あなたはいくつ知っていますか?フランス発祥のグルメとその名店
パリから地方まで、フランスは各地においしいものがあふれています。エスカルゴ、ブイヤベースなど一度は耳にしたことがある料理名も多いはず。各地の定番料理と、それを楽しめるパリのレストランをまとめました。
パリ生まれの定番朝食クロック・ムッシュー
クロック・ムッシューとは、バターを塗った食パンにチーズとハムを挟み、ベシャメルソースをかけてオーブンやフライパンで焼いたサンドイッチの一種です。クロックはフランス語で「カリカリの」、そしてムッシューは「紳士」の意味。これに目玉焼きを乗せるとクロック・マダム(マダムとは「婦人」の意味)になります。
パリ市内のカフェで生まれたとされ、今ではフランスのカフェやブラッスリー、ビストロでは定番の料理です。元はグリュイエール・チーズにボンレスハムを挟んでいたのですが、今ではコンテやミモレットといったチーズ、ハムも生ハムや鶏肉、サーモンなど、お店によってさまざまに工夫されています。
定番メニューですので、町なかにあるカフェ(特別なカフェではなく地元の人が集っていそうな、よくある感じのカフェ)ならメニューに載せているところが多いです。それでもこだわりたいなら、クロック・ムッシューをメインにしている「フリックフラック」へ。サンマルタン運河沿いとモンマルトルにお店を構えています。
- FRIC-FRAC(フリックフラック)
- 住所
- 79 Quai de Valmy 75010
南西部で多く生産されているフォアグラ
フォアグラは、特殊に飼育されたガチョウやガチョウの肝臓のことです。フランス料理では前菜としてそのまま出されたり、料理にアクセントして使われます。華やかな機会での料理に出されることも多く、クリスマス時期になると小売店の店頭には、たくさんのフォアグラが並びます。
フォアグラの生産には、肝臓を肥大化させるためにトウモロコシなどの餌を大量に食べさせるガバージュという方法が取られ、その生産方法は動物福祉などの観点から議論が起きています。これを理由にフランスにおいてもフォアグラを食べないようにしている人もいます。
定番料理のためフォアグラを扱うレストランや商店は多いですが、フォアグラを主にして食べてみようと思うなら、モントルグイユ通りにある「ル・コントワール・ド・ラ・ガストロノミー」へ。フォアグラを中心とした食材の専門店で、併設するレストランではフォアグラを使った料理も提供しています。同店の近くには、パリのグルメストリートであるモントルグイユ通りがあるので、あわせて訪れてみましょう。
- Le Comptoir de la Gastronomie(ル・コントワール・ド・ラ・ガストロノミー)
- 住所
- 34 Rue Montmartre 75001
エスカルゴはワインで有名なブルゴーニュ名物
典型的なフランス料理のイメージでありながら、日本人的には少し敷居が高いと感じるのがエスカルゴではないでしょうか。食用のカタツムリに、パセリやニンニクなどのみじん切りを練りこんだバターを詰め込み、オーブンなどで焼いたものです。
エスカルゴの本場は、ワインで有名なフランス中部のブルゴーニュ。多くのお店で使われるものは、食用のカタツムリですが、野生のカタツムリを出しているお店もあります。野生の場合はメニューに「Sauvage(野生の)」と表記されているはずなので、特にエスカルゴ初心者の方はメニューのチェックをお忘れなく!
ほかの料理と並んでエスカルゴを出しているレストランは多いですが、エスカルゴにフォーカスして味わってみたいなら専門店へ行ってみましょう。エスカルゴというと通常はひとつの味付けしか出していないところがほとんどですが、パリ市内モントルグイユ通りのレストラン「レスカルゴ・モントルグイユ」ではトリュフ味やフォアグラ味など、バラエティに富んだエスカルゴを食べることができます。
シタビラメのムニエル
フランスで魚料理においてよく使われるシタビラメ。その定番調理法がムニエルです。小麦粉をまぶして焼いたシタビラメにパセリのみじん切り、焦がしバターとレモン汁をかけた料理です。シタビラメのムニエルは、ヴェルサイユ宮殿を建て太陽王とよばれたルイ14世の治世に宮廷内で人気を博したそうです。
胃が疲れていて重めの肉料理は避けたいという時に重宝しますし、日本人の味覚からも遠くない味付けですのでおいしく食べられます。
シタビラメのムニエルを目当てにパリ市内のレストランへ行くなら、魚料理の専門店へ行ってみましょう。料理人アラン・デュカスがプロデュースする魚料理のレストラン「レッシュ」なら、シタビラメのムニエル以外にもフランスの魚料理を存分に堪能できます。なお同店でシタビラメは2名での注文が必要。当日のシタビラメの大きさによって価格が変わります。
- Rech(レッシュ)
- 住所
- 217 Boulevard Saint-Germain 75007
南仏マルセイユで盛んな料理、ブイヤベース
カサゴ類などトゲや毒があり、そのままでは商品にならない魚をごった煮したことが由来のブイヤベース。漁業が盛んな南仏地中海沿いの料理で、マルセイユの名物料理です。魚介をオリーブ油、ニンニク、サフランなどを入れ、トマトやジャガイモなどの野菜と一緒に煮込みます。魚と野菜のうま味が凝縮した味で、日本人にもファンが多い料理です。
もしブイヤベースを食べてみたいなら、本場マルセイユへ行くことをおすすめします。マルセイユの旧港の広場で、水揚げしたばかりの大小様々な魚を広げて売っている漁師さんたちの様子を見ていると、ブイヤベースがマルセイユの名物だということがとても実感できるはずです。
