映画で旅するイギリス[入門編]

公開日 : 2020年08月30日
最終更新 :
一番人気は「ハリー・ポッター」、新作ドラマ「ダーク・ マテリアルズ」にも注目!
一番人気は「ハリー・ポッター」、新作ドラマ「ダーク・ マテリアルズ」にも注目!

お気に入りの映画やドラマの舞台だったら、何気ないカフェや街角がその人にとっての特別な場所❝聖地❞に変わります。いつもの観光に、ロケ地を組み込むことで、旅に変化が生まれ、より思い出深いものとなります。今回はロンドンの街を中心に、英国のファンタジー作品のロケ地を紹介いたします。

ハリー・ポッター:歴史ある街並みが世界観を裏付ける

ハリー・ポッター:歴史ある街並みが世界観を裏付ける

◎ダイアゴン横丁/レドンホール・マーケット(ロンドン)

ダイアゴン横丁への入口が撮影されたレドンホール・マーケット @istock
ダイアゴン横丁への入口が撮影されたレドンホール・マーケット @istock

ロンドンの金融街の一角にあるレドンホール・マーケットは、『ハリー・ポッターと賢者の石』で、ハリー・ポッターとハグリットが魔法の杖を買うために訪れたダイアゴン横丁のロケ地です。ダイアゴン横丁への入口となるパブ「漏れ鍋」は、青い扉の眼鏡屋で撮影されています。
グリーン、クリーム、えび茶色に彩色された華やかで美しいビクトリア朝のパッサージュ(屋根付きマーケット)のデザインは、タワーブリッジを設計した建築家ホレス・ジョーンズ(1819-1887)によるものです。
レドンホール・マーケットをロケ地とした作品はハリー・ポッター以外に『Dr.パルナサスの鏡』『トゥームレイダー』などがあります。

■ Leadenhall Market
・住所: Gracechurch St,London EC3V 1LT
・URL: https://www.leadenhallmarket.co.uk/

キングス・クロス駅とセント・パンクラス駅(ロンドン)

キングス・クロス駅と西隣りに建つセント・パンクラス駅の時計塔 ©iStock
キングス・クロス駅と西隣りに建つセント・パンクラス駅の時計塔 ©iStock

キングス・クロス駅は、魔法魔術学校のあるホグワーツ行きの列車が発着する、あの「9と4分の3番線」(後述)がある駅です。そして『ハリー・ポッターと秘密の部屋』で、列車に乗り遅れたハリーとロンが空飛ぶ車フォードアングリアで魔法魔術学校に向かう際、赤レンガの尖塔の周辺を飛行するシーンがあります。そのシーンは、西隣にあるセント・パンクラス駅の時計塔が使用されています。
キングス・クロス駅は、主にイングランド北東部、スコットランド東海岸方面行き、セント・パンクラス駅はイングランド中部方面行き(ユーロスターも発着)のターミナルです。ルネサンス時代のイタリア建築を彷彿とさせる均整の取れたキングス・クロス駅と美しいネオ・ゴシック様式の巨大なセント・パンクラス駅は、ハリー・ポッター・シリーズの世界感にとても似合っています。

◎キングス・クロス駅9と4分の3番線(Platform 9 3/4)

お気に入りの寮のマフラーと杖をスタッフから借りて、いざ撮影!©iStock
お気に入りの寮のマフラーと杖をスタッフから借りて、いざ撮影!©iStock

ホグワーツ魔法魔術学校へ向かうには、キングス・クロス駅の9と4分の3番線から、ホグワーツ・エキスプレスに乗車します。この列車が出発するプラットホームは、マグルにはわからないように、9番線と10番線の間の堅固な壁の後ろに隠されています。実際の9番線と10番線の間には、壁が存在していなかったので撮影は、4番線と5番線の間の壁が使用されました。

壁にめり込んだカートは、9~11番線の改札手前の右側の壁にあり、人気の撮影スポットになっています。自分のカメラでの撮影することも、(カートの場所に隣接した)ハリーポッター・ショップのスタッフが撮影した写真をショップで買うこともできます。

◎ハリーポッター・ショップ・アット・プラットフォーム9 3/4

ハリー・ポッターやファンタスティック・ビーストなど「魔法ワールド」の商品が購入できる店 ©iStock
ハリー・ポッターやファンタスティック・ビーストなど「魔法ワールド」の商品が購入できる店 ©iStock

ハリー・ポッター関連のグッズを中心に「魔法ワールド」の商品を扱うテーマショップ。魔法魔術学校の4つの寮のエンブレムの入ったグッズや魔法の杖などが所狭しと並べられています。店内はダイアゴン横丁のオリバンダー杖店を模した造りで、小道具のレプリカも展示されています。

