アッペンツェルの最高峰センティス(Säntis)へハイキング
センティス山は標高2501mの、アッペンツェル地方では一番高い山です。
一瞬「そんなに高くないな」と思ったのですが、山道の高低差や岩をよじ登ることを考えると、少しチャレンジングでおもしろい山かもしれません。
山頂からはオーストリア、ドイツ、リヒテンシュタイン、イタリア、フランス、そしてスイスの6カ国をパノラマで見渡せるのも素晴らしいです。
私たちは10月下旬、お天気のいい日曜日に、Ebenalp(エーベンアルプ)のBerggasthaus(ベルクガストハウス)に泊まり、そこからセンティスを目指しました。
黄色の看板に記されているのは、「Säntisまで3時間」。
夫は完全な山男で仙人のようにスイスイ歩くのですが、私は岩がゴロゴロしている道や、岩壁を登ったり下りたりするのは初めてなので、プラス1時間はかかるだろう、と思っていました。
Ebenalpから目指すSäntisは、下の写真の中央より右側に見える、アンテナが立った山です。
岩肌・・・ロープにつかまりながら下ります。
写真を撮りたかったのですが、途中で止まることがむずかしく、シャッターチャンスがつかめないまま2時間くらい歩きました。
そこで!
山男(あるいは、アルプスの少女ハイジに出てくるおんじ)の夫が鼻をひくひくさせながら言いました。
「もうすぐ雨か雪が降るかもしれない。あと1時間したら必ず雨か雪になる」
そんな!
朝の天気予報では晴れのちくもりだったのに!
引き返した方がいいのか、Säntisを目指すのがいいのか聞いたところ、夫は即答で「Säntisに行く方が帰りも楽だし、時間もかからない」。
とりあえず夫を信じて、気持ち早足で先に進みました。
そして、30分ほどしたらおんじの予言どおり雪が降ってきたのです。
しかも、ぼたん雪というか、かなり大きなふっくらした雪です。
30分くらいしたら、雪がうっすら積もってきました。
足場が悪いので、早く歩きたくてもゆっくりペースに。
そんなこんなしているうちに、足元には雪が20cmほど積もっている地帯に突入し、ますます歩みがのろくなります。
目的地は、左側のアンテナがついた山!
ここから山頂にたどり着くまで、吹雪に見舞われ写真を撮ることはできなかったのですが、積雪30cm、風速(推定)10m、気温(推定)2-3度の山を歌ったり、ぶつぶつ言ったり、叫んだりしながら1時間半ほど歩きました。
最後の最後、きわめつけは、絶壁にロープがついた「天国への階段」。
階段といっても岩に足をかけて絶壁を登る、といった方がいいような、ほぼ90度の崖です。
夫が「天国の階段って言うんだよ」と言ったとき、私は思わず、「それは、やっと山頂について、綺麗な景色が見えるから天国なの?それとも、死んで天国に召されるから?」と聞いてしまったほどでした。
楽しかったです!
左右についているロープを握りしめ、足と手と腕の力を使って20mほど登り切り、吹雪でまわりは見えないものの山頂についた!という達成感はクセになる楽しさです。
ヨタヨタとレストランに向かい、夫とふたりでガス入りミネラルウォーターを1リットルと、あたたかいスープをオーダー。
結局5時間くらいかけてEbenalpから歩き続け、山頂でやっと体温を取り戻してぼーっとしていると、雪がやみ、少し晴れ間が見えてきました。
山頂からはロープウェイでSchwägalp(シュヴェーガルプ)まで行き、電車に乗り換えてUrnäcshへ。
次は、お天気のいい春か夏に行って、違う景色を見たいところです。
*10月下旬のハイキングは、十分な雪対策をしてから出かけましょう。
筆者
スイス特派員
ヘス 順子
スイス東部のアッペンツェルに住んでいます。日本とスイスの橋渡しになるような仕事をし、それを深めていきたいです。
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