練馬大根だけじゃない!23区最年少の区、練馬で食べる地元の味

公開日 : 2024年02月02日
最終更新 :

ロンドンに続き世界で2番目となるハリー・ポッターのスタジオツアー施設「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 – メイキング・オブ・ハリー・ポッター(以下、スタジオツアー東京)」が2023年にオープンしたことでも注目された東京都練馬区。連日大盛況の同施設ですが、それとは別に練馬には10人の魔法使い(シティ・ウィザード)がいるのは知っていますか?

今回は「ようこそ練馬ぶらり旅」のプレスツアーに参加し、まだ知られていない東京23区の隠し玉、練馬区の魅力を体験してきたので紹介します。記事の終盤にはお得な練馬ツアー情報も!

10人の魔法使いが練馬を盛り上げる!

週末にもなると多くの人でにぎわう石神井公園
©iStock 週末にもなると多くの人でにぎわう石神井公園

東京23区の北西に位置する練馬区は、昭和22年に板橋区から分離独立した東京23区で最も新しい区です。農地面積が23区内で最も広く新鮮な野菜や加工品が手に入りやすく、区内の飲食店でも練馬産の野菜を使った店が多くあります。池袋や新宿、渋谷などのターミナル駅へのアクセスが良いわりに落ち着いた環境が広がることから昔からの住人だけでなく、近隣から練馬区へ引っ越してくる人も多く“都会と自然のバランスが取れた町”という印象です。

区内には農業を営んでいる人が多くいるので、無人の野菜販売所があったり、フルーツ狩りや野菜収穫体験ができる畑が点在しています。都市部に居ながら気軽に農業体験ができ、近隣の市や区からもたくさんの方が訪れます。

そんな練馬区では「ねりまシティ・ウィザード・プロジェクト」と題して、優れた技術や技能を持つ区民を魔法使いとして召喚しており、「シティ・ウィザード・カード」なるトレーディングカードを実際に店に訪れた方にカードを配布するというユニークな取り組みを行っています。

今回のプレスツアーでは、10人の魔法使いのなかから3人の魔法使いに会いに行きました!

都内唯一の味噌蔵「糀屋三郎右衛門」

蔵に一歩入ると外とは全く違う空気感
蔵に一歩入ると外とは全く違う空気感

まず訪れたのが、西武池袋線の中村橋駅近くの住宅地にある味噌蔵の糀屋三郎右衛門です。「昔みそ」と書かれた店先ののれんが印象的で歴史を感じる建物は周りの住宅とは異なる雰囲気を醸し出し、ここが練馬の住宅地であることを忘れさせます。

今回施設内を案内してくれた七代目の辻田雅寛さんは、10人の魔法使いのうちのひとりです。伝統を守りつつも、新しいものも取り入れるチャレンジ精神が評価され、練馬区の魔法使いとして“召喚”されました。

味噌の原料や、熟成させる木桶の話、糀菌の話などを巧みな話術で説明する辻田さんの話のなかで特に興味深かったのが、同じ糀菌を使っても、気温や湿度、菌の調子によって微妙に味噌の味が変化するということです。味を調えるのがさぞ大変だろうなと思ったのですが、糀屋三郎右衛門ではその微妙な味の違いを商品のアピールポイントとして販売しており、複数の味噌を混ぜるなどして味の統一はしないそうです。
スーパーで売られている味噌とは違い、毎回味が微妙に異なるからこそ、飽きることなく長年愛され続けているのかもしれません。

  • 懐かしさを感じる外観

    懐かしさを感じる外観

  • 積み上げられた味噌を仕込むための桶

    積み上げられた味噌を仕込むための桶

  • 味噌の要、糀室の入り口

    味噌の要、糀室の入り口

糀がはいった木箱がずらりと並ぶ
糀がはいった木箱がずらりと並ぶ

蔵の奥にある糀を育てる室(むろ)も見学させてもらいました。
出入り口は大人がひとり屈んで入るのがやっとの大きさです。室は温度と湿度が徹底管理されているため室内に入るとモワッとした湿度とほんのりした温かさを感じます。左右の棚にびっしり並べられた木箱のなかではフワフワの糀菌をまとった米が今か今かと出番を待っているようでした。ここで3日かけて作られた米糀は味噌づくりのほか、甘酒や塩こうじなどの商品になります。

糀屋三郎右衛門の商品は2023年に製法や原材料などの厳しいチェックを通りハラールの認定を受けました。これからは昔みそのおいしさを海外にも発信するためインバウンドツアーを受け入れたり、環境保全のため味噌のパッケージ材料の見直しを計るなど今までになかった試みを八代目とともにどんどん広げていくそうです。

