「地球の歩き方」的「インディ・ジョーンズ」の旅! ~①『インディ・ジョーンズ/レイダース 失われたアーク《聖櫃》』編~

公開日 : 2023年06月06日
最終更新 :

1981年の公開からスタートした映画「インディ・ジョーンズ」シリーズは、ハリソン・フォード演じる主人公の考古学者が、自身に降りかかるさまざまな危機に立ち向かいながら宝物を手に入れる冒険物語。スクリーンには、実在する世界各地の名所や史跡も次々と現れ、映画ファンはもちろん、旅好きにとっても見応え抜群な内容になっている。2023年6月30日には全世界同時公開となる最新作『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』の公開を控えた「インディ・ジョーンズ」シリーズより、今回はシリーズ第1作『インディ・ジョーンズ/レイダース 失われたアーク《聖櫃》』から、「地球の歩き方」が冒険の旅にご案内!

シリーズ第2作『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』の旅はこちら
シリーズ第3作『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』の旅はこちら
シリーズ第4作『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』の旅はこちら
シリーズ最新作『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』の旅はこちら

密林の奥に眠る「黄金の像」

黄金の像と対面!
© & TM 2023 Lucasfilm Ltd. 黄金の像と対面!

最初の舞台は南米の遺跡。インディが「黄金の像」なる秘宝を手に入れるための奮闘が印象的なシーンだ。さて、物語に登場する遺跡のイメージをたどるなら、南米ペルーの「チャビン・デ・ワンタル」をおすすめしよう。3000年ほど前に栄えた宗教都市で、ユネスコの世界遺産にも登録されている。

チャビン・デ・ワンタルのランソン像と地下通路
©グルーポ ピコ 武居台三 チャビン・デ・ワンタルのランソン像と地下通路

「チャビン・デ・ワンタル」は石造りの建物が並ぶペルーの遺跡。一見すると地味に思える外観だが、ユニークなのはいくつもの地下室があること。幅1mほどの通路が迷路のようになっているのも、インディの世界観にピッタリだ。高さ4.5mのランソン像は、長い牙をもち蛇の髪を垂らした御神体。おお、インディも蛇には悩まされていたではないか!

地下神殿の壁面にはレリーフが
© & TM 2023 Lucasfilm Ltd. 地下神殿の壁面にはレリーフが

いやいや、作中に登場する遺跡のあちこちに施されたレリーフからは、中米メキシコのイメージも捨てきれぬ。神の顔のレリーフなら「ウシュマル遺跡」。ドクロのレリーフは「チチェン・イツァー遺跡」や「テンプロマヨール」に通じるものがあるので、ぜひ現地に行って確かめてほしい。これらのレリーフや壁画をまとめて見学できる、メキシコシティの「国立人類学博物館」もおすすめ。

国立人類学博物館に展示されているケツァルコアトル神殿のレプリカ
国立人類学博物館に展示されているケツァルコアトル神殿のレプリカ

■国立人類学博物館(メキシコシティ)

太平洋を超えて冒険の旅へ!

© & TM 2023 Lucasfilm Ltd.

スクリーンには、世界中を駆け回るインディの姿を象徴するように、飛行機の姿や飛行経路が映し出される。
彼のような命がけの冒険は無理だけど、やっぱり旅はいいね!

ネパールでかつての恋人と再会

カイロで聖櫃(アーク)の発見を任されたインディは、手がかりの杖飾りを求めてネパールへ飛ぶ。

エベレスト登山の玄関口ナムチェ・バザール
エベレスト登山の玄関口ナムチェ・バザール

ネパールのシーンでは、スクリーンの左にチョルテン(チベット式の仏塔)が映っているので、シェルパなどチベット系の人たちが暮らす村なのかな? と推測しながら観るのも楽しい。追体験するなら、エベレスト街道にある「ナムチェ・バザール」はいかが? エベレスト登頂を目指す登山隊や、エベレストを仰ぎ見るカラ・パタールまでトレッキングする人々が必ず立ち寄る村。カトマンズから飛行機で約30分のルクラという村まで飛び、そこから歩いて2日! さらに2時間ほどかけてシャンボチェの丘に登るとエベレストが見える。シャンボチェの丘には、日本人が建てた「ホテル・エベレスト・ビュー」があり、ツアーのみの受け入れながら、エベレストを望むレストランで親子丼を食べる、なんてことも可能なのだ。

■ホテル・エベレスト・ビュー(ネパール)

ウルトラライトプレーンで絶景飛行
©有賀正博 ウルトラライトプレーンで絶景飛行

ヒマラヤで、インディ・ジョーンズ気分を楽しむならこんなアクティビティはいかが。「ウルトラライトプレーン」で飛び立つ瞬間はちょっと恐いけど、一度空に上がってしまえば、爽快感は半端ない! 窓など遮るものが何もないので、本当に鳥になって飛んでいるような気分を味わえる。ヒマラヤはもちろんすばらしいけど、眼下に見えるフェワ湖の上を飛ぶのも楽しい! ヒマラヤが夕日に染まる夕方もおすすめ!

