中世の風景とベルギー鉄道の歴史体験を楽しむ ブリュッセルから日帰りで行けるベルギー鉄道の旅
鉄道旅行初心者向けのベルギー。
初めてヨーロッパを鉄道で巡る旅を計画するのなら、オランダ、ベルギー、ルクセンブルクのベネルクス3国が候補のひとつとして挙げらます。
理由としては
1.主要都市間は、30分~1時間に1本程度の列車が運行している。
2.全席指定制の列車がほとんどない。
3.鉄道パスや乗車券のみで利用できる列車がほとんど
また鉄道旅行をする方が不安に思うこととして、荷物を自分自身で持ち運びをしなければならないことがあります。ベルギーであれば、首都から国内の各地方都市までの所要時間が最大でも3時間です。そのためブリュッセルなどに滞在しながら、日帰りで各都市を巡ることができます。
今回はブリュッセルを拠点としたベルギー鉄道の旅を紹介します。
●取材:鹿野博規(地球の歩き方 編集室)
●取材協力:ユーレイルG.I.E ベルギー・フランダース政府観光局
記事中のアクセス方法に記載の【Table.000】は、「ヨーロッパ鉄道時刻表・日本語解説版」(定価2.300円+税)に記載の時刻表番号となります。時刻表を使ってプランニングする際の参考として、ご利用ください。
ネーデルラントの古都メッヘレンMechelenへの旅
ベルギーの首都ブリュッセルと市としてはベルギー最大人口となるアントワープAntwerpenの中間に位置するメッヘレンMechelenは、12~13世紀には、繊維産業の中心地として繁栄をしていました。ネーデルラント17州時代では首都として機能をしており、15世紀初頭にネーデルラント総督マルグリット・ドートリッシュ(1480年~1530年)が居を構え、総督として統治していた時代は、メッヘレンはヨーロッパの政治、文化、芸術の中心地として栄えました。また1835年にヨーロッパ大陸側で初めて鉄道による旅客輸送がされた区間が、ブリュッセル~メッヘレン間です。ブリュッセルからメッヘレンへの鉄道移動は、ヨーロッパ大陸で初めて旅客鉄道が走ったルートとなります。町の中には300以上の歴史的構造物があります。そのなかで、聖ロンバウツ大聖堂と現在市庁舎となっている旧繊維協会の鐘楼は「ベルギーとフランスの鐘楼群(1999年/2005年)」として、ベギン会院は「フランドル地方のベギン会群(1998年)」として世界遺産に登録されています。また旧市街にはその歴史を14世紀にまでさかのぼることができるビール醸造所「ヘット・アンケル醸造所」があります。ここで造られるビールの代表的なブランドは「グーデン・カルロスGouden Carolus」です。
・ブリュッセルからメッヘレンのアクセス
ブリュッセルの各駅(南駅Midi/Zuid、中央駅Central、北駅Nord)からアントワープAntwerpenもしくはエッセンEssen行きのインターシティ(IC)で25分~30分。近郊列車Sバーン1号線のアントワープ行きで35~40分。平日であればICとS含めて1時間に4~6本程度運行しています。【Table.420】
メッヘレン駅から市庁舎などがある町の中心グロート・マルクトGrote Marktまでは、駅を背にロータリーから右斜めに延びる大通りHendrik Consciencestraatを進もう。道なりに進んでグラーフ・ファン・エグモンド通りGraaf van Egmontstraat、運河を渡りブルール通りBruulを抜けると町の中心であるグロート・マルクトGrote Marktに着きます。駅からは徒歩で15~20分程度。バスで向かう場合は、駅前のバスターミナルより1番のバスを使って、Mechelen Schoenmarktで下車すれば、グロート・マルクトに近いです。バスの所要時間は6~10分程度です。
ベルギービールの歴史を伝える「ヘット・アンケル醸造所」
メッヘレンに来たならば、「ヘット・アンケル醸造所」は訪問したいところです。この場所では14世紀からビールを作っていたという記録があり、代表的なビールは「グーデン・カルロスGouden Carolus」。ビール醸造所の他に、ホテルやブラスリーが併設されており、「グーデン・カルロス」と一緒にベルギー料理が堪能できます。事前予約は必要ですが、ビール醸造所見学も可能です。
■ ヘット・アンケル醸造所 Brouwerij Het Anker