個人での蔵内、室内の見学はできませんが、区の「ようこそ練馬ぶらり旅」で見学できるほか、定期的に公民館などで味噌づくり教室を行っているので、昔ながらの味噌作りに興味がある方はぜひ参加してみましょう。(詳細は公式HP)

糀屋三郎右衛門

住所
東京都練馬区中村2-29-8
電話番号
03-3999-2276

練馬近郊でブドウの生産から醸造まで「東京ワイナリー」

こぢんまりした店内ではカウンター越しのお喋りも楽しい
こぢんまりした店内ではカウンター越しのお喋りも楽しい

西武池袋線の大泉学園駅から徒歩で10分程の場所にある東京ワイナリーは、2014年に設立した都内初のワイン醸造施設です。
今回のツアーふたり目の魔法使いでもある代表の越後屋美和さんは、元々野菜の仲卸として働いていましたが、多くの東京の農家と関りを持つうちに次第に東京での農業に興味を持ち、東京産の食材とワインを楽しめる場所を作りたいという思いから、自ら果実酒製造免許を取得し、東京ワイナリーをオープンしました。「面白そうなら動いてみる!」をモットーに東京産の農産物の発信をしています。

店内はアットホームな雰囲気で、カウンター越しに見えるチョークアートが目を惹きます。カウンターには店オリジナルのワインが並べられており、なかでも1年ごとにデザインを公募で募集している「ねりまワイン」のエチケット(ワインのラベル)は必見です! 東京ワイナリーのいたるところで飾られているあの動物がエチケットにも描かれています。

店のすぐ隣にある醸造所は店内の小窓から見ることができますが、今回は特別に部屋に入れてもらいました。人間の背丈ほどのステンレス製のタンクが何本か並んでいて、日本各地のブドウをはじめ、練馬で栽培されたブドウのみを醸造しているタンクもあります。今では年間で約1万本のワインを生産していて、店頭やネットショップ以外でも関東を中心に日本各地の酒店や練馬区の観光案内所で販売しています。店頭では量り売りも行っていて、蓋の閉まる入れ物を持参すると100mlから購入することができます。

  • ブドウのほかにリンゴのシールドなども作っている

    ブドウのほかにリンゴのシールドなども作っている

  • ワイン製造の工程を学ぶ

    ワイン製造の工程を学ぶ

  • 醸造所で作られたワインがずらり

    醸造所で作られたワインがずらり

手入れが行き届いているブドウの木は今年で4年目だそう
手入れが行き届いているブドウの木は今年で4年目だそう

店を出た後は、東京ワイナリーが管理する練馬区内のブドウ農園「Tetto Vin.」を案内してもらいました。
ブドウ狩りの時のイメージで、ブドウは頭上に実を付けるものを想像していましたが、この農園では垣根方式を採用していました。この方が日光によく当たり、樹の管理がしやすいのだとか。1月は葉も実も付いていないので枝だけの状態ですが、2月からは今シーズンの収穫に向けて木の皮を剝ぐ作業や剪定作業を行うのとのことで、1年を通して唯一ブドウの木が“休んでいる”状態の時に見ることができました。

関東ローム層とよばれる練馬の土壌は昔から野菜栽培には向いていますが、本来岩がごつごつして水はけのよい土地を好むブドウにとってはストレスが少なすぎて実の色づきや味に影響が出ます。越後屋さん自身もワインの醸造ではなくブドウ栽培に先に手を出していたら続いていなかったというほどワイン用のブドウ栽培には労力がかかるそうです。さらに都市型農業ならではの日当たりや農薬散布などの問題もありますが、個々のブドウの収穫時期の見極めや農薬散布時間をなるべく近隣住民に迷惑が掛からない形で行うなど、住宅地と農地の共存を図っています。

さまざまな試行錯誤や地元サポーターの手助けもあり完成したワインは飲むときにぜひ練馬の風景を思い浮かべながら飲んでもらいたいとのことでした。

東京ワイナリーではワイン作りや農業に興味がある方を対象にワイン作りのサポーターを募集しています。こちらも詳しくは公式HPでご確認ください。

東京ワイナリー

住所
東京都練馬区大泉学園町2-8-7
電話番号
03-3867-5525

地産地消がキーワード「PIZZERIA GTALIA DA FILIPPO」

さまざまな賞状や有名人のサインが飾られる店内
さまざまな賞状や有名人のサインが飾られる店内

西武池袋線の石神井公園駅近くにあるイタリア料理店PIZZERIA GTALIA DA FILIPPOでは、練馬区をはじめ武蔵野で生産された食材をふんだんに使用した料理が食べられます。私たちが訪れたのは平日で、お昼の時間を少しずらしたにも関わらず店内ではまだ多くのお客さんが食事を楽しんでいました。

