まるでおとぎ話の世界! スペインの魅力あふれる小さな田舎町5選

公開日 : 2023年01月24日
最終更新 :

スペインには、特に由緒ある観光名所はなくとも味わいのある小さな町が点在していることで知られています。スペイン通ならきっと“お気に入りの小さな町”があるはず。今回は、日本のガイドブックではほとんど紹介されていない魅力あふれる小さな町をご紹介いたします。

天空の城を抱くモレージャの町

山地にあるモレージャの標高はおよそ1000m
©iStock
山地にあるモレージャの標高はおよそ1000m
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カステジョン県の内陸にあるモレージャ〈Morella〉を目指して山道を進むと、遠くに見えてくる天空の城。町はその城の裾に広がります。こんな不便な場所にあるにも関わらず、その昔バレンシア王国では3番目に栄えていた町だったのだとか。それは歴史を感じる重厚な建物や素晴らしい教会があることからも伝わってきます。13~14世紀にかけて建てられたサンタ・マリア教会は中に入ると思ったより広く、また内装の美しさに目を奪われます。もちろんお城に上ることもでき、頂上からの眺めは抜群!! 石畳のMarquesa de Fuente el Sol(マルケサ・デ・フエンテ・エル・ソル)通りは古い趣を残したアーケード街になっていて、バルやレストランが並んでいます。私はそこから一本裏に入ったLa Fondaというレストランで食事をしましたが、味も雰囲気も良かったです。この辺りでは黒トリュフがとれるので、シーズンには黒トリュフ料理を味わうことができるのもモレージャの醍醐味のひとつと言えるでしょう。

モレージャ
アクセス
カステジョンのバスターミナルからAutos Mediterraneo社のバスで所要時間約2時間。1日2便。
ウェブサイト
https://www.morella.net/morellaturistica/

蛇行するフーカル川の渓谷に張り付いたアルカラ・デル・フーカル

アルカラ・デル・フーカルの幻想的な夕暮れ時
©iStock
アルカラ・デル・フーカルの幻想的な夕暮れ時
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アルカラ・デル・フーカル〈Alcalá del Júcar〉はアルバセテ県の山奥に立地。蛇行するフーカル川が長い年月をかけて浸食した渓谷に張り付くよう白い家々が並びます。よーく見てみると、岩に飲み込まれたような家も。というのも、冬温かく夏涼しいことから昔から洞窟を住居として活用しているのです。お城から4分ほど下ったところには観光用に公開されている悪魔の洞窟〈Cuevas de Diablo〉があり、入ってみるとその広さに驚きます。中で繋がっているガラデン王の洞窟は、今から800年ほど前に掘られたとのこと。洞窟の中には展示品があったり、バルやテラスもあるのでぜひ入場してみてください。この町はライトアップされた夜景が美しいので、一泊することをオススメします。

アルカラ・デル・フーカル
アクセス
アルバセテからバスでカサス・イバニェスまで行き、タクシー(要事前予約)で約20分。もしくはアルバセテ駅からタクシーで約55分。
ウェブサイト
https://alcaladeljucar.net/

昔の面影を残すかわいらしいラ・アルベルカの町

ラ・アルベルカのマヨール広場に立つ石の十字架
©iStock
ラ・アルベルカのマヨール広場に立つ石の十字架
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おとぎ話に迷い込んだようなラ・アルベルカの町
©iStock
おとぎ話に迷い込んだようなラ・アルベルカの町
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スペイン西部サラマンカ県にあるラ・アルベルカ〈La Alberca〉は、おとぎ話に出てきそうな時間の止まった町。石畳の道に、山のロッジを彷彿させる木材が特徴の古い石造りの家々が並んでいます。細い道を散策していると、セピア色の古いヨーロッパ映画のワンシーンに入り込んだような錯覚を覚えます。小さな町にも関わらず古い教会や聖堂が何軒かあることからは、町の長い歴史が伝わってきます。町の中心は、石の十字架が立つ石畳のマヨール広場。まわりを囲む建物のアーケードにはバルやレストランのほか、市役所や観光案内所もあります。時間に追われず、のんびりと1日を過ごすにはもってこいの町です。また、ラ・アルベルカはイベリコ豚の生ハムでも有名。日本には持ち帰れないので、ここでしっかり食べて行きましょう。

