感動!ギリシャ「イア」で眺める水平線に沈む夕日
たしかに、夕日は世界中どこからでも見られ、わが家が住む町で見るものも十分に綺麗です。が、「水平線に沈む夕日」となると、まずは海辺に絞られてきます。
さらに、「周囲の景色と相まった夕日がステキすぎる!」と感動してしまう場所といえば、もう少し範囲が狭まってくるかと思います。美意識、感動の尺度はひとそれぞれですが、ギリシャはサントリーニ島のイア(Oia)で見るそれは、観客の多さからいっても「世界一綺麗な夕日(のひとつ)」と言ってしまってよいのではないでしょうか。
写真映えするのは日中
と言っておきながら、サントリーニの象徴である「青いドームの教会」を含めた白い建物の町並みを写真に収めるには、太陽がサンサンと降り注ぐ日中がおすすめです。
中心地のフィラ(関連記事)からは20分ほどで到着しますが、夕日を見るだけのために夕方行ってしまうと、せっかくの青と白の明るい色が夕闇に沈んで隠れてしまうからです。
もちろん、ドームのてっぺんについた十字架がシルエットとなった夕暮れの景色もロマンチックですが、できることならば欲張りに日中と夕方と両方目に焼きつけたい!ということで、ベストは遅めの午後と判断、実行に移した次第です。
バス代は片道€1.6、もともと席がある程度埋まらないと出発しなさそうでしたが、逆に言えば埋まると早々に出発してしまうので、バス停には早めの到着が必須です。
帰りにいたっては、夕日を見終わった観光客が一気に押し寄せるので満席で乗れないこともあり、やはり早めの行動がスムーズな移動の鍵を握ります。
ギリシャの宗教
青いドームを求めてまず目指したのは、バス停や町の中心から少し離れたギリシャ正教会(Saint Georgios Oia Holy Orthodox Church)。です。
ギリシャでは国民のおよそ92%が信仰するギリシャ正教が国教です。これは東方教会の一種で、カトリック教会、プロテスタント諸教会と並ぶキリスト教三大教派のひとつです。
厳密にはそのなかでも中東、東欧、ロシアを中心とする18の自立教会の連合体である、東方正教会(Eastern Orthodox Church)に属しています。
興味深いことに、信仰で2番目に多いのが国民の3%に当たる「無宗教」論者で、以下イスラム教(同3%)、他宗教(2%)と続きます。海外にいると「無宗教」と言うことがはばかられる場面にしばしば遭遇するのですが、このように統計上にハッキリと書かれているほど認知されているのには、なんだかホッとしました。
ギリシャでは近年このような無神論者が増えているようで、その名も「ギリシャ無神論者連合(The Atheist Union of Greece)」なるものがあるそうですが、個人的な信条を固定されるのを嫌がり登録を望まない人も当然いるようです(参照:Chepkemoi, J. “Religious Beliefs In Greece” WordAtlas, Aug, 2019.)。
目玉をモチーフにした魔除け「マティ」
信仰といえば、サントリーニ島では土産店の軒先などに、青い目玉のようなものを模したアクセサリーやオブジェ、イラストを多く目にしました。
これは「イーヴィル・アイ(Evil Eye)」という魔除けで、ギリシャ語では「マティ」(Mάτι)と言います。「妬みや悪意のこもった視線が災いをもたらす」という古代ギリシャから伝わる「邪視」という信仰で、人によっては「よその子の誕生に対する憧れ」といった単純な感情ですら呪いに繋がる、と畏れられていたそうです。
モチーフが一様に青色なのは、緑や青い目がとりわけ災難を引き起こすと信じられていたからだといいます(参照:“What You Need to Know About the Greek Evil Eye (Mati)”Greek Boston.)。
私も旅の記念にどこかでひとつ、と探していたのですが、なにせどこへ行ってもマティだらけ。迷いに迷った挙げ句、おしゃれなオーナー自らが作品のほとんどをデザインするという、「Bligaki」というハンドメイド雑貨店でネックレスを購入しました。
商品はもとより、すてきだと憧れたのは、店内突き当たりのソファコーナー。開け放った正面の窓からは遮るもののない真っ青な海が見え、サイドの窓からはイアの白い町並みが望めます。
「ちょっとここから見てもいいですか」と思わず聞くと、快諾どころか私の写真まで撮ってくれました。むしろ美しい彼女を撮りたいと思ったので撮影をお願いしたら、愛犬とともにポーズをきめてくれました。う、美しい……このお店の雰囲気にぴったりマッチしています。
◼️| (Bligaki)
・住所 | Oia(小学校近く)84702, Oía, Greece
夕日スポット
訪れた10月末の時期は、毎日17時半頃から日が落ち始め、完全に日が沈み切る日没時間はだいたい18時半でした。秋の日暮れどきが「つるべ落とし」と言われるように、日が落ち始めてからはあっという間なので、その瞬間をゆっくり落ち着いて見るためには早めによいスポットを探しスタンバイしておく必要があります。
ハイシーズンの夏場は2、3時間前から人だかりができると聞いていましたが、ピークを越したこの時期はそこまでではなく、18時頃でも辛うじて立つスペースはありました。それでも現地はこの写真のような有り様。
狭い通路にギチギチで、下には落下防止の金網があることにも納得です。人混みでの事故に巻き込まれないよう、足元には気をつけてください。
歩きながら複数の箇所で見ましたが、帰りの足を気にして沈み切る直前に、後ろ髪を引かれながらもバス停に向かいました。イアには崖沿いに並ぶ豪華なホテルがたくさんあるので、特別な記念旅行では宿泊するのもよいでしょう。
実際、ホテルのプールに入りながら夕日を眺めているハネムーンらしきカップルをときおり目にしました。夕飯をイアでとることにも憧れます。
なお、立ち話で聞いた話ですが、フィラから海沿いに歩いて行く人もいるらしく、「ちゃんと整備された道があるし、景色を見ながら歩くのはとても気持ちがよかった」とのことなので、時間と体力がある方はお試しあれ。
筆者
イギリス特派員
パーリーメイ
2017年よりロンドン南部で家族と暮らしています。郊外ならではのコスパのよいレストラン、貴族の邸宅、城めぐり、海沿い情報などが得意です。
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