【イギリス】今一番ホットな新観光スポット・バタシー発電所徹底ガイド
前2回の記事ではチェルシーをご紹介しましたが、今回紹介する「Battersea Power Station(以下、バタシ―発電所)」はチェルシーのテムズ川を挟んで反対側にあります。新装されたバタシ―発電所は2022年10月にオープンしたばかり!2021年9月には地下鉄の新駅Battersea Power Stationも開通して、盛り上がっているロンドナーに人気のエリアです。バタシ―発電所はその名の通り、もともとは本当に発電所として使用されていましたが、現在は新しい投資家のもと複合商業施設として生まれ変わりました。ただのショッピングモールかと思いきや、発電所時代の遺産をうまく取り入れて現代的に生まれ変わらせた、見どころ満載の魅力的なスポットになっています!それでは知的好奇心が刺激される発電所の中を覗いてみましょう。
絶景アトラクションでえんとつの頂上へ
高層ビルには展望デッキがつきもの。しかし、このバタシ―発電所の「Lift 109(リフト109)」は少し変わっています。バタシ―発電所の建物のトレードマークといえば白い4本のえんとつですよね。このアトラクションは、なんとこの正面右側のえんとつに登ります!えんとつの円周にぴったりはまる形のガラス張りエレベーターでえんとつ内を昇っていくので「リフト(エレベーター)」という名前になっており、スカイガーデンやシャードなどにある固定型展望ラウンジとは異なるスタイルです。エレベーターに乗れる人数は限られているので要予約。ちなみにえんとつの高さが109メートルなのでリフト109、某東京渋谷のランドマークとは特に関係ありません。イギリスらしいシンプルなネーミングですね。
予約時間になったら待合スペースに集合します。スペースにはバタシ―発電所の歴史に関する小さなギャラリーがあり、なかなか楽しめます。しばらくするとアトラクションが始まって、最終的に小さなグループでえんとつ内をエレベーターで昇り、えんとつの頂上で360度のテムズ川沿いの絶景を10分ほど満喫して、また下に降りてきます。言葉にするとシンプルなのですが、音響やライティングなど趣向が凝らされていて、まるでディズニーランドのアトラクションに乗っているかのようでワクワクします。筆者が訪問した際にもエレベーターが頂上に近づくにつれて乗客の興奮のボルテージが高まり、絶景にたどりついた時には歓声があがっていました!(ちょっとネタバレです)そんなに期待してなかったけど行ってみたら楽しかった!という声が多数です。帰り道のお土産ショップも充実の品ぞろえで、発電所デザインのクールなTシャツやロンドン名物のジンのボトルなどが売られていました。
週末は特に混み合うので、好きな時間を選びたいのであれば数日前までの予約をおすすめします。
Lift 109
- 住所
- Battersea Power Station, Circus Rd W, Nine Elms, London
- アクセス
- Battersea Power Station駅から徒歩7分
元コントロールルーム(制御室)・今はハイセンスなバーで電気カクテルを楽しむ
発電所の制御室をそのまま洗練されたバーにしてしまったのがこちらの「Control Room B(コントロール・ルーム・ビー)」です。1950年代に作られ、制御室Aとともに1970年代まで発電所で作られた電気をロンドン中に配分するために実際に使用されていたコントロール・パネルの横に座ってオリジナル・ドリンクを楽しむことができます。このコントロールデスクは1965年のビートルズの映画「Help!」でも背景に使用されたもので、古いSF映画などに出てきそうでワクワクします。
スタッフの方も茶色い作業着スタイルの服を着ているのがチャーミング。メニューもユニークで、スチール製のバインダーに挟まれ、新人エンジニア向けの操作マニュアル風になっています。さらにカクテルのページはプロトコル形式になっており、各項目を「イエス」・「ノー」でたどっていくと好きなカクテルを選べるようになっています。印象的なカクテルの名前の数々は「ハイボルテージ」「66,000ボルト」「再生可能エネルギー」など、およそ他の場所で見ることがない名前ばかり。心配しなくても、ちゃんと美味しいですよ。
遊び心が満載のコントロール・ルーム・ビー、メザニン階で眺めもいいのでぜひ訪れて発電所エンジニア気分を味わってみてください。なお、筆者が行ったタイミングではスムーズに入れましたが、友人はかなり並んだと言っていたので、予定が決まっている場合は予約した方が無難かもしれません。
Control room B
- 住所
- Upper Ground Turbine Hall B, 270 The Power Station, Circus Rd W, Nine Elms, London
- 電話番号
- +41 (0) 20 7590 3606
- アクセス
- Battersea Power Station駅から徒歩7分
ロンドンらしいフュージョン・ファーストフードでお腹を満たす
バタシ―発電所には大型チェーン店以外のレストランがまだ少ないです。今後Arcade(アーケード、現在トッテナム・コート・ロードにあるフードホール)なども入る予定のようなので楽しみですが、現在の一押しはこちらの「Le Bab(ル・バブ)」です。ル・バブはロンドン市内に6店舗を構えるおしゃれケバブのお店です。2016年にソーホーでスタートしたル・バブは、ミシュランの星付きレストランで働いていたシェフがケバブを提供する唯一の店として瞬く間に人気店の地位に上りつめました。その特徴は中東伝統の炭火焼調理法を残しつつも世界中の素材を取り入れたフュージョン・スタイルの「全く新しい」ケバブです。最もメジャーなシシカバブは、鶏肉のケバブに、鶏皮のクリスピー揚げ、ハーブヨーグルト、赤キャベツ、きゅうりとセロリのサルサ、コリアンダーとスイートチリ・マヨネーズが入ったものです。中東と南北アメリカ大陸のフュージョンで美味しかったです。前菜ではトルコ・韓国風フライトチキンなんていうインターナショナルな一品も。一方で中東の伝統的なフムス(ひよこ豆のペースト)もあります。ロンドンならではのごちゃまぜ感ですね。