PIZZERIA GTALIA DA FILIPPOのオーナー岩澤正和さんは、本場イタリアでピッツァの作り方や技術を学び2006年には「世界ナポリピッツァ選手権」で第1位に輝いたこともある凄腕のオーナーシェフであり、地域に根付いた食文化を創るためのさまざまな活動が評価されている本日3人目の魔法使いです。

席につくとまずは岩澤さんのお話を聞くことができました。練馬区や練馬産の食材について生き生きと語る様子からは練馬への並々ならぬ愛を感じます。お店で提供される料理は近隣で収穫された野菜を多く使用しているのが特徴です。そのほかにも東京ワイナリーのワインや練馬産のアスパラガスの茎を加工したお茶など、東京都内にも関わらずこんなに多種多様な種類の食品が練馬周辺で生産されているんだと驚かされます。

  • ピッツァマルゲリータ

    ピッツァマルゲリータ

  • NERIMAピッツァ

    NERIMAピッツァ

  • 練馬大根パスタ

    練馬大根パスタ

いよいよ食事の時間です。
もちろんどの料理もおいしく、見た目もとてもきれいな料理が運ばれてくるのですが、筆者が特に感動したのが2種類のピッツァとパスタです。

1枚目のピッツァマルゲリータはジューシーなトマトとバジルの香りが口の中でフワッと広がり、チーズの旨味があふれるひと品です。シンプルゆえに具材と生地のバランスや各素材の味がダイレクトに伝わります。2枚目は練馬の青菜を使ったNERIMAピッツァ。お店自家製のソーセージと練馬産の青菜を使ったピッツァで、自家製ソーセージが優しい味付けでとてもおいしいのですが、そのソーセージやチーズの味にも負けないくらい青菜の旨味の濃さには驚きます! 

パスタは今回のツアーのために特別に用意いただいた練馬の伝統野菜、練馬大根を使った練馬大根パスタです。いつもスーパーで見かける大根と比べて細長く、辛みがあり歯ごたえがあるのが特徴の練馬大根ですが、区内の学校給食で大人気のメニューを今回はお店で再現してもらいました。
鬼おろしくらいの荒さにおろした練馬大根と刻んだ大根の葉に火を通して、辛みを飛ばした練馬大根の優しい味がするパスタ料理なのですが、これが驚くほど癖になる味でフォークが止まりません。熱を通しても練馬大根の食感が残っているのでパスタのモチモチした食感とシャキシャキとした食感が楽しく最後まで飽きないおいしさです。

本格イタリアンの味が気軽に楽しめるPIZZERIA GTALIA DA FILIPPO。近くには系列店のイタリア食材を販売しているFILIPPO MARKETや立ち飲みもできるカジュアルなFILIPPO Bacaroも営業しています。石神井公園駅近くでイタリアと練馬の味を同時に楽しめる素晴らしいお店です。

災害時には炊き出しでも利用できる自慢のピザ窯。地元住民とのつながりを大切にするオーナーならでは
災害時には炊き出しでも利用できる自慢のピザ窯。地元住民とのつながりを大切にするオーナーならでは

PIZZERIA GTALIA DA FILIPPO

住所
東京都練馬区石神井町2丁目13-5

練馬区のまち歩きのお供に地球の歩き方!

高層ビルが立ち並び、最先端ファッションを身にまとった人が慌ただしく町を歩くという多くの方が想像する大都市東京のイメージとは少し違う練馬は、どうしても魅力が周りの区に埋もれてしまいがちですが、練馬区は魅力を分かりやすく伝えるために「ねりまシティ・ウィザード・プロジェクト」や練馬のおすすめ商品コレクション「ねりコレ」など趣向を凝らしたアイデアを展開しています。
練馬の見どころやおすすめの飲食店など困ったときは区内の観光案内所(練馬駅中央北口、石神井公園駅中央口)で気軽に相談してみましょう! 観光案内所には地球の歩き方が作成した豊島園通りの歩き方が配架されており、豊島園通りを中心に駅から徒歩圏内の見どころをまとめています。ぜひ手に取ってみてください!

そのほかにも、書籍の「地球の歩き方ガイドブック 東京」でも練馬の見どころを紹介しているので、グルメも文化も楽しめる練馬区を観光の際はぜひ活用してください!

筆者

地球の歩き方 加藤

海外は東南アジアでの出現率が高めです。

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