■ポカラ空港発着ウルトラライトプレーン(ネパール)

カイロのスーク

© & TM 2023 Lucasfilm Ltd.
© & TM 2023 Lucasfilm Ltd.

カイロに着いたインディは、スーク(市場)を舞台に、壮大なバトルを繰り広げる。喧騒という意味でこの舞台にいちばん近いのはカイロの「ハーン・ハリーリ市場」だろう。屋上で鳩を飼っているシーンがあるのも、エジプトや北アフリカの雰囲気がある。彼の地では糞を肥料にするために鳩を飼っており、もちろん食用にもなる。

なお、実際のロケ地はチュニジアの「ケロアン(カイルアンKairouan)」。北アフリカ初のイスラム都市で、町全体が世界遺産に登録されている古都だ。ロケ地となった「メディナ(旧市街)」をはじめ、壮大なスケールを誇る「グランドモスク」、ムハンマドの理髪師が埋葬された美しい霊廟もあり、国内外から多くの巡礼者が訪れる。ここも訪れたい観光地のひとつだ。

人々でにぎわう実際のカイロのスーク
人々でにぎわう実際のカイロのスーク

カイロの「ハーン・ハリーリ市場」。衣料品、金銀宝石、革製品とあらゆるものが揃う。象嵌細工や銅細工など、昔ながらの手仕事が工房で見られるのも興味深い。香水瓶などのみやげ物の質や価格は、まさにピンからキリまで。
なあに、ちょっとボられたっていい思い出。これもカイロの旅の楽しみのひとつ。

タニスの発掘現場

大勢の人夫を使って発掘する
© & TM 2023 Lucasfilm Ltd. 大勢の人夫を使って発掘する

聖櫃(アーク)の発掘現場とされたのはタニス。ナイルデルタの東にあり、カイロからはマイクロバスで3〜4時間かかる。訪れる人は少ないが、第三中間期の第21王朝、第22王朝の首都として栄えた場所だ。

サーン・イル・ハガル遺跡
©どんぐり・はうす サーン・イル・ハガル遺跡

タニスは、現在「サーン・イル・ハガル」という名の遺跡として公開されている。10年ほど前までは立像がゴロンと倒れたまま放置されるような、なんともひなびた遺跡で、それが逆に歴史ロマンを掻き立ててくれたものだ。近年は修復が進み、なんだか青空博物館のようなたたずまいになってしまったが、もちろん「穴」もある。この穴の下に……? 

スクリーンには塔門にオベリスク、後方にピラミッドがそびえ、壁には一面に壁画が。これぞ古代エジプトといったイメージを詰め込んだ空間に、インディ到着!

美しいルクソール神殿のライトアップ
©岩間幸司 美しいルクソール神殿のライトアップ

「ルクソール神殿」のライトアップ。古代エジプトの雰囲気がいっそう増して、宝物が隠されているのも当然! という感じ。本来は2本(一対)のオベリスクが1本だけなのは、1836年にパリのコンコルド広場に移築されたから。最近、ルクソールの「カルナック神殿」と「ルクソール神殿」を繋ぐ、かつての「スフィンクス参道」が復原されるなど、エジプトはここ数年で急速に遺跡の整備が進んでいるので、昔行ったことがある人も、再度行くべし!

