザーリとフェデリコ・ズッカリによる16世紀の壁画『最後の審判』を近くで見ることができ、また大聖堂内を上から下に眺めることができます。

入場に際しての諸注意

  • 大聖堂北側のマンドルラの入口(Porta della Mandorla) から入場します。
  • クーポラ頂上へは463段の階段のみのアクセスで、エレベーターはありません。
  • クーポラへの登頂は、心臓または血管系、呼吸器系の病気のある方、回転性めまい、閉所恐怖症の方や妊娠中の方にはおすすめできませんので、お控えください。
  • 18歳未満の未成年者は、必ず保護者や大人の同伴が必要です。
  • 入場から展望台滞在、退出までの時間は約45分〜60分が目安です。
  • クーポラとジョットの鐘楼への入場は、それぞれの入場口に並ぶ前に荷物預け所(ドゥオーモ広場38/r番地)に大きさが35cm x 30cm x 15cmを超えるスーツケースやリュック、バッグなどを預けることが義務付けられています。(規制詳細は以下リンクの公式サイトで確認してください。)
  • 規則で禁じられている物を持っての入場はできません。

2. ジョットの鐘楼(Campanile di Giotto)

西洋絵画の父と呼ばれるジョットによる設計で、1334年に建設が始められました。ジョットの死後、アンドレア・ピサーノとフランチェスコ・タレンティに引き継がれ、1359年に完成しました。幅奥行きともに15mで高さは約84.7mです。
ゴシック期のレリーフとルネサンス期の彫刻像(共に複製。本物は大聖堂付属博物館に展示)で装飾されています。

入場に際しての諸注意

  • ジョットの鐘楼の入口から入場します。
  • 頂上へは414段の階段のみのアクセスで、エレベーターはありません。 最終入場は19:00です。
  • 心臓または血管系、呼吸器系の病気のある方、回転性めまい、閉所恐怖症の方や妊娠中の方の入場はお控えください。
  • チケット「ジョットパス」購入者は、ジョットの鐘楼登頂の時間指定の予約が必要となります。
  • ジョットの鐘楼への入場は、それぞれの入場口に並ぶ前に荷物預け所(ドゥオーモ広場38/r番地)に大きさが35cm x 30cm x 15cmを超えるスーツケースやリュック、バッグなどを預けることが義務付けられています。
  • 規則で禁じられている物を持っての入場は禁じられています。

3. サン・ジョヴァンニ洗礼堂(Battistero di San Giovanni)

11世紀に建築が始まったロマネスク美術建築の洗礼堂です。上から見ると8角形の洗礼堂の北、東、南に3つある扉のうち、彫刻家ロレンツォ・ギベルティ作、北と東のブロンズ製の扉(複製であり本物は大聖堂付属博物館に展示)は、ルネサンス期の傑作のひとつ。なかでも黄金に輝く『天国の門』は有名です。

入場に際しての諸注意

  • 北門 (Porta Nord、マルテッリ通り側)から入場します。
  • 見学所要時間は約30分が目安です。
  • 宗教施設への入場のため、適切な服装であることが問われます。脚(太腿)や肩を露出したり、サンダル、帽子やサングラス着用での入場は認められません。
  • 毎月第1日曜日は、洗礼堂は14時に閉館します。
  • 洗礼堂は2023年9月現在、天井モザイク画の修復中(長期、完了未定)であり、幕で覆われていることをご了承ください。

4. 大聖堂付属美術館(Museo dell'Opera del Duomo)

16世紀まであった正面装飾の彫刻や、洗礼堂の扉、ジョットの鐘楼の彫刻像やレリーフパネル、ミケランジェロの「バンディーニのピエタ」像をはじめ、ルネサンス期の彫刻家ドナテッロなどの数々の傑作が並んでいます。

入場に際しての諸注意

  • 入口はドゥオーモ広場9番地で、大聖堂の裏手にあります。
  • 3階建てで展示が23部屋あり、見学所要時間は60分が目安です。
  • 毎月第1火曜日は休館。

5. サンタ・レパラータ地下礼拝堂(Santa Reparata)

ローマ時代と初期キリスト教時代の遺跡が残るサンタ・レパラータ地下礼拝堂(地下教会遺)。現在の大聖堂ができる前にあったサンタ・レパラータ教会の地下礼拝堂遺跡。大聖堂内部の地下へ下りる階段から入ります。

