フォトジェニックなハノイの名所は?遷都1000年記念モザイク壁画
「フォトジェニック」という言葉が溢れる時代で、ハノイでそれを求めるならば、なんでもない日常風景に目を凝らすほうが面白いと、私は思っています。それでも、目を引くような"カラフル"な「映え」を求めるならばどこになるでしょうか? そこで本日は、ギネスブックで「世界一大きい」と認定されたハノイのモザイク壁画をご紹介します。
この壁画は2010年に「ハノイの遷都1000年」を記念し作られました。ハノイ市街の北にあるYen Phu通りの壁に描かれた、約7㎞に及ぶ長さを誇るこのモザイクの壁画は、「世界最大のモザイク画」としてギネスブックに認定されています。
壁画に使用されたモザイクは、ベトナムの有名な陶器「バッチャン焼」でできています。細かなタイル状のバッチャン焼の陶器が無数に重ねられ、壁面を埋めるように絵を描きます。その長さは約7㎞と言われていますが、現在も制作中のようで、途中で途切れる部分がありながらも、道路に沿って長く長く続いています。
色鮮やかな壁画は、ハノイやベトナム各地の風景、歴史ほか、歳時記、自然、海外の風景など、様々なテーマを盛り込みながら展開されています。その絵柄は、時代によって異なる特徴を持つ、ベトナムの伝統的なデザインを活かしたものからモダン・アートまで多種多様です。各アートワークはベトナム国内のアーティストのみならず、海外の団体も参加し制作されたもので、各パートごとに個性豊かなモザイクアートを愉しむことができます。
壁を隔た向こう側は住宅区、舗道は1mほどの狭いものなので歩行は注意を!
▲ 子供が描いたような素朴なデザインが愛らしい。ハノイならではのオートバイの風景。
▲ ベトナムの絶景を代表する景勝地ハロン湾。
▲ 海の中には華麗な珊瑚が。バッチャン焼のモザイクで表現。
▲ 民家、家畜などのどかな農村の風景も描かれている。
▲ 「中秋月」を祝う子供たち。
▲ お正月を彩る満開の桃の花、ベトナムの季節や歳時記を感じる壁画も。
▲ ゴッホを思わせる描写が美しいオランダの風景。
▲ よく見ると、ロンドンバスも描かれています!
▲ 通りを隔てて全体図をみるのもおススメ。
▲ ベトナムの古い家屋をテラコッタで表現した美しい壁画。
▲ モダンデザインが軽やかな、現代的なアートワークも。
▲ そして、ハノイを代表する歴史ある橋「ロンビエン橋」へ。
散策にわかり易い地点として、「パン・パシフィックホテル」前から「ロンビエン橋」までは、小一時間のウォーキングとなります。しかし、壁画添いに歩くことは、現時点ではあまりおススメではありません。
理由:
⑴ 歩行者用の道幅が思いのほか狭く歩きにくい
⑵ 舗道が狭いため壁画が近過ぎて、全体像が鑑賞しにくい
⑵ Yen Phu通りは交通量が多く、空気も悪い
⑶ ロンビエン橋周辺および、その壁を隔てた向こう側の町エリアの治安に不安
(壁に排泄をするため衛生面も問題)
せっかくの美しい壁画ですが、タクシーなど「車窓からの鑑賞」がベストだと思います。本物を間近で見たい場合は、壁にそって長々と歩かず、部分を絞ってのポイント見学が良いかもしれません。
「ロンビエン橋」も一緒に観光を。
ロンビエン橋は自動車のみならず、徒歩も禁止となっているようです。実際にその場へ行くと多くの歩行者が見られますが、公安に呼び止められることもある様ですのでご注意ください。
ロンビエン橋は、1902年フランス統治下時代に造られた、美しい姿をとどめる鉄骨の橋で、ハノイを象徴する風景としても知られています。しかし、老朽化が激しく、歩道がありながらも整備がなされていないため危険です。また、このエリアは、比較的安全とされるハノイの中で、「治安の悪い地域」で知られています。出かける際は注意をし、夜間は避けるようご注意ください。
この壁画が、「ベルリンの壁」のような観光名所として成り立てば、より多くの人がベトナムのアートの一端を身近に楽しめる場所になると思いますが、見学にふさわしい観光地となるには、もう少々整備が必要だと思います。いつの日か、更なる国の成長と共に、洗練された観光のための整備が進み、この壁画が、ツーリストにとってもより魅力的で訪れやすい名所になることを願います。
Photos & Writing by Midori Nakazawa
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