ホグワーツ魔法魔術学校の大広間/クライストチャーチカレッジ(オックスフォード)

オックスフォード大学、クライスト・チャーチカレッジの「ダイニング・ルーム」©iStock
オックスフォード大学、クライスト・チャーチカレッジの「ダイニング・ルーム」©iStock

オックスフォードのクライスト・チャーチカレッジでは、ダイニング・ルームが、ホグワーツ魔法魔術学校の大広間のモチーフとなっているほか、大広間に続く階段でもロケが行われました。また、オックスフォードのほかのロケ地としては、ボドリアン図書館が、ホグワーツの図書館として使用されています。

■ ボドリアン図書館ツアー
・URL: https://visit.bodleian.ox.ac.uk/tours


◎「ハリー・ポッター」シリーズ

8-Film ブルーレイセット (8枚組) 12,000 円+税
8-Film DVDセット (8枚組)10,000 円+税

ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
Harry Potter characters, names and related indicia are trademarks of and © Warner Bros. Entertainment Inc.
Harry Potter Publishing Rights © J.K.R. © 2016 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

パディントン:由来の駅名より有名になったクマ

パディントン:由来の駅名より有名になったクマ

パディントン駅(ロンドン)

途方にくれていた仔グマがブラウン一家と出会ったパディントン駅 ©iStock
途方にくれていた仔グマがブラウン一家と出会ったパディントン駅 ©iStock

パディントン駅は、暗黒の地ペルーからやってきた仔グマとブラウン一家の出会いの場所であり、仔グマの名前の由来となった場所です。今ではクマのほうが有名になってしまいましたが、 駅にはパディントンのブロンズ像やショップもあります。
この駅の開業は1838年でロンドンで3番目に古く、最も西寄りに位置し、イングランド西部やウェールズ南部方面に行く列車のターミナルです。アガサ・クリスティーのミステリー『パディントン発4時50分』の舞台にもなっています。

■ ロンドン・パディントン駅
・住所: Praed St, London W2 1HQ

◎ウィンザーガーデン32番地/プリムローズヒル

@istock
@istock
ノッティングヒル(上)とプリムローズヒル(下)の街並み ©iStock
ノッティングヒル(上)とプリムローズヒル(下)の街並み ©iStock

住む場所が見つかるまでという条件でブラウン一家に居候するパディントン。ブラウン一家が住んでいるのは、ノッティングヒルのウィンザーガーデン32番地となっていますが、実在しない住所です。映画で実際にロケが行われたのは、ノッティングヒルではなく、リージェンツパークの北側に位置するプリムローズヒルにあるチャルコットクレセント通り。パステル調の街並みはノッティングヒルのそれと雰囲気が似ています。

◎サミュエル・グルーパーの骨董店/アンティークショップAlice's

ポートベロー・マーケットのアイコンとなっている骨董店Alice’s
ポートベロー・マーケットのアイコンとなっている骨董店Alice’s

メアリーの友人サミュエル・グルーパーが営む骨董店として、真っ赤な外装が目を引くアリスAlice’sが登場します。ノッティングヒルのポートベロー・マーケットでも有名な骨董店で、2作目でも重要な役割を果たしています。
ポートベロー・マーケットのスタート地点にあり、玩具から骨董品、アンテーク家具までさまざまな品揃えの店です。

◎パディントンが囚われたミュージアム/ロンドン自然史博物館

荘厳な雰囲気をたたえるロンドン自然史博物館中央ホール @istock
荘厳な雰囲気をたたえるロンドン自然史博物館中央ホール @istock

パディントンの噂を聞きつけ、執拗に追いかける自然史博物館のミリセント。彼女はパディントンを捉え、剥製にするために自然史博物館に運び込みます。
ロンドンの自然史博物館の魅力は、もちろん世界屈指のコレクションですが、建築家のアルフレッド・ウォーターハウス(1830-1905)によって設計された全長200mを超える荘厳なロマネスク様式の建物(写真:左)も鑑賞に値します。入口から中央ホールに足を踏み入れると、以前(『パディントン』が撮影された当時)は、巨大な恐竜ディプロドクスの全身骨格がありましたが、現在は宙を舞うかのように吊り下げられた、シロナガスクジラの骨格標本(写真:右)が出迎えてくれます。