入場に際しての諸注意

  • ギベルティパスで入る人は、予約された時間に入場口に並びます。
  • 大聖堂のカンパニーレ(鐘楼)門Porta del Campanile (大聖堂南側) から内部に入ります。
  • 見学所要時間は20分が目安です。

入場チケットの種類と購入の仕方

ドゥオーモと複合モニュメントへの入場には以下の3種類のチケットがあります。

それぞれのパスによって、上記のモニュメントに入場できる範囲が決まっています。有効期限は3日間です。3種類すべてコンビネーションチケットとなり、クーポラだけ、ジョットの鐘楼だけ、洗礼堂だけといった単一モニュメントへの入場チケットはありません。

クーポラ、ジョットの鐘楼、サンタ・レパラータへの入場には時間予約が必要になります。これらのパスは、現地で係員のいるチケット売り場(2ヵ所:ドゥオーモ広場14/A 番地とサン・ジョヴァンニ広場7番地)、もしくはオンラインで予約できます。

それぞれのパスの詳細

※2023年9月現在、1ユーロは約158円です。

ブルネレスキパス(Brunelleschi Pass)

クーポラ、ジョットの鐘楼、洗礼堂、大聖堂博物館、サンタ・レパラータ地下聖堂の5ヵ所に入場ができるチケットです。

料金
大人:30ユーロ、7〜14才:12ユーロ、6才まで:無料(0ユーロチケットを選んで人数の申告が必要)
その他注意事項
・購入にはクーポラ登頂の時間指定の予約が必要となり、クーポラ以外のモニュメントへの入場は、クーポラ入場後の3日間有効です。
・チケット購入の際に予約したクーポラの入場時間がほかのモニュメントより先、一番最初でないといけません(クーポラの入場前にほかのモニュメントには入れません)。
・予約時間に正確に、遅れないようにしてください。予約時間の5分前から5分後の到着しか認められません。

ジョットパス(Giotto Pass)

ジョットの鐘楼、洗礼堂、大聖堂博物館、サンタ・レパラータ地下聖堂の4ヵ所に入場ができるチケットです。

料金
大人:20ユーロ、7〜14才:7ユーロ、6才まで:無料(0ユーロチケットを選んで人数の申告が必要)
その他注意事項
購入には鐘楼登頂の時間指定の予約が必要で、日付と予約時間を選びます。その日付から3日間有効となります。

ギベルティパス(Ghiberti Pass)

洗礼堂、大聖堂博物館、サンタ・レパラータ地下聖堂の3ヵ所に入場ができるチケットです。

料金
大人:15ユーロ、7〜14才:5ユーロ、6才までは無料(0ユーロチケットを選んで人数の申告が必要)
その他注意事項
購入にはサンタ・レパラータ地下礼拝堂に入場する予約が必要となり、日付と予約時間を選びます。その日付から3日間有効となります。

チケット購入の仕方

チケットは以下の公式サイトから購入できます。

メール登録および購入決済後、メールで電子チケットが送られてきます。バーコードがついていますので、各モニュメント(クーポラ、ジョットの鐘楼、洗礼堂、大聖堂博物館)の入口ゲートでバーコードをかざして入場します。

購入方法については、以下ドゥオーモのページで詳しく紹介していますので、参考にしてみてください。

それぞれのモニュメントへの入場口

大聖堂(ドゥオーモ)広場と地図
大聖堂(ドゥオーモ)広場と地図

各モニュメントですが、それぞれ入場する場所が異なっているので、注意が必要です(上記図をご参照ください)。

大聖堂内部へは無料の正面入口から入場するほか、それぞれのチケットでサンタ・レパラータ地下礼拝堂(要予約)へ向かう扉からも入場することができます。

まとめ

自分が訪れたいモニュメントをまず確認し、訪問・鑑賞目的に合ったチケットを選んでみてください。チケットは3日間有効なので、そのときの体調やコンディションを考えて、ぜひ無理のない予定を立ててくださいね。

監修:地球の歩き方

筆者

イタリア特派員

白崎和恵

名古屋出身。フィレンツェ公認観光ガイド。芸術・歴史文化・グルメ情報、旅行や長期滞在のヒントになるような話題をお届けしていきます。

【記載内容について】

「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。

掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。

本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。

※情報修正・更新依頼はこちら

【リンク先の情報について】

「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。

リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。

ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。

弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。