実在のドイツ軍の潜水艦基地がロケ地に

1941~1945年の間、Uボート基地として使われたラ・パリス
1941~1945年の間、Uボート基地として使われたラ・パリス

奪われたアーク(聖櫃)を搭載したUボートは、ドイツに運ばれる際、ナチス・ドイツの秘密基地がある島に寄港する。着岸するシーンが撮られたのは、フランスの大西洋岸にある港町、ラ・ロシェルだ。ロケ地となった潜水艦基地「ラ・パリス」は、第2次世界大戦時、ナチスの占領下にあったフランスで、実際にUボートの基地として使われた場所。1941年に建設されたもので、堅固な造りなどリアリティ十分。残念ながら内部を見ることはできないが、あきらめるのはまだ早い。3つの港と潜水艦基地を巡る、ラ・ロシェル発の遊覧船(夏期のみ)があるのだ。基地のそばまで行くことができるので、映画のシーンが蘇ること間違いなし。密かにUボートに乗り込んだインディのように、思わず息を潜めてしまうかも。

■遊覧船ツアー(フランス)

ふたつの塔が立つラ・ロシェルの旧港
ふたつの塔が立つラ・ロシェルの旧港
ラ・ロシェルに行くなら食べたい牡蠣
©オフィス・ギア ラ・ロシェルに行くなら食べたい牡蠣

ラ・ロシェルの町は、同じ大西洋岸にあるボルドーなどと比べるとコンパクトなサイズ。町を回るなら、12世紀の城門である「大時計門」からスタートしよう。ルネッサンス期の建築が残る旧市街の散策を楽しんだら、遊覧船の乗り場がある旧港へ。港の入口に立つ「シェーヌ塔」と「サン・ニコラ塔」、そして「シェーヌ塔」と城壁で結ばれた「ランテルヌ塔」は、町のシンボルともいえるモニュメントだ。いずれの塔も上ることができ、ラ・ロシェルの町並みと港のパノラマを満喫できる。また、旧港周辺のレストランで海の幸を堪能するのも、港町ならではの楽しみ。牡蠣好きならレンタサイクルを借りて、「レ島 Ile de Ré」まで足を延ばしてみては。養殖場直結の牡蠣小屋やレストランで、心ゆくまで海のミルクを堪能できる。

さて、本作のクライマックスとなるのが「聖櫃の儀式」。Uボートでクレタ島に上陸したナチスの隊員たちと、フランス人考古学者ルネ・ベロックが、聖櫃を担ぎ儀式へと向かう様子は、チュニジアの「シディ・ブフレルSidi Bouhlel」という峡谷で撮影された。両側に赤茶けた土壁がそそり立ち、草ひとつ生えていない乾いた谷間……ん? この光景に見覚えがある、と感じた方もいるのでは。そう、ここは、ハリソン・フォードの出世作となった『スター・ウォーズ』のロケ地としても有名な場所。4WD車で巡るトズールTozeur発のツアーもあるので、撮影スポットに立って、「なりきりインディ」を楽しめるかも! ぜひチュニジアで体験してほしい。

映画の世界を体感するスペシャルな体験をぜひ!

南米からヒマラヤ、エジプトにフランスまで1作品のなかでこれほどまでに世界各国の名所旧跡に誘ってくれる映画『インディ・ジョーンズ/レイダース 失われたアーク《聖櫃》』。「地球の歩き方」なら、ロマンあふれる遺跡の数々はもちろん、まるでインディが飛び出してきそうな市場まで、しっかり&バッチリ紹介。映画を見て、うずうずしてきたらガイドブックを片手に実際に冒険の旅へGO!

シリーズ最新作は2023年6月30日に全世界同時公開!

©2023 Lucasfilm Ltd. & TM. All Rights Reserved.

今回紹介したシリーズ第1作『インディ・ジョーンズ/レイダース 失われたアーク《聖櫃》』の公開から42年、我らの英雄、インディがスクリーンに帰ってくる! 最新作『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』は6月30日(金)からロードショー。インディの最後にして最大の冒険を映画館で見届けよう。

■『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』

“人間の想像を超える力”を持つ謎に満ちた伝説の秘宝《運命のダイヤル》を巡り、考古学者にして冒険家のインディが、因縁の宿敵、元ナチスの科学者フォラーと全世界を股にかけて陸・海・空と全方位で争奪戦を繰り広げる! 巨匠ジョン・ウィリアムズのおなじみのテーマ曲に乗せて、インディ・ジョーンズ最後にして最大のアクション・アドベンチャーの幕が上がる———。

最新作の公開前に旧作を一気見!

これまで公開された『インディ・ジョーンズ』シリーズをまとめて見たい方に朗報! ディズニープラス「スター」で見放題配信中なので、最新作公開までの復習にぴったり!

■「Disney+」

TEXT:どんぐりはうす&オフィス・ギア 南米:グルーポ ピコ 中米&ネパール:シエスタ

筆者

地球の歩き方書籍編集部

1979年創刊の国内外ガイドブック『地球の歩き方』の書籍編集チームです。ガイドブック制作の過程で得た旅の最新情報・お役立ち情報をお届けします。

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