一度は見ておきたい大邸宅 ヴィラ・ケリロス邸(フランス・ボーリュー=シュル=メール)
ボーリュー=シュル=メール(Beaulieu-sur-Mer)は、フランスでもっとも不動産価格が高いといわれている別荘地のひとつです。フランス南東部のコート=ダジュール地域圏に属し、多くのフランス人の憧れの地でもあります。今回は、『一度は見ておきたい大邸宅』と題し、ヴィラ・ケリロス(Villa Kérylos)邸を紹介します。ひと部屋覗く度に大きなため息が漏れる、豪華絢爛、荘厳美麗な豪邸巡りの旅にお連れします。
大邸宅ヴィラ・ケリロス邸とは!?
ヴィラ・ケリロス(Villa Kérylos)邸は、1902年から1908年にかけて、テオドール・レナック(Théodore Reinach)が建てたギリシャ様式の邸宅です。豪華な邸宅というと煌びやかな黄金で装飾されたゴージャスさをイメージするかもしれませんが、ヴィラ・ケリロス邸の豪華さは、それらの大邸宅とはひと味違います。
こちらの大邸宅は、ケバケバしく光り輝くゴージャスさではなく、イタリア・カッラーラ産の大理石をふんだんに使用した落ち着いた造りになっています。色調は抑え気味、木製の天井や家具がひときわシックで、設計者のセンスのよさが伝わってきます。
社交場だった! 大理石の温泉バスルーム
ギリシャ神話に出てくる水の精ナイアード(Naiad)に捧げられた、大きな大理石の浴槽がある温泉バスルーム。当時は、このような温泉浴場が、交流の場として使われていたようです。日本では裸の付き合いといいますが、ヨーロッパの上流階級でも、ぜいたくな浴場でのひとときは、重要な社交場としての役割もあったようです。
浴槽の中は、びっしりとモザイクで飾られています。細かいピースで表面も滑らかにできています。非常に繊細な造りです。訪れた客はこのモザイクを眺めながら、体を癒し、ゆったりと旅の話でもしていたのでしょうか。
食後はその場で革のベッドに横になる?!
ダイニングルームを望むと、ギリシャ神話に出てくるワインの神の従者サテュロス(satyrs)が描かれているフレスコ画が見えます。食堂にぴったりなモチーフかもしれません。こちらでたくさんワインを楽しんだのでしょうか。
このダイニングルームで注目したいのは、テーブルの脇に置かれた長椅子のような革のベッドです。食事を楽しんだ後、すぐにゴロンと横になれるように、そばに置かれているそうです。革の肌ざわりが上質で、食後に横になるとあっという間に熟睡してしまいそうです。また、ダイニングルームの家具は、木の温もりが感じられる素敵なものばかりです。
庭の向こうにはコバルトブルーの海が広がる
コート=ダジュール地域圏の海に突き出すように建てられたヴィラ・ケリロス邸。庭の向こう側、そこにはコバルトブルーの海が広がります。視界を妨げるものは何もなく、まるでこの海を独り占めしているかのような珠玉の眺めです。
実は、ヴィラ・ケリロス邸の外見は、意外とシンプルです。きっと南フランスの陽射しの強さと海風を考慮した実用的な設計がなされているのでしょう。南フランスの伝統的な家は窓が小さく、家の面積に対して窓の数が少ないのが特徴です。
南フランスでは、日中は強い陽射しと暑さを避けるために、真夏になると窓と雨戸を閉めて過ごします。壁が厚く、湿気が少ないので、エアコンがなくても、太陽を遮っただけで家の中は涼しく感じます。ギリシャ様式のヴィラ・ケリロス邸ですが、同じような造りになっているのか、気温が高い日でも邸内は涼しく感じます。
自分の好きな物だけに囲まれて暮らす
これらの写真を見てわかるように、ヴィラ・ケリロス邸では、シンプルですが趣のあるランプが印象的です。決して華美なデザインではないのですが、柔らかな灯りが心地よく、このあたりに趣味のよさが見え隠れします。
ヴィラ・ケリロス邸は、一見してわかるゴージャスさを追求するのではなく、上質な素材で、自分の好きな空間を創りあげ、美しくかつ快適に暮らす邸宅という表現がしっくりきます。ヨーロッパにおける真にノーブル(気品のある、高貴な)な生活が凝縮されているような気がします。
いかがでしたか。『一度は見ておきたい大邸宅』と題し、ヴィラ・ケリロス(Villa Kérylos)邸を紹介しました。今度のフランス旅行の際には、大邸宅を観に、ボーリュー=シュル=メールまで足を運んでみてはいかがでしょうか。
筆者
フランス特派員
ティエリー
南フランス / コートダジュールでフランス人の夫&猫と暮らしています。現地から素敵な写真、おいしい写真もお届けしています。
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