ラ・アルベルカ
アクセス
サラマンカからComes社のバスで平日は1日2便、土日祝日は1便。所要時間約1時間。
ウェブサイト
https://laalberca.com/

クディジェロはビスケー湾に面する美しい漁村

まるで一枚の絵画のようなクディジェロの町
©iStock
まるで一枚の絵画のようなクディジェロの町
©iStock

雨が多く緑深い北スペイン。クディジェロ〈Cudillero〉はアストゥリアス県にある小さな漁師の町です。山の斜面に立つカラフルな家とレンガ色の屋根が美しい風景を織りなしています。絵心がある人だったら、描いてみたくなること間違いなし。海の水も透き通っていてとてもきれいです。今では観光客が訪れるようになったので、海沿いの広場にはレストランやバルが並びます。ここに来たらぜひともおいしい海の幸をいただきたいもの。見た目がちょっとグロテスクな高級海産物のペルセベス(亀の手)も食べることができます。町には5つの展望スポット(mirador)があるので、ぜひ登ってすばらしい景気を楽しんでください。

クディジェロ
アクセス
ALSA社のバスでオビエドから1日約10便運行(土日祝日は2便)、所要時間は1時間半~2時間。ヒホンからも1日約10便運行(土日祝日は2便)、所要時間は1時間15分~1時間40分。
ウェブサイト
https://www.turismocudillero.com/

アンダルシアらしい丘の上の白い町オルベラ

日本人がイメージするスペインの白い町そのもののオルベラ
©iStock
日本人がイメージするスペインの白い町そのもののオルベラ
©iStock

アンダルシアには青い空にマッチする美しい白い町がたくさんあるので、どこにするかとても迷いました。そして選んだのが、カディス県北東の端にあるオルベラ〈Olvera〉。小さな町と言っても人口は8500人なので、今回ご紹介する5つの町では一番大きいです。オリーブ畑に囲まれた丘にある白い町で、18世紀末に完成した聖母エンカルナシオン教会とアラブ時代のお城が圧倒的な存在感を漂わせています。教会とお城の間にある広場は見晴らしのいい展望スポットになっていて、町やオリーブ畑、遠くにはカディス山脈を見ることができます。町の名前OLVERAの文字モニュメントも立っているので、写真を撮るのをお忘れなく。車があれば、少し離れたところから町の全景を見ることもオススメします。

オルベラ
アクセス
Damas社のバスでマラガ-オルベラ間は1日1便運行、所要時間2時間10~2時間半。Comes社のバスでカディス-オルベラ間は1日1便運行、所要時間3時間15分前後。オルベラの周辺にはほかにもフォトジェニックな白い町がいくつもあるので、レンタカーでまわるのが理想です。
ウェブサイト
https://www.turismoolvera.es/

自分のお気に入りの小さな町を見つけよう

テルエル県にあるアルバラシンも人気の小さな町
©iStock
テルエル県にあるアルバラシンも人気の小さな町
©iStock

いかがでしたでしょうか? スペインでは2011年にAsociación los Pueblos más Bonitos de España(スペインでもっとも美しい村々協会)が設立され、この協会に認定されるとスペインでもっとも美しい村を名乗ることができます。なかなか審査は厳しいようで、これまで申請があった中の2割だけが認定を受けることができたのだとか。田舎町が好きな方は、この協会のサイトを参考にどうぞ。今回ご紹介したところを含め、現在105の村が掲載されています。また、地球の歩き方ガイドブックにも、小さな町情報は掲載されています。

ほぼどこもアクセスの悪いことがネックですが、ぜひ“お気に入りの小さな町”を見つけてくださいね。

※アクセス情報は2022年9月現在のものです。行かれる前に必ず最新情報をお調べください。

筆者

スペイン特派員

田川 敬子

東京生まれの東京育ち。オリーブオイル専門家としてスペインと日本で活動するほか、複数のウェブサイトにスペイン情報を寄稿。

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