【タイの祭り】2021年の菜食週間(キンジェー)の様子|起源や菜食料理も紹介
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サワディーカー。バンコク2特派員のぴっぴです。タイでは毎年10月頃になると、キンジェー(菜食祭り)の季節がやってきます。キンジェーは中華系タイ人の恒例行事。この期間中は「菜食に徹する」ベジタリアンウィークになるのです。
2021年のキンジェーは10月6~14日の9日間でした。新型コロナ感染拡大防止のため大きなイベントは中止となってしまいましたが、バンコクの中華街では控えめながらもその雰囲気をしっかり楽しめたので、今回はそのときの様子をお伝えします。
キンジェーの起源や歴史、どんな菜食料理があるのかなど......広く知られていないわりにとてもおもしろいお祭りなので、皆さん要チェックですよ♪
中華系タイ人の行事「キンジェー」はベジタリアンフェスティバル!
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「キンジェー」は中華系タイ人の行事で、太陰暦(月の満ち欠けの周期を基準にした暦)の9月1日から9日間のあいだ、タイ全土でおこなわれます。「キン」はタイ語で「食べる」、「ジェー」は中国語からきた「齋(=菜食)」で、すなわち「肉食を断ち、菜食を行う」という意味。
この期間中は肉・魚・卵・牛乳などの動物性食品、ニンニク・ニラ・ネギなど匂いのきつい野菜、アルコール類の摂取を避けて身を清めます。
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キンジェー期間中は至るところで「齋(ジェー)」の赤文字が書かれた黄色いマークを見かけます。このマークは動物性原料が使われていないことの証。
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菜食によって心身を清め、神への忠誠をしめすことで「幸運がもたらされる」とされているようです。
キンジェーの「起源」は19世紀に中国移民から持ちこまれた「道教信仰」?
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それではこの「キンジェー」はいったいいつどのようにして始まったのでしょうか? これには諸説ありますが、一般的には19世紀のはじめ頃、中国福建省からタイ南部プーケットに移住した中国移民により持ちこまれた道教の祭り「九皇帝祭」が広まったことに由来しているそうです。
その詳しい経緯についてもさまざまな言い伝えがあり、筆者もかなり調べたのですが、はっきりとした確証は得られず......有名なものとしては、たとえばこんな一説があります。
さかのぼること1820年代、中国歌劇団がプーケットを訪れた際に、劇団員が原因不明の重病にかかってしまった。そこで神に祈りを捧げながら厳格な菜食をおこなったところ、この病が完治した。以来、プーケットを中心としたタイ南部で菜食の儀式がはじまり、ずっと継承されているのだとか......ただし、これが事実かどうかは定かではありません。
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このようにタイ南部で「キンジェー」として根づいていった慣習は、健康ブームやグルメとしての人気も牽引し、タイ全土に広がっていきました。今では道教信仰を超え、すっかりタイの風物詩として人々のあいだで親しまれています。
世界一「痛い」祭り? プーケットの「奇祭」ベジタリアン・フェスティバル
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キンジェーの発祥の地とされるタイ南部のビーチリゾート、プーケット。ここではキンジェーの季節になると、世界的に有名な奇祭、「ベジタリアン・フェスティバル」が例年開かれます。今年も規模を縮小して開催されました。
この祭り最大の名物が、「苦行」。いたる所で大量の爆竹が鳴り響き、白装束を身にまとった「マーソン」と呼ばれる信者たちが、顔や体に刃物、串、針などを突き刺して、血を流しながら町を練り歩くのです。このパレードを見るために世界中から観光客が見物に訪れます。
苦行をすることで身を清め、神への信仰心を示し、人々に幸運をもたらすと考えられているのだそう。このときマートンの肉体には神が宿っており、一種のトランス状態にはいっていて痛みを感じないのだとか......
筆者もプーケットの「ベジタリアン・フェスティバル」についてインターネットで調べてみると、かなりインパクトがある過激な写真がでてきて鳥肌がたちました。興味がある方は心して検索してみてくださいね(笑)。くれぐれも閲覧注意です!
