アジア有数の国際的歓楽街: アンヘレスの昼の顔
「早寝早起きの地元の酒飲みと、人に見られるのが嫌いなダンサーと、ホテルのプールサイドが一番好きな引きこもり観光客がいて、夜の11時には閉まるバー」
彼等の大半はメインストリートから若干奥に入った所にある、コンドテル(長期滞在用のホテル)やテラスハウスで、フィリピン人の奥方やガールフレンドと暮らしていて、ほとんどは、旧クラーク米空軍基地やスービック海軍基地関連の軍人年金などの年金生活者だ。
この地域に数多いバーの中には、このような層をメインの顧客にしている店もあり、営業時間が昼の一時から夜十一時で閉店という、とてもバーとは思えないようなところもある。
客の方も、夫婦連れでやって来ては、ダンサーやウェイトレスやママサン(ここでは日本語のママさんが定着している)にレディース・ドリンクを奢ってやりながら、世間話が楽しみという客や、やって来ては、実入りが少なくて腹の減ってるダンサー達を集めて出前を取って食わしてやるのが楽しみという客もいる。
バーのオーナーも、特にこういう店は、そんな客と同じような白人男性が多く、店に出てきては一緒に一杯やったり、ビリヤードに興じたりということになる。
ただしこういう店は、当然最も賑やかなところからはちょっと離れた場所にあるが、大抵のバーは夕方以降の開店なので、昼の歓楽街はこの様な顧客がその中心となり、ギラギラした夜とは、また違った顔を見せることになるわけだ。
当然、ダンサーやウェイトレスにとっては、観光客で賑わうもっときらびやかな店で働いた方が実入りがよいのでは、と思うのが当然だが、彼女達の大半はヴィサヤ地方の田舎の出身で、中にはどうしてもキンキラの派手で阿鼻叫喚の水商売に馴染めない、いわばニート型のダンサーやウェイトレスもいて、まさにこうしたバーでは、「割れ鍋に閉じ蓋」の関係が出来上がっている。
さらに、わざわざ外国からやって来た観光客の中にも、こんな雰囲気が気に入って、わざわざ近くのB級のホテルに宿をとり、バーで和んで、ホテルに帰ったらプールサイドでまた和むのが好き、という奇特な人達もいて、何か一つのコミューンになっているような、知られざる顔も昼のこの街にはあるのでした。
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