ちなみに人気店なので筆者が行った際には15分待ちくらいの列ができていました。サクッと食べられるけど、新しい発見のあるファースト・フード、ぜひお試しください。
Le Bab
- 住所
- Turbine Hall A, Level 1, Battersea Power Station, London
- 電話番号
- +44 (0) 79 4424 2329
- アクセス
- Battersea Power Station駅から徒歩7分
宇宙船テイストのお店でサステイナビリティ最前線に触れる
散策中に見つけたこちらのお店は、バタシ―発電所が初めての路面店である「Petit Pli(プチ・プリ)」という新進気鋭のイギリスのファッション素材ブランドです。2017年に宇宙エンジニアのYasin氏がスタートしたプチ・プリのコンセプトは「成長と共に育つ服」。どういうこと?と思いますよね。実は秘密は人工衛星で使用されている折り紙の技術「ミウラ折り」の技術を洋服に応用した素材なのです。人工衛星は限られたスペースに太陽光パネルを収納して必要な時に展開する必要があります。プチ・プリの創業者は、40%の衣料品がサイズが合わないために返却されて殆どが廃棄されたり、子供服が成長につれてすぐに着られなくなってしまうというファッション業界が抱える構造的な問題に取り組むべく、この折り紙技術を応用したファッション素材を作る会社を設立しました。下の子供用のズボンの写真がわかりやすいですが、赤いズボンと柄のズボン、どちらも完全に同じサイズなのですが、折り紙構造を広げていくと、あら不思議、ズボンの丈が長くなります。ウェストも調整可能になっているので、何とこのズボンは9か月から4歳まで履けるのだそうです。しかもウォーター・プルーフです。素材はリサイクルされたプラスチックで作られており、製造しているポルトガルの工場も100%グリーン・エネルギーを使用しているというから徹底しています。イギリスの若い世代の人はこういったサステイナビリティに関心が高い人が多いです。
子供服だけでなく、女性用の服(妊娠中でもお腹が大きくなるのに合わせて服も大きくなる)や、2020年にTime誌のBest Inovation 100に選ばれた、どんな顔の形にもピッタリとフィットするマスク(こちらも折り紙技術を使用しています)なども販売していますので、こちらの路面店でサステイナビリティの最前線を手にとってみてください。
Petit Pli
- 住所
- Upper Ground Floor, Turbine Hall B, Battersea Power Station, London
- アクセス
- Battersea Power Station駅から徒歩7分
無料エキシビジョンで発電所の再開発計画について学ぶ
こちらの無料エキシビジョンではバタシ―発電所が電力供給の役目を終えてから現在の姿に生まれ変わるまでの過去40年間の再開発計画の経緯を学ぶことができます。
1929年にロンドンの人口増加と共に拡大した電気需要を補うべく建設されたバタシ―発電所。なんとピークの際にはロンドンの20%の電気需要を供給していました。ちなみに発電所をデザインしたのはロンドン名物の赤い電話ボックスと同じSir Giles Scott氏です。そのアイコニックなデザインから発電所の建物は数々の音楽や映画で使用され、最も有名なものがイギリスの有名ロックバンド「ピンク・フロイド」の「アニマルズ」というアルバムのジャケット(バタシ―発電所の上空に浮かぶブタ)です。
1983年に発電所はその役目を終えてクローズし、2012年に現在のマレーシアの株主に所有が移ってから、周りのエリアも含めた大規模な開発が始まりました。最終的にGrade2の重要建造物であるオリジナルの発電所の建物を完全に残す形となりましたが、再開発案の中にはテーマパークやサッカー場にする案からエコドームを使用した近未来的な住居・オフィススペースを作成する案まで様々なアイディアがあったというから驚きです。
更にエキシビジョンの正面には、こじゃれた店舗に囲まれたスペースに実際に使用されたサーキットブレイカーが鎮座しています。
Power of Place Exhibition
- 住所
- Battersea Power Station, Circus Rd W, Nine Elms, London
- アクセス
- Battersea Power Station駅から徒歩7分
いかがでしたか?広大なバタシ―発電所にはまだまだ空きスペースがあり、これから更に魅力的なお店が増えていく予定です。周辺も新地下鉄駅が2021年にできたばかりということもあり、これからますます発展していく注目エリアです。屋根があり、雨の日でも安心ですので、進化を続けて目が離せないバタシ―発電所にぜひ遊びに来てください!
筆者
イギリス特派員
kaede
アフタヌーンティーやロイヤルファミリーだけではない、多様性あふれる、ダイナミックでゆるーいロンドンの姿を紹介していきます。自分の友達が遊びに来たら連れていきたい、真のおすすめスポットのみ掲載していくのでぜひご覧ください。
【記載内容について】
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