@istock
@istock

ダーク・ マテリアルズ Ⅰ/ライラと黄金の羅針盤

 ダーク・ マテリアルズ Ⅰ/ライラと黄金の羅針盤


◎イギリス史上最高額の製作費、ベストセラー「ライラの冒険」をドラマ化

それは、世界の真相を暴く冒険。 人類の運命は1人の少女ライラに託された―
それは、世界の真相を暴く冒険。 人類の運命は1人の少女ライラに託された―

私たちの世界とよく似た、別世界のオックスフォード。この壮大なパラレルワールドでは、人間の魂は“ダイモン”と呼ばれ、動物の姿をしていて会話もできる。両親を亡くしジョーダン学寮で育ったライラは、学者で探検家の叔父アスリエル卿が久々に戻り大喜びするが、彼は新たな発見を発表してすぐまた旅立ってしまう。そんな矢先、謎めいたコールター夫人が学寮を訪れ、ライラにある申し出をする。一方、オックスフォードの町では子供がさらわれる事件が相次いでいた。(シーズン1・第1話/全8話)


◎ライラの育ったオックスフォードの町/オックスフォード

オックスフォードのシンボルのひとつ「ため息橋」  ©iStock
オックスフォードのシンボルのひとつ「ため息橋」  ©iStock

フィリップ・プルマンの原作では、ライラは私たちの世界とは異なるパラレルワールドのオックスフォードの(架空の)ジョーダンカレッジに住んでいます。今回のシリーズでは、オックスフォード大学のニューカレッジがロケ地になっており、ニューカレッジレーン、植物園、ため息橋などの近くで撮影が行われました。ちなみに、 映画『ライラの冒険 黄金の羅針盤』(2007)では、オックスフォードのクライストチャーチがロケーションとなっています。


◎ジプシャンたちとの船旅/セヴァーン川

セヴァーン川の運河に浮かぶナローボート  ©iStock
セヴァーン川の運河に浮かぶナローボート  ©iStock

第3話、コールター夫人のもとから逃れたライラが、船上生活をするジプシャンに助けられ、行動を共にします。ファーダーコーラムが率いるボート旅行のシーンは、カーディフとオックスフォードの中間にあるシャープネスドック近くのセヴァーン川で撮影されました。


◎コールター夫人のアパートメント/シェル・メックス・ハウス(ロンドン)

テムズ川越しにアール・デコデザインのシェル・メックス・ハウスを望む  ©iStock
テムズ川越しにアール・デコデザインのシェル・メックス・ハウスを望む  ©iStock

ライラがコールター夫人とロンドンで暮らすことになるアパートメントの外観は、アール・デコのデザインが印象的なふたつの建物が合成されています。エントランス周辺がウェールズ南部の街カーディフの Temple of Peaceが使われ、時計を含む建物の上部は、ロンドンのシェル・メックス・ハウスがベースになっています。シェル・メックス・ハウスは別名80ストランドと呼ばれ、映画『アサシン クリード』(2016)にも登場します。

■ シェル・メックス・ハウス
・住所: 80 Strand, London WC2R 0RL

本作は2020年 7 月 17 日 に DVDレンタルが開始されています。
(デジタルセル/レンタル同日配信開始)
・URL: https://warnerbros.co.jp/tv/darkmaterials/

His Dark Materials
© 2019 Bad Wolf Ltd. HBO ® and related channels and service marks are the property of Home Box Office, Inc.
© 2020 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

参考資料:Atlas of Wonders
・URL: https://www.atlasofwonders.com/2019/11/his-dark-materials-filming-locations.html

ロケ地クイズ:ここがロケ地となった作品は?

ロケ地クイズ:ここがロケ地となった作品は?


Question1

ヒント:アンティークの蚤の市で有名な高級住宅地にある旅行ガイドの専門書店 @istock
ヒント:アンティークの蚤の市で有名な高級住宅地にある旅行ガイドの専門書店 @istock


Question2

ヒント:17世紀に建てられたカントリーハウス @istock
ヒント:17世紀に建てられたカントリーハウス @istock


Question3

ヒント:Secret Intelligence Service・・・秘密情報部MI6 @istock
ヒント:Secret Intelligence Service・・・秘密情報部MI6 @istock


Answers

Answer1:ノッティングヒルの恋人/ノッティングヒルのトラベル・ブックショップ
※現在は、店名がノッティングヒル・ブックショップに変わっています。

Answer2:ダウントン・アービー/カーナヴァン家所有のハイクレア城 ©iStock
・URL: https://www.highclerecastle.co.uk/downton-abbey-movie

Answer3:007 スカイフォール/ロンドンのSIS本部ビル ©iStock

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筆者

地球の歩き方書籍編集部

1979年創刊の国内外ガイドブック『地球の歩き方』の書籍編集チームです。ガイドブック制作の過程で得た旅の最新情報・お役立ち情報をお届けします。

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