小笠原諸島の景勝地「南島」の上陸禁止期間について
小笠原諸島・父島の南西に浮かぶ小さな島「南島」は
毎年多くの観光客が上陸をしますが、植生回復を目的として年に一度、
上陸禁止期間が設けられています。
今シーズンは2019年11月11日~2020年2月7日迄です。
(但し、2019年12月22日~2020年1月4日を除く)
人気の景勝地「南島」と上陸禁止についてご紹介します。
南島は大きさが南北約1.5km、東西約400mほどの小さな無人島です。
その中央部にある扇池は真っ白な砂浜に岩のアーチ
青い海と空、ここでしか見られない美しい景観が人気です。
画像提供:東京都
画像提供:Masuo photo
画像提供:Masuophoto
南島は景観が美しいというだけではなく、海鳥やウミガメ・昆虫などにとっては
貴重な営巣地・生息地にもなっています。
ウミガメの産卵シーズンには砂浜に足跡が残っていたり
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半化石のヒロベソカタマイマイなども見られます。
画像提供:Masuophoto
とても小さく美しく、野生生物にも貴重な南島ですが
以前はダメージを受けている場所も多くありました。
こちらは2001年の風景です。
画像提供:東京都
野生化したヤギによる食害や、上陸した人による踏圧等が影響し
赤土がむきだしになってしまった風景です。
その後、東京都による植生回復事業や、都と村で南島の適正利用のための
ルール作り等が行われた結果、徐々に植生が回復し、赤土だった場所にも緑が定着しました。
2008年の同じ場所の様子です。
画像提供:東京都
さらに、2012年の写真では小笠原固有植物のタコノキが育っていて、
南島本来の姿へ少しずつ戻っている様子が感じられます。
画像提供:東京都
南島を適正に利用するためのルールです。
・東京都自然ガイドの同行が必要、ガイド一名につき引率人数は15名まで
・定められた観察路・エリアを利用する
・上陸可能人数は一日100名、一回の滞在時間は2時間まで
南島への上陸はシーカヤックでも可能ですが、多くの場合はボートツアーを利用します。
上陸ポイントは①鮫池か②扇池のどちらかです。
画像提供:Masuophoto
①鮫池からは島にボートを接岸して急な岩肌を登り降りします。
画像提供:Masuophoto
非常に足場が悪いため歩行に不安があり介助が必要だと上陸が難しいです。
画像提供:Masuophoto
決められた観察路を利用することで踏圧による裸地化を防ぐことになり、
南島内の海鳥営巣地が拡大する効果も出ています。
画像提供:Masuophoto
②扇池から上陸する場合はスノーケリングで泳いでアーチをくぐります。
画像提供:Masuophoto
①②いずれの方法も海が荒れると危険なため上陸できない場合もあります。
そして例年、11月~2月に3ヵ月間の上陸禁止期間を設けています。
鮫池から扇池まで移動する観察路には植生への影響を最小限に抑えるための
転石が設置してありますが、繁忙期等で利用者が多くなるとどうしても
観察路周辺の植生がダメージを受けます。
画像提供:東京都
この観察路周辺の植生回復を目的として上陸禁止期間が設けられています。
入島禁止明けには土が見えていた場所に植物が戻っています。
画像提供:東京都
今シーズンは2019年11月11日~2020年2月7日迄が上陸禁止となります。
(但し、2019年12月22日~2020年1月4日を除く)
ここまで上陸禁止と書いてきましたが、正確にいうと鮫池から扇池までの観察路の利用禁止期間のため
期間内でも扇池へ直接泳いで上陸することは可能です。
「泳いで上陸」に対応しているかどうかはボートツアー開催業者によります。
筆者
東京・小笠原諸島特派員
たびんちゅ
元バックパッカー。小笠原諸島に移住して約20年になりました。
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