骨までやわらかい!「やわらか一夜干しにしん」で、"北海道余市流 ヘリングサンド"
2021年4月に余市の物産館「エルラプラザ」(エルラプラザの過去記事はコチラ)でみつけた「やわらか一夜干しにしん」。骨まで丸ごと食べられ、とてもおいしかったので、ずっと気になっていた商品です。
余市町、そして北海道の日本海側とは切っても切れない縁の魚ニシンのおいしい商品やわらか一夜干しにしんを詳しく紹介します。
CONTENTS
ワインで有名な余市町とニシンの深い関係
日本でのリンゴ栽培の成功が最も早かった町のひとつとして、果樹栽培が盛んな町として知られる余市町。ここ数年はワイナリーが相次いでオープンしています。
札幌から車で約1時間ほどのところにある小樽市と日本海に面した自然豊かな町です。
江戸時代には余市町をはじめ北海道日本海側で盛んだったニシン漁。「身欠きニシン」をはじめとしたニシンの加工品が北前船で本州各地へ届けられました。
昭和に入り、ニシンの回遊範囲の変化など、さまざまな要因から余市での漁業の中心はニシンからほかの魚介に移りましたが、ニシン加工で培った技術は、ニシン以外の魚の加工にも生かされ続けてきました。
現在、余市町では複数ある漁港で1年を通してさまざまな種類の魚介の水揚げがあり、その質の良い水産加工品は与市を象徴する特産品となりました。
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「やわらか一夜干しにしん」
余市の数ある水産加工品の中で、筆者おすすめのひと品が、丸イ伊藤商店の「やわらか一夜干しにしん」(2枚入540円・漁期限定道産春告魚は2枚入594円)です。
なんと、骨までやわらかく加工され、骨がどこにあるのかわかりません。
そして電子レンジで温めるだけでおいしく食べられます(加熱しなくても食べられます)。
電子レンジで加熱すると、パッケージがプクーっと膨れます。
そして空気が抜けると平らに。
あとはパッケージを手で開けるだけです。
包丁はもちろん、ハサミも使わずにやわらか一夜干しにしんのできあがり。
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丸イ伊藤商店が丸ごと食べられるニシンを作るまで
やわらか一夜干しにしんを作るのは、余市町にある「丸イ伊藤商店」。
元銀行マンの伊藤社長は、転職当初、現在もメインに製造する「身欠きニシン」作りの修行を通し、気温・湿度などによって乾燥具合を付きっ切りで調節し、そのコツをつかんだそう。
そして京都の「にしんそば」に欠かせないこだわりの身欠きにしんを作り続けてきました。
特に京都から発注されるにしんそば用の身欠きにしんは、味はもちろん、サイズや脂の乗り具合も重要。産地によって特徴が大きく異なるニシンの選別から始まり、食べた時の舌触りをよくするための念入りな加工など、経験と技術に加え手間がかかるものの、ニーズに応えることによって信頼を得てきました。
また、加工技術に加えて商品の品質そのものにも徹底してこだわり、余市町にある水産試験場で検査をおこなううち、
「骨を気にせず丸ごと食べられるニシンを作ってみたい」
と、水産試験場・大学研究室などの協力を得て商品開発を開始しました。
当初は不可能といわれていた骨までやわらかくなる加工技術は、地道な研究を粘り強く続けたのち、やわらか一夜干しにしんとして完成させました。
当初は湯せんで温める商品だったところ、より手軽に食べられる方法を模索し、現在のように電子レンジで温められるバージョンにグレードアップ。
常温で6か月間保存が可能なのも手軽に利用したい点です。
2019年には、「北海道新技術・新製品開発賞」で優秀賞を受賞、北海道知事より表彰を受けました。
子供からお年寄りまで、安心して魚を食べられるやわらか一夜干しにしんは、手軽な栄養食として余市を象徴する水産加工品となりました。
現在では、この技術を応用しほかの魚での商品開発も進めています。
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そのまま食べても、余市流「ヘリングサンド」でも!
やわらか一夜干しにしんは、現在、醤油味・塩味・キムチ味の3種。
このうち、4月にJR余市駅にある物産館「エルラプラザ」で購入した醤油味。
上品な甘辛い味付けは、ご飯のお供にぴったりで、ご飯を食べ過ぎたほどです。
今回は、塩味で"余市流ヘリングサンド"(勝手に命名)を作ってみました。
塩味のやわらか一夜干しにしんは、軽い塩味だけの味付けなので、レモンをかけたり、イタリアンドレッシングと野菜でマリネ風に食べたりと、洋食としてもアレンジ可能です。
個人的にサバサンドが好きなので、丸ごとにしんでは、より簡単に作れるのでは? と、トライしてみました。
材料は、
・「やわらか一夜干しにしん」塩味
・バゲット
・マヨネーズ
・マスタード
・ニンニク
・ピクルス
・オニオンスライス
・リーフレタスなど
・お好みでレモン・レモン汁・塩コショウ
味付けのコツは、マスタードやマヨネーズを適度に使用し、お好みでレモンやピクルスの酸味を利かせると。ボリュームのあるニシンをさっぱり頂くことができます。
骨を感じないほどやわらかいので、ピクルスとマヨネーズで敢えて、カナッペやオープンサンドにしてもぴったりです。
サバサンドから発想しましたが、北欧やオランダなどではヘリングサンド(本場では酢漬けニシンを使用)が定番料理としてあるそうです。
次回は、余市産ワインと余市流へリングカナッペを合わせてみたいと思いました。
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丸イ伊藤商店のやわらか一夜干しにしんは、余市町観光物産センターのエルラプラザで購入できるほか、オンラインショップ(余市町観光協会)の利用も可能です。
本州各地とも縁の深い余市町の味、ニシンをぜひやわらか一夜干しにしんで味わってみてください。
薄くて運びやすいので、北海道土産・余市町土産にもおススメです。
\t■有限会社丸イ伊藤商店・URL: https://itoushouten.jimdofree.com/■余市町観光物産センター エルラプラザ・住所: 北海道余市郡余市町黒川町5-43 JR余市駅直結・TEL: 0135-22-1515・営業時間: 9:00~18:00・定休日: 無休(11月~4月中旬までの冬期は月曜定休、月曜が祝日の場合は翌火曜が休業日)・URL: https://yoichicho.com/ |
筆者
北海道特派員
市之宮 直子
小樽生まれ、江別育ち、札幌在住のフォトライター。三度の飯より北海道を撮ることが好きな道産子北海道Loverです。
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