ブリュッセルからちょっと足をのばして王立中央アフリカ博物館(Royal Museum of Central Africa)へ
世界各地の博物館をたくさん見てきた友人たちに言わせると、他に類を見ない充実したアフリカ関係の展示物が見れる、という王立中央アフリカ博物館。展示物の数とそのクオリティーの高さはもちろんのこと、博物館の建物自体と博物館の前に広がる公園の美しさは、地元の人たちにもよく知られており、人気の高い場所です。
ベルギーになぜアフリカの博物館があるのか不思議に思われた方もいるかもしれませんが、ベルギーには、コンゴ民主共和国(旧ザイール)を植民地化していたという歴史があります。
現在のコンゴ民主共和国は、1885年にベルギー国王のレオポルト2世が「コンゴ自由国」とし、私有地化しました。Wikipediaによると、
当初、レオポルド2世は私費を切り詰めて鉄道を建設するなど、コンゴの近代化を推進したが、すぐに圧政に転じた。現地住民は象牙やゴムの採集を強制され、規定の量に到達できないと手足を切断するという残虐な刑罰が情け容赦なく科された。当時、大なり小なり、植民地での強制的な収奪を当たり前のものとしていた欧州諸国においても、この圧政は非難の的となり、植民地経営に関心がなかったベルギー政府を動かすこととなる。
1908年にベルギー政府は国王からコンゴを買い取って所有権を政府に移し、コンゴは正式に植民地ベルギー領コンゴとなりました。ベルギーによる植民地化は1960年まで続き、1960年6月30日にコンゴ共和国(1964年、コンゴ民主共和国に改称)として、ベルギーから独立しました。
王立中央アフリカ博物館が立つテルヴューレン公園は、かつて王領地でした。国王レオポルド2世は、1897年のブリュッセル万博の際に、コンゴから運んできた貴重な芸術作品のコレクションや資料を展示する場所として、建築家シャルル・ジローに命じて宮殿を建造しました。創立以来、博物館はアフリカ文明の調査研究の世界的中心となって活動しており、世界でも有数のアフリカ文明コレクションを有するので、「アフリカ文明の殿堂」とも呼ばれているそうです。
1910年にコンゴ博物館(1960年に現在の名称に改名)として開園し、100年以上に渡って、中央アフリカの文明を展示してきた王立中央アフリカ博物館。建設された当時のままの博物館には、中央アフリカの民族具、剥製動物、カカオなどの生産品、そしてベルギー植民地化の歴史に関する資料が展示されています。
【写真上】 ルイ16世様式の博物館内部。「展示物の邪魔にならなず、アフリカの風景を壁画に」という指示通りに描かれた壁画。奥の部屋にはキリンの剥製が。
博物館の中にはカフェもあり、中央アフリカの料理を楽しむこともできます。私はごはんの上にレモン風味の煮込みチキンがのっている料理を食べました。さっぱりしていてとてもおいしかったです。他にも、スパイシーなピタなど5種類のアフリカ料理と、パスタなどの軽食も提供されています。
王立中央アフリカ博物館は、修復の計画が以前からあり、2013年12月1日をもって、いったん休館することが決まっています。修復後の開館は2016年5月の予定で、一部展示物はベルギーおよび世界の美術館、博物館に展示されるそうです。
Royal Museum of Central Africa (王立中央アフリカ博物館)
住所: Leuvensesteenweg 13, 3080 Tervuren
電話: +32 (0)2 769 52 11
開館日時: 火~日 10:00~17:00(土・日 ~18:00) 月曜日・1/1、5/1、12/25休み
入場料: 4ユーロ(お年寄り 3ユーロ、13~17歳 1.50ユーロ、12歳以下の子供 無料)
<お役立ちメモ>
王立中央アフリカ博物館は、トラム44番終点のTervuren駅から徒歩約3分。トラム44番始発駅のMontgomery駅からTervuren駅までは、約20分です。このトラム44番は、1897年のブリュッセル万博の際に建設されたトラムで、トラムの線路が並木道の間や森の中を走るので、車窓からの風景がとても美しく、一度はぜひ乗っていただきたいトラムです。
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