
【イタリア】フィレンツェのオルサンミケーレ教会
2022年最後の私の記事となります。一年を締めくくる記事テーマを何にするか迷いましたが、
平和への祈りの気持ちを込めて、オルサンミケーレ教会を取り上げたいと思います。
大聖堂からシニョリーア広場に行くカルツァイオーリ通りにあるオルサンミケーレ教会。
その名前の由来でもあり、かつての民衆の拠り所であったサン・ミケーレ・イン・オルト(菜園畑の大天使聖ミカエル)礼拝堂があったところに、1290年建築家アルノルフォ・デル・カンビオの設計による小麦市場の開廊(ロッジア)が作られました。
1380年にこの開廊は教会として利用されることになったので、開いていたアーチがふさがれて、その後15世紀から17世紀にかけて、外壁4面にドナテッロをはじめとするさまざまな芸術家達によって、同業職人組合の守護聖人のブロンズ像や大理石像が14箇所に作られて設置されました。

ドラゴンを退治して生贄だったお姫様を助ける伝説の聖人です。
武器・武具を身につけた凛々しい聖ゲオルギウスを守護聖人としました。

聖ピエトロは肉屋商工会の守護聖人。
現在、この外壁面に設置されている像は複製で、本物の像はオルサンミケーレ教会の2階にある展示室と一部は他の博物館に展示されています。
教会内には、14世紀に作られたオルカーニャによる天蓋型礼拝祭壇があり、金と大理石で装飾された祭壇中央に置かれた祭壇画「慈悲の聖母」はジョットの弟子、14世紀のベルナルド・ダッディによる作品です。
小麦の市場として使われていた名残が、内部の壁の一部に小麦の取り出し口があり、その姿を今も見ることができます。かつての聖ミカエルに捧げた民間の礼拝堂が、小麦市場になり、その後教会へ姿を変えてからも、職人組合の守護聖人の像を設置し、内部装飾も職人商工組合がスポンサーとなって、それぞれの守護聖人に人々が「願掛け」を行っていました。その常に信仰の中心になっていたのは、聖母マリア様です。
古くから貧しさや戦い、疫病などの苦しみに対して祈り、人びとの生活が平和により豊かになるように願いを捧げていく人びとの心の拠り所になっていきました。

聖母の手にバラの花、幼児キリストも花を触っています


入場料:一般4ユーロ、18才以上25才のEU加盟国登録住民2ユーロ。
オルサンミケーレ教会は、博物館になっており、火曜日と土曜日の一部時間のみ開館しています。
オリジナルの聖人像と最上階から見えるパノラマを見に、チャンスがあったら訪れてみてください。

筆者
イタリア特派員
白崎和恵
名古屋出身。フィレンツェ公認観光ガイド。芸術・歴史文化・グルメ情報、旅行や長期滞在のヒントになるような話題をお届けしていきます。
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