・住所: Guido Gezellelaan 49, 2800 Mechelen, Belgium
・URL: http://www.hetanker.be
ブリュッセルの鉄道博物館トレイン・ワールドTrain World
ベルギーは、ヨーロッパ大陸側で最初に鉄道が運行された国です。首都ブリュッセル近郊にベルギー鉄道を紹介するミュージアム「トレイン・ワールド」があります。博物館は、19世紀末に建造されたネオ・ルネッサンス様式の駅舎を持つスカールベークSchaerbeek駅の一部を利用しています。博物館入口付近は、1913年当時の駅舎のコンコースや券売ホールが残され、往時の雰囲気を体感できます。駅舎のほかに、8,000平方メートルの新館内には、ベルギー最古の機関車である1842年製の「Pays de Waes」や1939年当時に世界最高速度を誇ったベルギー製の蒸気機関車「TYPE12」、ベルギー王族専用の車両、1960~1980年代にかけて国際列車として活躍したTEEなどが展示されています。
■ 鉄道博物館トレイン・ワールド
・営業時間: 火~日曜 10時〜17時
・定休日: 月曜、1月1日、12月25日
・URL: http://www.trainworld.be/en
・アクセス方法:
ブリュッセル中央駅より近郊列車S1、S2、S6で10~15分。
スカールベークSchaerbeek駅で下車。ブリュッセル北駅の次の駅です。ICなどの長距離列車は停車しないので、利用する列車は近郊列車Sを利用しよう。
鉄道ホテル トレイン・ホステルTrain Hostel
トレイン・ワールドがあるスカールベークSchaerbeek駅近くには往時の鉄道車両に宿泊できる鉄道ホステル「トレイン・ホステルTrain Hostel」があります。個室タイプからドミトリータイプまで各タイプがあり、通常の建物での宿泊と往時に使用していた寝台車両を使った宿泊が選べます。スィートルーム(Train Suite)は建物屋上に設置された客車1両分とテラスを独占できます。ひと味違うブリュッセル滞在をしたい方にはおすすめのホテルです。
■ トレイン・ホステルTrain Hostel
・住所: Avenue Georges Rodenbach 6,1030 Brussels,
・URL: http://trainhostel.be/
ベルギー鉄道の旅
ベルギーは約3600kmの鉄道網が広がっています。ベルギー国内の主要鉄道会社はベルギー国鉄Nationale Maatschappij der Belgische Spoorwegen(オランダ語:NMBS)/Société Nationale des Chemins de fer Belges(フランス語:SNCB)です。SNCBの列車は主要都市間で運行しており、中長距離路線では30分~1時間に1本程度の頻度で運行しているので、使い勝手は良いです。種別としましては、以下のとおりです。
国際高速列車を除き、座席予約が必要な列車がほとんどないので、ユーレイルベネルクスパスなどの鉄道パスであれば、好きな時に好きな列車を利用することができます。
・インターシティ Intercity (IC)
日本でいえば特急列車に該当します。主要都市間を結ぶ長距離列車。1等と2等の2クラス編成。食堂車は編成されていません。他のヨーロッパの国とは異なり、座席指定ができないので、空いている席を自由に使うことができます。リェージュおよびブリュッセルとルクセンブルク間を結ぶ国際列車もこのカテゴリーとなります。
・ローカレ L
日本でいえば普通列車に該当します。SNCBで使われているカテゴリーでインターシティに比べ、地方都市間での運行が多い列車です。1等と2等の2クラス編成です。
・エス S Train
ブリュッセルなど大都市圏内で運行している近郊列車。
■ ベルギー国鉄
・URL: https://www.belgiantrain.be/en
鹿野 博規(地球の歩き方 編集部)
筆者
地球の歩き方書籍編集部
1979年創刊の国内外ガイドブック『地球の歩き方』の書籍編集チームです。ガイドブック制作の過程で得た旅の最新情報・お役立ち情報をお届けします。
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