どうしてもパリにしか滞在する予定がないという時は、地中海料理を扱うミシュラン1つ星のレストラン「バイエタ」はいかがでしょうか。ブイヤベースを含んだコース料理(4皿で€100)を提供しています。
- Baieta(バイエタ)
- 住所
- 5 Rue de Pontoise 75005
ドイツ文化と混ざり合うアルザスのシュークルート
シュークルートはキャベツを千切りにして塩漬けし発酵させた料理で、ドイツだとザワークラウトとよばれ、アルザス地方を代表する料理です。ソーセージやベーコン、ジャガイモなどの付け合わせと出てきます。肉以外にも魚介を付け合わせにすることもあります。
シュークルートを注文するとまずその見た目で圧倒されるはず。大量のキャベツとともに、ソーセージやジャガイモなどが、どんと盛られています。もし食べ切れるか心配な場合は、前菜を頼まずにシュークルートのメインディッシュから始めてもいいかもしれません。
アルザス地方の町へ行けば、どこのレストランでも大抵はシュークルートをメニューに入れています。パリでもアルザス料理を扱っているレストランへ行けば食べられます。例えば、パリ市内バスティーユにある「ボファンジェ」は、アルザス料理と魚介を専門とするレストランで、肉または魚介のシュークルートを食べられます。また店内は、アール・ヌーヴォー様式の美しいインテリアが食事の気分をさらに高めてくれます。
- Bofinger(ボファンジェ)
- 住所
- 5-7 Rue de la Bastille 75004
ジャガイモを使ったオーブラックの郷土料理アリゴ
アリゴはニンニクで香りを付けたマッシュポテトにチーズを混ぜ合わせた料理。ステーキなどの付け合わせで出てきます。見たことがあったり、アリゴという名前を知らずに食べていた人も多いのではないでしょうか。マッシュポテトとチーズという鉄板の組み合わせのため、日本人にも馴染みがあり、また美味しく食べられる料理です。
アリゴの故郷はフランス南部のオーブラック。オーヴェルニュ地域圏の南、ラングドック・ルシヨン地域圏の北、ミディ・ピレネー地域圏の東の境をまたぐエリアです。この地方は昔からチーズが有名であり、また牛肉の産地としてもフランスで広く知られています。
パリでアリゴを食べるなら、オーヴェルニュの郷土料理を扱うレストラン「アンバサダード・ドーヴェルニュ」に行ってみましょう。店名を日本語に直すと「オーヴェルニュ大使館」となるのですが、その名前らしく内装から料理までオーヴェルニュ地方が満載。サレール牛、アヴェロンの子羊、フロム・ダンベール(青カビのチーズ)などオーヴェルニュ地方の食材が満載で、パリにいながらにしてオーヴェルニュ地方を味わえます。
- Ambassade d’Auvergne(アンバサダード・ドーヴェルニュ)
- 住所
- 22 Rue du Grenier Saint-Lazare 75003
キッシュ・ロレーヌはスイーツの宝庫ロレーヌ地方が発祥
フランスのどこのパン屋やエピスリー(惣菜屋)、シャルキュトリー(食肉加工販売店)を訪れても、必ずといっていいほど店頭に並んでいるのがキッシュ・ロレーヌ。パイ皿にパイ生地を敷き、そこにベーコンとチーズなどを入れて、塩と胡椒などで味付けした泡立てた卵と生クリームを流し込んでオーブンで焼いたものです。
その名の通りフランス東部ロレーヌ地方で生まれた料理です。キッシュ・ロレーヌは塩味ですが、ロレーヌ地方はスイーツが有名で、マカロンはロレーヌ地方の町ナンシーが発祥地です。卵味のタルトですので、アリゴ同様に日本の食文化と比べても身近な味で、多くの人がおいしく食べられるはずです。
パリ市内に滞在していれば手軽に手に入れることができる料理ですが、しいてお店を挙げるならパリに数店あるシャルキュトリー「メゾン・ヴェロ」など。フランスは肉製品が美味しい国ですから、キッシュ・ロレーヌと一緒にテリーヌや生ハムなど、肉製品をいろいろ買ってみて、ホテルでその日の夕食にしてもいいですね。
- Maison Verot(メゾン・ヴェロ)
- 住所
- 3 rue Notre-Dame des Champs 75006
監修:地球の歩き方
筆者
フランス特派員
守隨 亨延
パリ在住ジャーナリスト(フランス外務省発行記者証所持)。渡航経験は欧州を中心に約60カ国800都市です。
【記載内容について】
「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。
掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。
本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。
※情報修正・更新依頼はこちら
【リンク先の情報について】
「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。
リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。
ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。
弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。