2021年版! バンコク最大の中華街「ヤワラート」におけるキンジェーの様子
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キンジェー期間中はバンコクの中華街でも毎年さまざまな催し物が行われますが、今年は新型コロナ感染症の流行を受け、ほとんどの行事が取りやめになりました。しかし少しでもその雰囲気を味わってみたいと思い、タイ生活2年以上にもなるのにキンジェー未体験だった筆者は、中華街に足を運んでみました。
バンコク屈指の中華街「ヤワラート」。そのメイン通りである「ヤワラート通り」は大勢の人でごったがえし、いたるところで黄色い旗がたった菜食料理の屋台をみかけます。
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キンジェー期間中は「徳を積む(=タンブン)」ことも大事
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福建省からの移民に血筋をもつ中華系タイ人が多く暮らす「タラート・ノーイ地区」へ。このエリアを散策していると、突然大音量のにぎやかな中華系の音楽が聴こえてきて、目の前に異世界が出現しました! 白装束に身を包んだ人々が大勢集っています。
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どうやら私が迷い込んだのは、"Chao Zhou Shi Kong Shrine"という福建省出身の僧侶を祀った神社のよう。清朝時代の建築様式を取り入れ、中国の神々を祀った彫刻や絵画が見事です。
キンジェーでは「身を清める」ことを目的とした行動を心がけるわけですが、それは「菜食」だけにとどまりません。たとえば「徳を積むこと(=タンブン)」もよしとされていて、ロウソクを灯して祈りを捧げる参拝者が後を絶たず、にぎわっていました。
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キンジェーは生活習慣そのものの見直しをする期間でもあり、ほかにも「仏教の五戒を守る」「喪中の人、妊婦、生理中の人は参加しない」「嘘をつかない」などさまざまなルールがあるようです。
菜食料理を食べてみた
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せっかくなので筆者も菜食料理に挑戦したいと思い、屋台で注文してみました。タケノコの煮付けと、店員さんおすすめの野菜を炊いたもの。タイ料理は一般的に味付けが濃いですが、これは優しい薄味でおいしい。刺激の強い味付けは禁止のはずですが、タケノコには唐辛子がかなり入っていて辛かったです(笑)。
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種類豊富なお饅頭は、ひとつ10~15バーツくらい。大豆、黒ゴマ、タロイモ、黒豆、ドリアンなど、いろいろな種類があります。筆者は白餡、黒ゴマ、タロイモの3種の饅頭を買ってみました。中には餡がぎっしり詰まっていて、優しい甘さ。緑茶とよく合います。
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ヤワラート通りで見かけたキンジェーの屋台料理は、全体的に「揚げ物」が多い印象。
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こちらは「サラパオ」と呼ばれる中華まん。
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まるい形をしたキンジェー名物の「揚げ餅」も売っています。
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筆者はサラパオ(1個22バーツ=約75円)、トウモロコシの揚げ物(3個25バーツ=約85円)、揚げ餅(1個20バーツ=約68円)を購入。揚げ物はハサミでちょきちょきと小さくカットされ、食べ歩きしやすいように串も入っています。
筆者は食べ歩き大好き人間ですが、今はこのご時世で難しいので、自宅に持ち帰っていただきました。
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サラパオは甘みが強い椎茸あんがたっぷり入っていて、とっても好きな味。トウモロコシ揚げは、ピーナッツの粉末を混ぜた甘めのタレにつけて食べます。
想像以上においしかったのが「揚げ餅」。砂糖やゴマがたっぷりまぶしてあり、モチモチしていて、あまりのおいしさにビックリしました。個人的におすすめです♪
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「菜食料理」ってヘルシーで健康的なイメージがありましたが、実際には油っぽい料理が多く、思いのほかカロリーが高そうな印象です。実際に筆者のタイ人の友達も「キンジェー期間中は太る!」とぼやいていました (笑)。
スーパーやコンビニで気軽に買える「キンジェー限定商品」
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コンビニやスーパーでも黄色いシールが貼ってある「キンジェー限定商品」が陳列され、気軽に購入することができます。 たとえばこちらのガパオライスは「キンジェー仕様」にアレンジされていて、肉ではなく「厚揚げ」が使われています。ガパオライスの味がうまく再現されていて、かなりおいしい!
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こちらは植物性由来の原料を使用した、ミートボールならぬ「プラントボール」。う~ん、これはちょっと癖があって、苦手な味でした。
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さまざまな工夫がこらされた菜食料理にチャレンジできるのは、とてもおもしろいです。いつもと一味ちがうタイ料理を楽しめるのは、キンジェーの醍醐味ですね♪
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タイ生活が3年目にはいった筆者。タイには日本のような四季がありませんが、キンジェーや旧正月といった行事や慣習がたくさんあり、それらを楽しむことで季節の移ろいを感じられるようになってきました。タイ生活にだいぶなじんできたのかなぁ。
おもしろいイベントが盛りだくさんなことも「タイの魅力」のひとつだと感じる今日この頃です。
まとめ
かつて中国から渡ってきた中華系タイ人のお祭り「キンジェー」。今はまだコロナ禍で自由に旅行ができませんが、タイの状況も少しずつ落ち着いてきているので、来年は例年通りイベントが開催されることを期待しています。
どなたでも気軽に参加できる行事なので、もし10月頃にタイに来られる際は、ぜひ「菜食祭りに参加」をプランに組み込んでみてくださいね♪ それでは皆様、また次回の記事でお会いしましょう!
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筆者
タイ特派員
日向みく
バンコク在住ライター。中南米やアフリカ、中東を含む世界43ヵ国を訪れた旅好きです。
【記載内容について】
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